カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

大河ドラマ「西郷どん」第四回 「新しき藩主」感想

余談

この間の「鶴瓶の家族に乾杯!」が鹿児島回であった。珍しく残業であったが、妻がこよなく愛する「お見合い大作戦」を犠牲にしてまで録画をしてくれていて見ることが出来た。大河ドラマ視聴者よ、これが真のかごんま弁だ……とは思わなかったが(やはりどこかよそいきの言葉に皆さんなっていらした)自分の土地の言葉が鶴瓶さんにいじられているのはやはり不思議な気分になる。

その中で鈴木亮平さんがお昼をとっていらした「桜勘」さんが特に気になった。カンパチの漬け丼がおいしいらしい。カンパチの麻婆豆腐なるものがあるらしい。

折しも「西郷どん」ロケ地の一つである仙巌園で「戦国島津と三国志」というコーエーとタイアップが本日までであり、鹿児島市に出るならと無類の魚好きである妻に恩返しの気持ちもあってこっそり連れていくことにした。

あいにくの空模様であったがあまり光が強くない方が建物の写真は撮りやすかろうと思った。筆者が撮りたい写真はなぜかいつも逆光なのだから。

駅から徒歩五分とかからない場所に桜勘さんはあった。アーケードに面しているので他都市から新幹線で来てもそのまま濡れずに来れよう。十一時から開店で十一時十五分頃に着いたが、早くも半分ほどの座席が埋まっていた。鹿児島特有の甘い醤油のにおいと、から揚げの揚がるにおいが食欲をそそる…から揚げ?

なんとカンパチ漬け丼定食には鶏のから揚げと刺身、デザートまでつくということで、そちらを二人して注文することにする。そしてカンパチの麻婆豆腐も。

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千円でこのボリュームはすごい。そしてうまい。から揚げなんて実にジューシーだしカンパチもお刺身はコリコリとした食感が楽しく、漬け丼は醤油となじんでまた違った顔を見せてくれる。そうなると困ったことに、白ご飯が欲しくなってしまう!(百円で追加ができた。このお米も熊本の契約農家さんのものでとてもおいしい)
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カンパチ麻婆豆腐も優しい味で食べやすい。これもマーボ丼にしてもおいしそうなご飯向けにカスタマイズされた麻婆豆腐であった。(流石に白ご飯二杯目は我慢した)

およそ一時間ほどの滞在で、出るころには外で待っている方もいた。色紙をさりげなく飾ってはいたものの、「TVで紹介されました!」感をガンガンに出していないところも筆者の性にあっており勝手にうれしくなった。

 

仙巌園は雨であったが流石に混んでいた。風はここ数日と比べ大人しくなっていたがやはり日が差さない分もあってか寒い。

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自然、順路にある暖かな光を漏れ出でさせている誘蛾灯のような優雅な売店群へ吸い寄せられることとなる。

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そしてブルーシールでアイスを食べた。(いや、ホットコーヒーもいただきましたよ)写真の店員さんが非常に接客が素晴らしく、心まで温めていただいた心持ちであった。

「戦国島津と三国志」展は少し奥まったところにあるため、自然暖をとるために他の建物にもお邪魔することになる。ミュージアムショップでは屋久杉で作られた作品や薩摩切子の制作過程および作品(ライトアップされた薩摩切子の美しさはぜひ実物を見ていただきたい)、薩摩焼を拝見した。f:id:kimotokanata:20180128220307j:image

へうげもの完結直後ということもあり、にわか数寄脳がビビッと反応したのはこの二つ。前者の混沌とした形と色合い、手触りは正しく清濁併せ呑む感じで茶碗使いしてぐっといきたいし、後者の特に右側はひずみと赤色が歴戦の老強者を思わせて小ぶりながら存在感がとてつもない。恐ろしいのは百万越えなども普通に展示されているので「一万くらいならいいかな……」と思わされてしまう点である。

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第一話で島津ケンワタナベ斉彬と赤山靱負が会話したあの門なども。
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 ちなみにこの石灯篭が仙巌園の中では一番好きである。大きいことはいいことだを地で言っている感じが薩摩らしさがあってよい。
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残念ながら桜島チラリズムに徹していた。
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「戦国島津と三国志」は最終日の中途半端な時間ということもありスムーズに観覧することが出来た。受付の方もとても親切。ARで呂布と一緒に写真が撮れたり、TGSでも使われたという記念写真グッズがあったり。帰りにゆっくり他の写真にもチャレンジしたかったが、他の方も同じように考えていたようで、一枚のみの撮影となってしまったのは残念。(無双2以来、夏候惇で最初にプレイするのが筆者の流儀である。今回は割と散髪に成功しているようで安心だ)

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全体像はこんな感じ。TGS合わせだったからか?全員分ではないのが残念。流石につい先日発表されたNPCまでは難しいのだろうけども。もう来月発売ということで楽しみである。オフライン二人プレイがないのはしょんぼり。(数少ない夫婦でできるゲームであったので)

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妻氏「こういうのを見ると帰ったら戦国4エンパがやりたくなる」

