カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

落第阿房列車その一

余談、あるいは後日談

さて今から三月三日から三月五日までの筆者と妻が鹿児島から大阪・京都へを行きて帰りし物語を綴るにあたり、まずはそこから随分と間隔が空いてしまったことの言い訳を始めねばなるまい。続きは明日ってお前の明日はいつなんだよという話である。本来ならば毎夜更新することでそのリアルタイム性をもって当ブログにおいて一つのエポックメイキング的側面を持つはずだったこの紀行について、簡潔な真実を言い訳として述べさせていただくとすれば、もう二泊三日の旅をした後少なくとも二日は充電しなければまともに動けないようになってしまった、ということである。ダイエットします。明日から。

本題

昨今のいろいろな事情により「阿房列車を読みたい」という機運が高まり、また「どうせなら列車で大阪に向かう道中に阿房列車が読みたい」とも思った。この辺りの事情についてはもう少ししてから「『ヒャッケンマワリ』マワリ」といったような記事でまとめたいと思うので詳細は省くし、読者諸賢においては釈迦に説法の類になってしまうが、ここから先を読み進めるにあたっては内田百閒というユニークな人が特に用事もないのに東京から大阪まで列車で行ったのだ、ということをお含みおきいただければよい。

残念ながら筆者はその様な大人(たいじん)ではなく、無論エチオピア人でもないから、大阪まで列車で向かうには何かしらの理由付けが必要であった。(阿房列車のコンセプトとしては落第もいいところなので今回のタイトルにつながる)今回大阪・京都に行くことが出来たのは様々な好条件が重なったからであった。

まず費用において、幸いにも21日前に切符を取得することで新幹線代がすこぶる安くなるキャンペーンをJR九州が開催してくれており、これに乗っかる形で片道13,000円というなんと広島までの料金以下で新大阪まで行けることが判明した。

また目的について、妻が刀剣乱舞について著しく沼に沈み込んでいることは読者諸賢においては周知であるが、大阪では「活撃刀剣乱舞の世界展」が梅田ロフトで、京都では北野天満宮で「宝刀展Ⅹと続『刀剣乱舞-花丸-』特別展」、粟田神社、豊国神社、建勲神社、藤森神社にて「京都刀剣御朱印巡り」が開催されており、また藤森神社では妻が特に思い入れの深い「鶴丸国永」の写しを拝観できるということで、妻が有意義な時間を過ごせそうであることがわかり、また妻と筆者それぞれのTwitterでのお知り合いに構っていただけそうな段取りもついたことで密度の濃さが確約された。

また日程についても筆者が振替休日を無事取得出来、妻も勤務日をずらせたことで、よし、三月三日から五日まで二泊三日で大阪・京都に行こう、ということを決めてチケットの手続きをしたのが二月半ばのことであった。

が、宿を決めていなかった。いや、実際はその日に軽く調べて、でも神社がメインだから朝早く出たいしそれだと朝食ついてたら勿体ないな、流石に早めだから予約どこも空いているな、と余裕をぶっかましてしまい、気づけばぎりぎりになってしまったのである。とうとう危機感の迫った我々は妻の楽天トラベルアカウントにすがり、宿探しに明け暮れた。あと一部屋を幾度となく逃し、取れたと思ったら支払い情報を入力しているうちに逃し、我々は疲弊していた。妻は情報がアカウント作成時(結婚前)のままであったので、はじめ所在地が「広島」であったのだが、「鹿児島」に変更した途端空き室が見つからなくなったので(実際はちょうど、人々が予約を取り始めようという時間だったのだと思われるが)学歴フィルターならぬ所在地フィルターがあるのではと毎度のごとく人を信じることを失いかけた我々を、とうとう一つの宿泊先が受け入れてくれた。旅館ではなくゲストハウスなのだという。最早泊まれるならどこでもいい、なんなら馬小屋でもいい、年取らないし、と思いかけていたのでそこまで深く考えずそこへ泊ることに決定したが、後々この選択が大正解であったことを思い知ることになる。

これにより我々は万感をもってこの台詞を発することが許されたのである。

「そうだ、京都行こう」

白鳥がその優美な動きを見せつけつつ水面下では激しく足を動かしているように、何気ない思い立ち旅行に見せかけたあれやこれやにもきっと周到な用意があるのかも知れない、あるいはこれが古都・京都の洗礼なのかもしれなかった。そんな陰謀論めいたことを思い浮かべるほど我々は既に関西に翻弄されていた。とりあえず家庭内では語尾に「どすえ」を使い、京都で一見さんとばれないようにしよう、という最高学府を出ている人間二人がたどり着いた全く隙のない京都対策が発案され、実行された。完璧どすえ。時に妻は「おきばりやす」をさり気なく会話に織り込むなど、もはや生粋の京都人と言っても過言ではないムーブを見せつけていた。よろしおすえ。

出発前日。本来ならば筆者の業務終了後お土産を買いに行く予定であったが、急な来客がありそれは果たせなかった。また、妻はその際ATMから出金する予定であったのでそれも叶わなかった。帰宅すると妻は既に筆者のキャリーバッグにあれやこれやを詰めていた。筆者は出来るだけ荷物はコンパクトにしたい質であったが妻は万全を期す質であるので妻に任せることにし特に確認はしなかった。自分の下着とシャツを詰めた。既にきゃりーばぐばぐはなにやらぱんぱん、といった有様であったがキャリーバッグとしては本領発揮をしている感があったので良しとした。明日の新幹線発車時刻は九時二分。広島行よりはだいぶ余裕がある。それでもいつも通りの六時半にアラームをセットし、寝た。京都へのプレッシャーからか四時と五時に目が覚めた。妻は太平楽そのものといった感じでいずれの時も寝ていた。タフどすえ。

さて当日、妻は「楽しみでなかなか眠れなかった」とパラレルワールドから来た可能性を示唆させる発言をしつつもしかし平日よりずっとぴしゃりとしっかり起床していた。もう一度荷物を確認し、出発する。カメラの充電器を一応……と心配になり取りに戻る。読者諸賢もお察しの通り今回の旅ではカメラの充電は必要なかった。人生はそういう風にできている。

出発時間は最悪の場合を想定していたものであったので駅へは特に問題なく着いた。前日に果たせなかったお土産を吟味する時間も十分にあった。駅弁も。チケットの受け渡しをするとき筆者が二枚とも乗車券、妻が二枚とも特急券という初歩的な間違いを犯しつつ、改札を抜ける。今回は指定席であったのだが、十分前にはやはりホームに並んでしまう。

たくさん用事を拵えて、新幹線に乗って大阪へ行ってこようと思う。

そういったわけで、二千六百字を超えていよいよ落第阿呆列車の出発である。本家阿房列車も四分の三くらい列車に乗る前の話であるので、そこに関しては先人を踏襲しているといえる。


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折角なのでいつもは席に座って新幹線が出発したら食べ始めてしまう駅弁も動き出してしばらくしてから食べることにした。具体的には熊本駅まで我慢した。その辺りで妻が車窓の遠くを見つめ始めたので駅弁分が欠乏していると判断し、食べるに至った。

筆者は牛肉めし、妻は枕崎めしを頼んだ。牛肉めしは赤牛黒牛が食べ比べられてお得であったし、枕崎めしは釜飯がとてもおいしく、ごはんをおかずにごはんが食べられてしまうレベルであると感じた。

車内放送で次の停車駅が広島であると告げられ、一瞬身構えるがそういえば今回の旅はここでようやく半分程度なのである。ちょうど前の座席の方が降りられた。なんだか取り残されてしまったような気分になる。
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久しぶりに肉眼でマツダスタジアムを見る。今年もカープには頑張ってほしい。
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岡山駅では「もんげー 岡山国際サーキット」が「んげー 岡山国際」となっており、岡山国際がなんだかエンガチョみたいな逆広告効果が発生していた。筆者のように、普段岡山を訪れない層=新幹線利用者の目線から見て刺さる広告を用意することが急務であると感じた。

姫路では車窓から姫路城がジャストの位置に見えたものの、アングル的に見ず知らずの企業戦士を激写してしまうことになるので流石にためらわれた。車内放送で「新神戸」などと言われ出すと、アウェー感がひしひしと漂いはじめる。

 

この辺りから「阿房列車」を読み始める。百閒先生は「山や川の見え方でだいたいどこを走っているかわかる」というが、筆者は新神戸を抜けた以外に素朴な辺りを筑後船小屋の辺りですと言われてもあっさり信じてしまいそうだなと感じた。そういえばミステリーの古典にそういうトリックがあったように思う。

いよいよ新幹線は終点、新大阪へと到着した。が、我々の旅はまだ始まったばかりであり、落第阿呆列車も乗り換えである。打ち切りにならなければ明日に続きます。

 

一月はいじらしい、二月はにくい、三月はさみしい

余談

お陰様でこのブログも三ヶ月目に突入した。いわゆる人気記事としては検索流入で多いのは相変わらずへうげもの最終巻感想で、Twitterはてなブックマークからは前回の弁慶丸さんの記事であった。前回の記事はありがたいことに今までで一番反響があった。素材がいいと調理する人間がいかに筆者のようであろうといい感じになると言うことであろう。

前回の目標として、天才柳沢教授の生活にについての記事はまだ書けていないので(その記事の余談が前回の弁慶丸云々となるはずであった)今月へ繰り越し宿題としたい。

今月の目標としては他に、大分太ってきたのでダイエットの過程を記事にしていきたいと思う。

また無双8、モンスターハンターワールドも一区切りしたら記事にしたい。

本題

明日に続く!(追記します。とても眠いんです。すみません。)

 

余談無し! 妻におねだりされた「ホワイトデーのお返し」が最高だった話。

妻は猫っぽい。別に筆者のかわいい子猫ちゃんというわけではなく(ジャバ・ザ・ハット界一かわいいとは思っている)やたら生魚が好きなのである。

20日頃、バレンタインに無事チョコレートを妻よりいただいた筆者はそのお返し候補をプレミアムバンダイでリサーチするのに余念がなかった。

因みにその時の候補はこちら。

p-bandai.jp

現在の妻の化粧ポーチがだいぶ古びているのでその代替にと目論んでいた。妻がとみにご執心である刀剣乱舞グッツを贈ることにより家庭円満家内安全言語道断横断歩道は最早揺るぎないかに思われた。贈り物というのはサプライズと想定通りのせめぎ合いにいつも悩まされる。クリスマスは前者をとったので今回は後者をということでいくつかの候補を挙げ、妻に打診を行った。妻は健気にもそれに一定の喜びを見せてくれた後、提案するのだった。

「それは非常にうれしいけれどそれをもらっても私一人が嬉しいのだから、二人が楽しい食べ物にしてはどうか」

なるほど一理ある。こういう時の妻は既に候補を決めている。ネットで鮮魚を注文したいという。

ホワイトデーにネットで鮮魚。

妻の生魚好きもいよいよここに極まったと思いつつ筆者は不安であった。初めてAmazonで代引きを使って「西尾維新クロニクル」を買ったあの頃から既に十年以上が過ぎ、前述したように妻へのお返しもプレバンで検討するくらいネットショッピングにすっかり抵抗はなくなっていたが、しかし生鮮食品、しかも鮮魚となると見ず知らずのところから通販で買うのはためらわれた。まず捕れるのか。鮮度は大丈夫か。ちゃんと運ばれてくるのか。肝心の味は。食べきれるのか。どう調理するかわかるのか。一瞬で様々な疑問が浮かぶが、妻はすっと一つのURLを示した。検討しているサービスのHPであった。一読して後、筆者は妻の申し出を了承した。それほどの力がHPにはあり、ここでリンクを貼ると読者諸賢がそこから当記事へ帰ってこられないほどであるのでURLは当記事のどこかにしれっと掲載することにする。

さて二十五日。きっかり予定日にそれはやって来た。(ホワイトデーは3/14では? とかそういうことは些細なことである。いいね?)