戦闘だけ無双のノブヤボでないかなあ(やはりエンパだと色々不満点が出てくる。あと、オロチエンパを出してください)
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帰り道、売店で「両棒餅」を食べた。あまりおいしいのであっという間に食べてしまい、写真を撮り損ねてしまった。晴れはしないもののいつの間にか雨は止んでいた。MHWでやらかしたので、今度は前日までに事前DLをしておこう、ということを考えていた。

 

本編・第四話感想

余談が、ながくなった。この大河、島津斉彬が、渡辺謙さんがいなくなったら一体どうなってしまうのか!?という不安が加速する第四話であった。

西郷吉之助の足踏

前回筆者は「赤山靱負切腹により吉之助覚醒イベントが起こるはず」といったような趣旨のことを書いたと思うが、スマンありゃ嘘だった、というかどちらかというと斉彬の腹くくりスイッチとして機能したように思う。いや、赤山靱負の血染めの着物を見せられイベントというのは鹿児島県民なら大抵の人が知っている有名イベントなんですよ。お由羅騒動(高崎崩れ)は斉彬派のお由羅暗殺計画が漏れていいるから大事になった側面もあるわけで、報復に報復じゃ何も解決しないんだということを死をもって諭したはずなのに吉之助お前……親父の言う通り赤山が無駄死にはなはだしいのである。こうなると最近完結した漫画よろしく介錯人を自分が引き受けるぐらいの大仕掛けをやってくれてもよかったんじゃなかろうか。赤山が遺した言葉通り、郷中で切磋琢磨していくということになるのだろうけども。

いつの間にかメル友になっていた斉彬公と吉之助。主君(お世継ぎ)をガンガンに煽る吉之助。どうやって検閲をすり抜けたんだ吉之助。もしかして赤山靱負が仲介してて検閲で赤山靱負がとばっちり受けたわけじゃないよな吉之助。

このままだと斉彬にどっぷり依存しそうで心配である。

島津斉興の隠居

Twitterなんかもう今週は「サツマンルーレット」で持ちきりなわけですよ。こういうミーム、安易なテンプレートとしての薩摩武士の肝練りを更に斜め上のアレンジをきかせて出してこられるのはむむむ、といった感じ。シェフの気まぐれサラダ頼んだら餃子が出てきた時のような気持ち。役者さんに流石にもたれかかり過ぎではなかろうか。鹿賀さんの隠居勧告の時の笑顔、対峙するときの余裕と威厳、銃を出された時の狼狽、戦といわれた時の戦闘態勢と緊迫感、最後の脱力、どれも素晴らしいものであった。だったればこそもっといい舞台があったのではないかといいたくなる。以前も何度か述べたが斉興にとって祖父が作った借金を祖父に引退させられた父の代わりに調所と懸命になって返していくのがその半生であった。それがようやっと落ち着いたときにクローンかよといいたくなるような(実際祖父・重豪に斉彬は薫陶を受けている)斉彬が現れてくるのだからそれはもう勘弁してくれ、となるのもわからんでもない。事実、斉彬の陰には幕府があり、斉彬が幕府の傀儡にならないという保証はどこにもないのだ。その辺りをもう少し台詞だけでもなんとかならなかったのだろうか。「調所がやった」もきっと本心ではなく、長年の相棒が死をもって封じたことを何とか守り切ろうとしての言葉だったはず。その辺りのフォローだってサツマンルーレットをやらなければ出来たはずである。奇抜なことをやるなとは言わないが、へうげもの最終巻感想で描いた通り、大きなうそのためにはその周りを細かな真実で囲まなければ説得力が生まれず、説得力がなければドラマには入り込めない。

ところで隠居はするがその後も実権は持ち続け、斉彬より長生きする。斉彬死後の一年後に斉彬の改革をつぶさにつぶした後亡くなるあたり、大坂の陣後の家康とだぶる。人間、恨みのエネルギーは物凄いのかもしれない。ちなみに自分は長寿の祖父に実権を握られ続け続けたが、その後息子久光に同じようなことを行い、久光も息子に対して同じようなことを行う。そういったことは再生産されていくのだなと悲しくなる。

お由羅の妖気

画面制圧力がすごい

島津斉彬の就任

「権力を使おうとするものは権力の奴隷になり果てる」というようなことを「風雲児たち」の島津斉彬が言っていたが、この作品の斉彬はそうなりそうで心配である。抜群の役者力でなんだか誤魔化されているが斉彬の言っていることは根拠がなく(正しさは歴史が証明しているわけだが劇中ではフォローがない)ただの大風呂敷に見えてしまう。その上藩の内実をよく把握しないまま公権力を振りかざし、細かいケアが出来ていないから多くの犠牲者を生んでしまった。赤山の血染めの着物と吉之助のスパムメールで覚醒した後でもサツマンルーレットなのだから(まだ男伊達の意識が残っているのだろうか)今後も不安が残る。

見終えて

鹿児島県民で、この時代が好きだということもあってまだ脳内補完が出来、また役者さんの熱演もあって観ることが出来ているが、そういった「ドラマ内以外での補完」をしないとつらくなってきている現実があるように思う。限られた尺の中ではみんなが知っているようなことは省略していくというのは必要な手法だと思うが(一昨年の超高速関が原のように)だからといって単純な二元化には疑問が残る。あと、久光をどうしたいのだろうと思う。このドラマの久光はうまくすれば革新的な久光になりそうなので期待したい。