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まずこの張り紙に「ここを選んで間違いなかった」と安堵させられる。「いつも通りの」というフレーズが実に素晴らしくドライバーの皆さんの職人気質を全開にさせることは間違いないが、筆者のような凡百の人間はつい「いつも以上に」やそういった言葉もなく「優しい配送を」と書いてしまうであろう。

 
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獣じみて開封する我々を一瞬で敬虔な気持ちにさせてくれる。感謝。それこそがいただきますの六音に常に載せておかねばならぬ気持である。現在我が家の冷蔵庫に貼ってある。

 
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一緒に入っていたこの名刺がまた面白く、

 
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このように普通の名刺の何倍もの情報量がある(もちろん裏面もある)

www.wakuwaku-up.jp

↑こちらの会社さんの作品であるようだ。興味のある方は是非ご確認いただきたい。

 
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同じ袋には今回送られた鮮魚たちのプロフィール。どれもその生き物への愛にあふれている。

 
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そしていよいよご対面。事前にメールで伝えていただいていた通り、「モサエビ」「ハタハタ」「スルメイカ」「スズキ」「赤カレイ」であった。モサエビはまだバリバリに生きていた。

モサエビ

実はメールでラインナップを見た時、「エビか……」とちょっとがっかりしていた。ジャブだな、と「品数を稼がれたな……」くらいにさえ思っていた節もある。モサエビって聞きなれないし、別名を調べたら「クロザコエビ」でザコって……とますます期待値は下がった。最初にモサエビから食べたのも、一番ハードルが低かったからである。

活きのいいモサエビを妻が敬意を持って討ち取り、殻をむく。シンプルに醤油で食べる。明らかに妻の表情が変わる。一匹を筆者に渡す。何の気なしに口に放り込む。
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甘い。甘エビがこの味を知ったら名前負けを恥じて故郷に帰るんじゃないかというくらい甘い。実際はエビ類は〆てしばらくした方が甘みが増す(あっ将太の寿司で読んだこととおんなじだ!)と先ほどのプロフィールに書かれていたが、この美味を前にしばらくお預けなんて鮮魚の到着に胃袋のテンションを合わせていた我々には到底無理な話であった。さながらドラゴンフィッシュブローのごとく死角から打ち込まれた甘みに我々は完全ノックアウトだったのである。(それはエビではなくアロワナじゃないかという話は不問とする)盛り付けとかそんなのではなくまな板の上で剥き、醤油につけ、あるいはつけずに黙々と食べた。あっこの個体卵がついている! 将太の寿司で言ってたみたいに本当に緑色できれいでねっとりしていて濃厚でうまい! ああっ妻のやつエビ味噌をチュウチュウ吸ってやがる抜け駆けしやがって! それは後で頭殻ごと塩焼きにするんじゃい! ということもありつつしかし美味しさに包まれ平和裏にモサエビは胃袋に収まっていった。鮮度を保つのが難しく幻のエビと言われることもあるという。それを鹿児島まで活きたまま届けてくださるなんて実に有難いことである。

 
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塩で焼くという実にシンプルな調理でも素材がいいとすこぶるうまい。久しぶりに家で酒を飲んでしまうほどうまい。たまにハズレ(妻が既にエビ味噌を吸い取り済)にあたるのもまた一興であった。

ハタハタ


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ハタハタって秋田でしょ? と読者諸賢は思われるかもしれない。筆者もそうであった。が、実は漁獲量としては一位は兵庫、二位が鳥取、三位が秋田なのだという。

ハタハタって保存食にするんでしょ? と読者諸賢は思われるかもしれない。筆者もそうであった。が、このハタハタは新鮮なので刺身でも食べられるという。

モサエビを経て弁慶丸さんへの信頼度は著しく高く、我々はハタハタに対して刺身で挑むことにした。困ったことに「新鮮なハタハタ」というのはレア素材であるらしく、なかなか良いさばき方が出てこない。


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とりあえずスタンダードに卸す妻であった。魚をスタンダードに卸してくれる妻、得難い。(筆者にバレンタインデーにプレゼントしてくれたパジャマを装備している。プレゼントとは果たして……と哲学的思索を深めさせてくれる写真であると言えよう)


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またしても盛り付けを経ずしてまな板から醤油皿へそして口の中へ転移していくハタハタたち。その脂ののりの豊かさときたら。新鮮なハタハタは刺身に限ると断言するに充分であった。

しかし折角であるので焼き魚にしてみることにした。先ほどの塩焼きの成功体験をもとに筆者が挑む! ハタハタ? ホックホックにしてやりますよ!(シュババ

 
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ほろ苦いハタハタを食べたものでなければ、本当のハタハタの刺身の味はわからない。ということを学ぶ。酒が進むなあ。

 

スルメイカ


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ラインナップ時点でモサエビ同様スルメイカも筆者を正直なところがっかりさせた。イカって……回転寿司でも百円ですよ? くらいにみくびっていた。また、うまく捌けるだろうか? イカ墨の処理に失敗しリアルスプラトゥーンしてしまうのでは? という懸念もあった。無論両者とも杞憂であった。


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刺身はもちろん、ゲソのバター醤油焼き最高でゲソ……酒が進むでゲソ……。


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妻の美しいイカの解体術スキル発動ぶりも素晴らしいものがあった。

 

スズキ


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一夜明け昼食はいよいよスズキの登板となった。しかしここまでで期待値は上りに上がっている。生半可なスズキでは半可通の我々には通用しませんよ(いやな客)


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生半可なスズキではなかった。また妻の料理スキルもスズキに呼応するかのように引き上げられ、スズキのムニエルとなめろうカルパッチョが誕生した。ご飯が足りない。


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ちなみにスズキのうろこはペットボトルのふたを用いるととても快適に取れました。(ライフハック

 

赤カレイ


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そしていよいよフィナーレとして赤カレイの煮つけ。しかも幸運なことに子持ちカレイ。筆者はご存知の通り語彙力がないので万感を一言に込めるしかない。――御馳走様でした。

 

食べ終えて

弁慶丸さん(河西さん)の心意気に感じ入って購入したが、非常に満足であった。今後もぜひ購入していきたいし、より多くの人にこのサービスを知り、活用してほしい。

鮮魚、通販|弁慶丸|脱サラ船酔い漁師河西信明

また、このサービスを発見し、提案し、ほとんどすべての調理を行ってくれた妻に感謝したい。

 

大河ドラマ「西郷どん」第八回 「不吉な嫁」感想

余談

大正琴を習っている。もうすぐ一年になるが、絶望的に不器用なのでなかなか成長しない。1人だと絶対に挫折すると思ったので、当初から妻にも一緒に習ってもらっている。当時は妻は在宅ワークをしていたので、世間との接点が少しでも増えればいいな、ということもあった。


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タイプライターをヒントに作成されたということで音楽的素養は一切ないが常日頃打鍵している筆者でも他の楽器よりよかろう、ということで初めてみて、実際それなりに音は追える様になったが、利き手でない右手で引くので手首の返しがなかなかうまくいかない。

折角なので妻と演奏したものを貼ってみる。上手いメロディの方が妻で、伴奏が筆者である。

基本的にユーザー層が高年齢であり、教本に載っている曲もそれを反映しているが、先生が我々に合わせて最近の楽譜も適宜用意してくれることもあり続けられている。

ちなみに目下の妻の目標は「お祭りマンボ」を弾けるようになることである。(あのはねるようなリズムはなかなか難しい。ちなみに私はいい日旅立ちが弾けるようになりたい)

本題

余談が、いつもと毛色が変わってしまった。本日気圧のせいかとても眠く、刀剣乱舞のシールが毎日ログインしていたはずなのに何故か枚数が七枚しかないのでちゃっちゃか行きたいと思う。

斉彬

昔ながらの大河のような「神のような主君」斉彬は今週も健在であった。黒船が来ることになっても全くうろたえないし、吉之助を鶴の一声でとうとう呼びつける。が、別に支度金などは出さない。試練を与えるタイプの神である。まあ、史実の斉彬公も一切合切やりっぱなしなのである意味リアルであるのかもしれない。

須賀

超高速新婚生活は終わりを告げたわけだが、先週母が危惧していたこと(家事一切・幼子の世話)が何一つ解決しないのだが西郷家は大丈夫なのだろうか。大丈夫であるならそもそも妻を娶る意味だってなかったじゃないか。(死ぬ前に吉之助の夫婦姿を見たい、という母の願いはもちろんあるわけであるが)

須賀視点から一連の出来事を見た時、父親の勧めで結婚させられ、その先で唐突な引継ぎが行われ、事態の収拾を図るが一蹴され(しかも夫にはよく分からんたしなめ方をされ)、大黒柱は家計を把握していないが外には出たがるという余りにも気の毒な事態である。それでもなお吉之助のために彼女は出ていく。自分のためではない。それほどのことを、吉之助がしただろうか……とは思うが(もしかしたら須賀は顔をむにっとされるのがすごく好きなタイプの女性だったのかもしれない)やはり役者さんの熱演にごり押されてしまう。わずか二話の出演で複雑な役を演じきった橋本愛さんには畏敬の念を表するばかりである。それだけに父との会話で真意を明かすのはどうかな、と思ったが、ツイッターのTLを見るにそこで納得した方もぽつっぽついらしたので、万人向けの大河の難しいところであると感じた。

吉之助

またこの人土下座してる……今回は色々自分のことを言われても言い返すだけだったけれども、妻のことを貶められた瞬間鉄拳一閃したところは良かったと思うが、珍しく人の本心(須賀は自分を江戸に行かせるために離縁した)をわかっている様子であるのに、誤解したままの家族に事情を説明しようともせず、ただ一人礼を呟くのは余りにも今までの吉之助像とかけ離れているようで違和感があった。そんなこと全部忘れました! という感じの「いってくっでー!!」でよかったのだろうか。推しメンの斉彬に会える喜びが大きくて忘れてしまったのか。あとこの人この後もう百両借金します。

正助

祝・ニート脱出。そんな状況なのに親友のために借金をしてくれる。自分の家計は大丈夫なのか……。正助が借金をお願いしてもにべもないのに、吉之助のためというと必死で工面しようとする郷中の連中の態度が二人の人望を端的に表しているようで悲しくなる。

「二度と殴り合いはごめんじゃ」と吉之助に言われる。もう二度と殴り合いはしなかったが、殴り合いですんでいたような事態が懐かしく思われるようなことがそのうち来ることを分かっている視聴者から見たら、刺さるやり取りである。

 

見終えて

一話で基本的に起承転結全部やり、意図を登場人物に説明させる、というパターンが定着してしまっているように思う。須賀の言った「吉之助はやさしすぎる」という言葉はその通りで、その優しさが多くの人を救い、また自らを含む多くの人を死地にいざなうわけだが、前回までは「まあ気づいてないから…わかってたらまた違うから……」と思っていた展開の数々が今回の須賀の離縁の一件については分かっていたうえで闇に葬った感があって、それが自分の目的のためにはそういうことをする、という黒西郷的な描写だったらまだいいのだがいい話風にしていたのでちょっと腑に落ちなかった。

来週からはしばらく江戸になるのだろうか。画面に桜島が見れなくなると思うと寂しい。

大河ドラマ「西郷どん」第七回 「背中の母」感想

余談

二日連続で鹿児島市内に行くことになった。髪を切るのである。(夫婦で同じところで切る)本来、昨日のうちに確定申告→髪を切る→ラーメン王決定戦というのが美しかったのだが、動き出しが遅く果たせなかった。ところで筆者は一人で床屋に行くときは髪を切るときを散髪すると言っていたが、現在は役者不足にも美容院に行っており、この場合散髪という言葉は相応しくないような気が勝手にしてしまってただ髪を切るというようになった。もっとスマートな言い方があるのだろうか。(美容院に行く以外で)


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せっかく市内に出てきたので再びチャイナワンに行く。食券制になっていた。牛丼屋では松屋をこよなく愛する(早く鹿児島に上陸してほしい)筆者にとってこれは大変ありがたい。メニューに和えそばが追加されており早速注文する。中華特有の痺れる旨みを堪能した。


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しかし食券機、千円札と二千円札のみカバーするってなんか新鮮だった。

さて続・刀剣乱舞花丸は相変わらず夫婦で視聴を続けているが、チャイナワンのほど近くにはアニメイトがあったことを思い出し、鹿児島では初めてアニメイトを訪ねた。階段をのぼり、踊り場に整然とアニメポスターが貼られているのを見ると「この風……この肌触りこそ戦場よ」という内なるオタクの血を高まりを感じるが、だいぶわかるアニメが減ってしまっていた。階段をのぼりつめたガチャガチャに刀剣乱舞ラバーストラップが備え付けられており、妻から武装闘気(バトルオーラ)が立ち上るのを背で感じる。

妻「ガチャガチャのためにお金を崩さないとね……即ち何か買わないとね」

手段と目的の鮮やかな逆転を見たように思われたが楽しそうなので放っておくとマスキングテープと「近侍曲集其の一」を買うようにしたようだった。途中、LINEでアニメイトとお友達になると刀帳カードがもらえることを伝えると敬愛するカナヘイさんがコラボスタンプを配信していてもなお企業とお友達になりはしない警戒心の強い彼女は音速で新しい友達を追加していた。愛…愛なんじゃよ……(突然の古老)筆者もあとに続いてお友達登録をしたのは言うまでもない。ちょうど今日から配布カードが入れ替わっており、昨日ちょっと寄っておけばよかったと悶絶したりした。カードだけもらうのも、ということで「刀剣乱舞カラコレ」を一つ購入することにした。ちなみに両替はレジで快く行っていただけることが会計時に判明した。

妻のガチャガチャの狙いはへし切長谷部であるようであった。無論、他の刀剣男士もウェルカムであるが福岡市博物館訪問の一件以来、へし切長谷部への愛着が一層強まったということであるらしい。一回目。出ない。次に筆者も回してみる。出ない。妻は長期戦を覚悟し、両替に向かった。百円玉を大量入手し財布を重くして戻った妻をその後二回連続でへし切長谷部を引いた筆者が出迎えた。まあなんだ、新種のエクササイズと思えばよいのではなかろうか。どっしり財布エクササイズ。店員さんいらぬお手間をおかけしてすみません。


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アニメイトから駐車場までの道中にかかし横丁という素敵スポットがある。薩摩蒸気屋さんがやっている和菓子、洋菓子の販売店で喫茶やギャラリーまであり、ここで「焼きどうなつ」を購入するのが妻の楽しみであるのだが、今回、通りの反対側から初めて入ってみるとそちらは屋久杉や焼き物が販売されていた。妻が焼きどうなつをセレクトしている間(バター、イチゴ、チョコ、ゴマなど様々な味があるのである)しばし焼き物を物色する。


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祭りの面の類だと思われるのだがそれを湯呑のこのポジションに着けようという発想がまず面白く、他がいかめしい顔をしている中、こいつだけひょうきんな顔をしているのがなんとも気に入ってしまい、指の手触りも愉快だったので購入してしまう。五百四十円。龍神窯さんの作品であるとのこと。

www.jokiya.co.jp

(なぜお菓子紹介に焼きどうなつがないのだろう……しっとりしていておいしい)

その後早速車内にて近侍曲を流して帰宅した。

筆者「なかなか歌が始まらないね」

妻「これ、インストゥルメンタルだから」

筆者個人の感想としては山姥切の近侍曲が特に良いと感じた。大河のOPっぽい。


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刀帳カードは今週分全二種かぶりなく(店員さんが配慮してくださったのかもしれない)そろい、カラコレは筆者の初期刀である陸奥守吉行であったため大変満足であった。こうなると来週の日曜、刀帳カードをもらいに行くついでになにか市内での用事を拵えなくてはなるまい。ああ、手段と目的が逆転していく。

本題

余談が、ながくなった。

さて第七回、筆者、「西郷どん」で初めて泣きました。松坂慶子さんと鈴木亮平さんのパワープレイ。お母さんはいくつになってもお母さんであって、お母さんにとって一番つらいのは自分が子どもの足かせになることなんだな……というのはくるものがあった。吉之助の本性を看破していることも、今後の展開を予感させていい。

一方で、相変わらず役者さん頼みの脚本だなあということも強く感じる。折角子役時代から描いているのだから、今回唐突に差し込まれるシーンは時系列に沿って描いていても良かっただろうし、祖父の死は結婚を想起させるトリガーにしかなっていない。早くも七話、尺の関係で仕方がないのかもしれないが人の死が圧縮されることで軽くなってしまった感は否めない。あっさり相撲大会から一年が経っているわけであって、相撲大会で見出したはずの二才たちはその間放っておかれたのかとか、正助が相変わらず不憫だったりとか、米十俵はどうしたのかとか(白米が出てくるシーンで相撲大会の時以来だ~みたいな台詞でも入れてくれたらすぐ解決する問題なんだけどなあ)。

前回不安視した須賀の描写、思ったより良かった。テンプレート的な「気の利かない嫁」ではなく、本人なりに一生懸命努力しているのがなんともいじらしい。(男性読者諸賢においては気が利かなくてもいい、ただいてくれればいい、橋本愛だものといった層もおられることだろう。)しかしそれをことごとく否定されるのはなんともつらい。せめて吉之助くらいはその気持ちを汲んでやってほしいところであるが、人情の機微には恐ろしく鈍感というのがこの大河での吉之助の役割なのであろう。須賀から見れば、心配して提案したことは却下され、引継ぎ中に義母が亡くなり、次回予告からすれば旦那は推しを追いかけてはるか江戸まで行ってしまうわけで、そりゃあ離婚しちゃうよな……と思ってしまう。満佐は吉之助の母としてよい母であったが、よい義母ではなかった(なろうとしている途中で没してしまった)。ドラマの中だけでも、須賀をもっと労ったり、吉之助に須賀を気遣うように言ってあげる、というような救いが欲しかった。

役者さんたちの熱演で、それまでの積み重ねがあったかのように錯覚してしまうが、話だけを追うとやはり一年間という長期を通してできる伏線があまりに少なく、やっぱり相撲大会やラブコメで尺をとってる場合じゃなかったんじゃないかな……というところに落ち着いてくる。

ちなみに劇中の「ナンコ」についてはみんな大好き薩摩剣士隼人でも題材にされているので是非下記の公式配信をご覧いただきたい。負けたら罰ゲーム的に呑む。勝ったら嬉しいので呑む。土佐にも似たような趣向があるとのことで、酒飲み県は最終的にシンクロするんだなと改めて思った次第。


薩摩剣士隼人 わいもおいもボッケモン! 第7回「薩摩拳闘伝ナンコ」

しかし本当に鈴木亮平さんの演技が抜群にいい。鹿児島弁、どんどんお上手になっている。今出ている役者さんでは瑛太さんの次にお上手だと思う。

第四回鹿児島ラーメン王決定戦に臨む

余談
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祖母宅で母と伯母の確定申告の手伝いをした。最近は国税の確定申告書作成コーナーがとても丁寧で(いつの間にかGooglechromeにも対応していた)わかりやすく、大体その通り入力すれば出来てしまう。二人とも源泉徴収票、雑所得、生命保険料控除、医療費控除の入力をするタイプの確定申告であった。医療費もエクセルシートを同コーナーからダウンロードし、それに沿って入力したあとそのシートを読み込ませることであっという間に処理が完了する。(例えば母の場合71件あった)

医療費控除関係まとめ

折角なので今回医療費控除を処理するにあたり来年こうしようと思ったことをまとめておく。どなたかのお役に立てば幸いである。何か不具合があった場合は責任はとれません。すみません。

「医療費通知」をとっておこう

大体年初めあたりに加入している健康保険から圧着式のはがきで「医療費のお知らせ」が届く。どこどこで誰が受診し、いくらかかったか、というものである。今回の確定申告から医療費控除の「かかった費用」についてこの数字を転記することが出来るようになった(原本の添付が必要)即ち、領収書を一枚一枚入力する手間がなくなったわけであるが、この場合も領収書の五年間の保存は必要であろう点に留意すべきだろう。

ちなみに、いわゆる不正請求はここから発覚することが結構ある。身に覚えのない診察がないかどうか確認してみるのもよいだろう。

領収書は時系列でなく家族ごと、医療機関ごとにまとめておこう

かかりつけ医院、歯科、薬局がある方は多いと思う。医療費通知がなく前述のように入力を行う場合、フォーマットは「誰が」「どの医療機関で」「いくら払ったのか」というようになっているので、家族のメンバーそれぞれごとに(医療費控除は本人だけでなく生計を一にする家族の分もまとめることが出来る)かつ医療機関ごとに分けておくと入力がスムーズである。定期的な診療の場合金額も似通ってくるので二重入力・入力漏れにご注意されたし。

「補てんされた金額」がないかどうか確認しよう

今年は赤ちゃんが生まれた! 出産費用は五十万円だった! 医療費控除でめっちゃ返ってきそう! ……というわけには、なかなかならないのである。医療費控除はかかった費用から補てんされた金額を引かねばならない。例えば出産の場合、多くの健康保険では出産一時金が三十万~四十万円前後支払われる(病院の方で相殺してくれることもままあるようである)。この分は医療費控除の額から差し引かれる。また、入院等の場合、保険会社から支払われた分も引かなくてはならない。要するに最終的に自分が負担した分しか医療費控除に申請は出来ないのである。

保険外のものが混ざっていないか確認しよう

医療費控除は「医療費」についての控除である。当たり前のことを言うなと思われるかもしれないが、即ち歯科医院に行って歯ブラシを買う。領収証は一枚であるとき、この歯ブラシ分は差し引いて医療費控除の入力は行わなくてはならない、ということである。他にも保険外のもの、時期的なもので言えばインフルエンザのワクチンなども含めることは出来ない。個人的には花粉症の人間の購入するボックスティッシュは医療費控除の対象にしてくれと常日頃思っている。

領収書は税務署に持っていてもらおう

今回から上記の明細書を作成していれば、領収書原本は送らずともよくなった。しかし五年間その領収書をしっかり保存していられる自信がある方、どれくらいいらっしゃいますか。ですよね。送ってしまいましょう、税務署に。送らずともよくなりましたが送るなとは言っていません。税務署にしっかり管理していただきましょう。

 

ちなみ伯母は丁寧にたくさんの領収書を保管していてくれたが、他の控除で源泉税を還付しきってしまい、医療費控除の必要がないというオチが付いた。

しかしマイナンバーのせいで工程が増えたのには参った。これほんと庶民には何の恩恵もないな。

 

本題
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余談が、らしくなく実用的になった。

さて鹿児島ラーメン王決定戦である。第一回より特集番組を録画し、行きたいという意欲を募らせながら、なかなかタイミングが合わず見送ってきた。今回、前述の確定申告を行った祖母宅が会場にアクセスが良いこともあり、いよいよ満を持して臨むこととなった。妻とは会場での合流である。道が思いのほか混んでおり、妻はまず単騎駆けでラーメン王を狙う猛者たちと対峙することになった。

サカノウエユニーク「いいとこ鶏」
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妻がアウェーの中単身ルール無用のデスマッチを挑んだのはサカノウエユニークさんの「いいとこ鶏」であった。

鹿児島ラーメン王決定戦は過去三店舗の王者を輩出し、それはいずれも豚骨ラーメンであった。傾向と対策で考えれば、ラーメン王を目指すのであれば豚骨ラーメンにすべきであるように思われる。しかしサカノウエユニークさんはとりそばで挑んだ。その姿に豚骨ラーメンにあまりなじみのない本州からやってきて日々頑張っている自分を重ねたのかどうか、妻は挑戦することにしたのである。

「うまい、特にチャーシューが、めっちゃうまい……」

それを最後に妻からの通信は途絶えた。

麺屋ばってん親父「こく旨とんこつ極~オマールエビと甘エビの調和~」
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旨さの彼岸を漂っていた妻をどうにか会場で蘇生させるとそのまま筆者は「麺屋ばってん親父」さんのブースへ向かった。前述の通り毎回鹿児島ラーメン王決定戦の関連番組は録画してまで見ているのだが、その中でも麺やばってん親父さんは徳満さんご一家が中心となっていることもあり、何やら大家族ものめいたテイストで他のラーメン屋さんとは一線を画す密着感、没入感があり、どうにもなんだかずっと前から知っていたような親しみを勝手に感じてしまっていた。娘さんが元気に呼び込みをされており、「あ、テレビで見た人だ」と若干テンションが上がりつつ、粛々と並ぶ。食べ方の説明をスタッフさんが丁寧にしてくださる。いよいよどんぶりが運ばれるとき、スタッフさんがいう。おいしくいただけますように。まるで神への祈りじゃないか。荘厳な気持ちでラーメンを抱えウイニングランを決める筆者である。

食事エリアに入りスタッフさんに言われたとおり混ぜ、いざ実食。濃厚な二つのエビの風味がなるほどハーモニーを奏でている。確定申告作業で疲弊した体に染み入る。麺も滋味深い。食べ奨めるほどに豚骨とエビがなじみ、まろやかになる。濃厚だが、ぐいぐいいけてしまう。飲み干してしまう。(最終的に飲み干した)

らーめん食堂 元斗好軒「出汁の旨みのかごしま黒豚しゃぶ肉ラーメン」
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と、そこに妻が二杯目の器を持って現れた。元斗好軒さんの一杯である。これもまた豚骨ひしめく中昆布とアジの煮干しからとった出汁をベースにしたスープで挑む果敢な店舗だ。これには元ネタに敬意を表しつつ「やるじゃない(ニコリ…)」するのも仕方のないことである。お互いに器を交換し、食べさせてもらう。口の中にやさしさが広がる。複雑玄妙な旨みが、決して威張ることなくそれぞれが手を取り合ってそこにある。黒豚しゃぶ肉もやわらかく主張しすぎない。一方で筆者が食べ始めたのが少し時間が経っていたからか麺が個人的な好みとしてはだいぶ柔らかかったことと、その前に食べた麺屋ばってん親父さんのラーメンがお茶を挟んでもなお残る濃厚さであったため、筆者の舌では繊細な味わいをとらえきれず、真価を味わえたとは言えなかったのが残念である。

 

食べ終えて

どのラーメンもおいしく、中途半端な時間を狙っていったためそこまで待たずに食べられ、また天気も良かったため非常に有意義な時間を過ごせた。しかしどのラーメンもおいしかったからこそ、他のおいしいラーメンももっと食べたく、一杯当たりの価格を抑え、もう少し器のサイズも小さくして、よりたくさんのラーメンを食べやすいようにしてくれたら最高だなと思った。公式ガイドブックも無料で配っている割には非常に出来が良く、イベント終了後もラーメンガイドとして優秀である。

一方で「鹿児島ラーメン王決定戦」として考えた時、まずは県民投票が行われるわけだが、ここで投票者たちは「いつものあの店のあのラーメン」を想定して投票するわけであり、その結果を踏まえて行われる決定戦でその時のみの特別ラーメンを提供する、というのは正直どうなのだろうか……という気持ちはちょっとある。もちろんお祭りだから限定ラーメンという試みはすごく面白いと思うし、特に市内店舗であればいつもと同じならわざわざ混むところに食べに行かなくてもいいかな……と思われる可能性大であるからそういう意味でも仕方ないのかなと思うが、少なくともラーメン王となったらその後店舗でも定期的に提供する、ということになってくれればよいと思う。

結論としては天気のいい中日の中途半端な時間に行くのがエンジョイするコツであるということがわかった。来年もぜひ行きたい。

 

 

 

大河ドラマ「西郷どん」第六回 「謎の漂流者」感想

余談

年末年始を妻に鹿児島で過ごしてもらったので連休を利用して妻の実家に帰省することにした。起床は五時半。実質三時間しか寝てないわー実質ー。

 
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夜明け前の妖艶な桜島。(撮影:妻)

道はそれほど混まず、スムーズに駅まで着く。JR九州のアプリから既にチケットを購入しているので発券するも、パーク&ライド認証のため結局窓口に並ぶことに……と思いきや、改札でも対応してくれるらしい。ライフハック。睡眠が浅いからか何かしらのプレッシャーによるものか、軽い吐き気があったので車中食は軽いものにする。


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誰がなんといっても軽いのである。しっとりしていて美味しかった。

本州に入ると車窓は吹雪で白く染まった。その向こうに別の白が見える。徳山コンビナートだ。大きな獣が猛りたつ内臓を冷やしているかのような光景に目を奪われる。


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(これは下車してから撮った別の工場群)

新幹線は九時半前には広島に着く。恐ろしいことに二時間半もかからない。筆者が初めて大学受験でその地に降り立ったとき、それは恐ろしいことに十年も前になろうとしているが、九州新幹線はまだ部分開通で乗り換えを二回要して四時間弱かかったことを考えると隔世の感がある(そもそも高速バスで八時間かけて帰ったりしていた)その頃の筆者に「お前将来広島に行くことを帰省するっていうことになるよ」と言っても絶対に信じないであろう。それよりその腹は一体どうしたんだと言われるであろう。車内でちょこちょこしたことはいずれ別記事に結実すると思われるので今回は割愛する。

広島駅は筆者が在広島当時とは大分様子が変わっているが、それでも一番ホームへ降りていく途中マクドナルドの匂いがふと漂うと、駅でマックを食べるか、そばを食べるか、広電に乗り換えて最寄りの電停近くの松屋で食べるか、山陽本線に乗って最寄りの駅近くでモスバーガーを食べるか、フレスタに買い物に行くか、そんな学生時代、講義帰りの夕食の算段を思い出し何だか鼻がつんとするような気持ちになるが日曜ダイヤの乗り換えはシビアであり、感傷はどうにか乗り込んだ在来線のドアと共にぴしゃりと閉ざされた。


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妻の実家は書庫があり、油断するといつまでもいてしまう。義父はどんどん持って帰りんさいといってくださるがさすがに気後れする。事前に用意してくださった(妻が話してくれていたのである)三冊にとどめ、他は帰省中に目を通すことにした。この辺りも、別の記事に譲る。ひとつの目的を持って関連書籍としていくつか、単純に読みたいものをいくつか、というつもりだったのだが、単純に読みたいものの方にも関連性を見いだすものが出てきて驚いたりした。


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文字通り枕頭の書となっている帰省中つまみ食いするつもりの本。(まだ三冊目までしか読んでいない)読者諸賢なら次に筆者がどのような記事を書くつもりか推察いただけるはずである。

義理の祖父母の家にも行った。筆者は実の祖父は自分が生まれる前に既にこの世にいなかったので、この年になって祖父と呼べる人が出来てとても嬉しい。また祖母と呼べる人が増えることもまた嬉しい。



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義理の祖母がつくってくれる干し柿は素朴な甘さでついついあとひとつと手が出てしまう。筆者の実の祖母もこの干し柿が大層好きで、めっきり食が細くなったがこの干し柿は食べる。お互い顔を会わせたことはないが干し柿によって繋がっているというのはなんともふしぎで、またすてきな縁だと思う。

義理の父母も祖父母も薩摩の芋男相手に大変よくしてくださる。こんな素晴らしい人たちから愛する子であり孫を奪っていったのだな、と思うと申し訳なさが募る。盆と正月(くらいの年のはじめと半ばごろ)に帰省するとして、あと何度この人たちに愛する宝の顔を見せてあげられるのだろうとしばしば考える。即ちそれだけ夫としての甲斐性に自信がないわけであり、何とか払拭しなくてはなるまいが、まずはより気軽に帰省できるよう休みがしっかりとれ、帰省資金も気にしないでよいように目の前の仕事を頑張ろう、という結論となった。


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瀬戸内の海は穏やかだった。この海のように適度に広い心の持ち主を目指していきたい。

 

本題

余談が、ながくなった。さて前記事でアニメ封神演義の構成について文句をつけたが、今回の構成は同じくらいひどい。いやこの場合内容もひどいのだが。

前回感想で「吉之助の入牢はジョン万次郎と引き合わせるための偽装では?」というような予想をたてた。それは当たっていたわけだがだからといって話の展開に筆者が納得がいっているかというとそうではない。入牢させる必要性は全く無いし(普通の役人じゃなくて同じ境遇なら心を開くと思ったのだろうか?)斉彬が相撲大会でさっさと立ち去った意味が全くわからない。前回は優勝を盛大に祝い、今回会わせたい男が……と引き合わせた方が視聴者もカタルシスを得られたし、 話の繋がりも良いだろう。今回の構成では「ところで脱走はいいのか」と気になって気になって話が入ってこない。糸さあが気の毒すぎる。というかあの状態でよく須賀(吉之助の最初の妻)の父は縁談持っていこうと思ったな。(どのタイミングで民衆の誤解を解いたかの説明が全く無い)

吉之助、今回自分では何もしていない。母や正助どんをうまく活用しただけ。まあ周りが勝手に空気読むのは西郷どんらしいといえばらしいのだが。恋愛方面は下駄を脳天に打ち付けられたことにより恋愛中枢が破壊されたのではないかと思うくらい鈍い。ジョン万次郎、そして糸さあの言葉がのちの敬天愛人という思想、そして維新へと繋がるのだ……という展開にしたいのはわかる、わかるのだが真田丸大坂の陣に繋がるまでの呪のかけられ方を見てしまった後ではあまりにも雑である。

斉彬も吉之助のどこをもってあっぱれとしたのかよくわからないしあの刺客でなにを試したかったのかもよくわからない。愛を確かめたいために無茶をする倦怠期のカップルじゃないんだから。人材求めているわりに在野のチェックも甘いのが透けて見えるのも痛い。というかジョン万次郎にはご飯食べさせないで自分はステーキ食べてるんじゃないよ。というか土佐からあのスピードで情報仕入れられるんなら軍艦要らないのでは?

別に恋愛要素をやるなとはいわない、いわないがその尺はお由羅騒動(高崎崩れ)に使うべきだったということは今後もことあるごとに言っていきたい。せめて相撲大会を絡めて郷中の若者たちのキャラをもっと掘り下げるのに使ったらよかったのでは。相撲大会と言えば、米とお菓子はどうなったんでしょうね。

次回予告時点で須賀がかなりマイナスな描かれ方をしているのが早くも不安だが、次回以降の軌道修正を待ちたい。