カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

バーニャ!あるいはゴールデンカムイ15巻感想

ゴールデンカムイ 15 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

ゴールデンカムイ15巻限定版が出るということを知るや否や妻が予約してはや3か月余り、発売日(本日)。何故か筆者は電子版を手にしていた。仕方ないんだ……鹿児島の物流が遅いから…一刻も早く読みたいから…表紙が月島軍曹だから……。こんなことをしたのは戦国無双4以来である(トレジャーボックスがkonozamaでDL版を購入)。

ということで鉄は熱いうちに打て、感想は熱いうちに語れ、ということで咀嚼しきれていない感じではあるがそのままに書き留めることにする。限定版の茨戸アニメについては鑑賞後、項を分けるか、加筆するかで感想を残していきたいと思う。

温度差がすごすぎて眼鏡が曇りそうな巻であった。

※ということでゴールデンカムイ15巻までのネタバレがあります

突然のファイトクラブ

気が付くと肉付きがよくなっている谷垣一等卒を尻目に、(いや、尻を出しているのは谷垣一等卒なのだが)月島軍曹がどの場面でもそつなく立ち回る。杉元は相変わらずアシリパさんが原動力である。鯉登少尉は育ちがよさそうである。(アドリブがきかないともいう)気がついたら脱いでいるから困る。月島軍曹も背は小さいもののさすが職業軍人の体つきである。彼らを見初めた……というと語弊があるかもしれないが、とにかくロックオンした男の名は岩息舞治。また都丹庵士を彷彿とさせる当て字っぽいキャラクターだなと思って調べてみると、「マイケル・ピーターソン」という人物がモデルであるらしかった。(トム・ハーディ主演で映画になったりもしているらしい。)マイケル→マイハル、ピーター→岩(ギリシア語の「ペトロ」はもともと岩、石の意味であるらしい。ためになった)、ソン→息、ということか。よくできている。目がキラキラしている奴はやばい、というのはゴールデンカムイを読む上での合言葉であるが、やはりこいつもやばかった。対峙する杉元もやばかった。錯乱し、スタンドめいたラッシュを繰り出す始末。集英社だからってやっていいことと悪いことがあるぞ。別にそのせいではないが傷ついた(体はぴんぴんしているがメンタルの方が)岩息をメダパニ状態の杉元以外の一行は追いかけそして……バーニャ!

なるほど~バーニャカウダってここからきてるんだな~熱いしな~と思って調べてみたらバーニャカウダというのは北イタリアの郷土料理で「バーニャ」は「ソース」「カウダ」は「熱い」を意味するらしく、特に関係なさそうであった。カウダ!

バーニャ内でのやり取りは岩息にスケベマタギのお株を奪われた感があったが、その後無事チカパシに勃起継承したのは見事だった。脚以外に添えるスタンドもあり安定感抜群の射撃だ。ジュウ~~ってお前。文字通り頭を冷やした杉元も正気に戻るが、マジで妙案とは何だったんだろうか。今んとこ殴り合うための口実にしか思えないが。思いついたら加筆しようと思う。

ヘッドショットは過信するな

場面変わってアシリパ組。色々あったけど、アシリパは元気です。ヴぇあっ。アシリパさんに食べさせてもらいながらヒンナしない尾形、杉元がいれば確実に3回は殺されているところである。ヘッドショットでトドを仕留められず、咀嚼もしきれずいぶかしむ尾形。「強い奴を倒すときは頭を狙うな」と何の気なしにいうアシリパ。そしてそれをどこか冷めた目で見るキロランケ。何気にサボったことで杉元がモチベーションを上げるきっかけを作った白石はなんだかんだキーパーソンである。

地獄への道は善意で舗装されている

そして第7師団である。鶴見中尉はまあ死ぬんだろうけどもその中でも二階堂に殺される確率がかなり高いんじゃないかなあと思っていたのだが(俺に殺させるって言ったのに杉元を殺した/他の奴に殺させたの逆恨み)この感じだとなさそうである。

鶴見中尉が郷土料理の話を相手がしたくなるタイプのフェロモンを醸し出しているのかどうかは知らないが、カネモチ、鮟鱇鍋に続き、いごねりのご登場であった。読者に提示される「真実」が二転三転し、特に咀嚼に時間がかかるエピソードだ。模範的軍人であると思われていた月島軍曹が過去は悪童であったこと、父殺しという衝撃的な過去、そして(例えばこの巻でも143話などの表紙に代表されるように)執拗なまでにファーストネームが明かされなかったことにやはり意味があった、月島軍曹にとって基と呼んでくれる人はかけがえのない人であり、そしてもう(少なくとも彼のそばには)いないということであったという描写にはしみじみと感じ入った。そのヒューマンドラマを狡猾に利用して月島軍曹を掌中の玉として得る人たらし・鶴見中尉の恐ろしさにも。過去編はオールスターの様相を呈して画面が豪華だな、といつも思う。大トリにあの不死身男が親友と出てくるのも前回を踏襲していながらもニヤリとしてしまう。

そういえば月島軍曹の初登場は、外国人との外国語を使った交渉であったな、と今更ながら思い出したりもした。

鶴見中尉は二階堂に殺されそう、と先述したが、同じくらい月島軍曹に殺されそうだな、と今までは思っていた(江渡貝君への仕打ちとかが納得していない感じだったので)が、これはなんだかんだ鶴見中尉をかばって死ぬパターンなのか…と思ったりもした。

今回も3か月待ち望んだ分の満足度は間違いなくあったのだが、困ったことに早速3か月後が待ち遠しくなってしまっている。次は12月。冬の北海道物産展とともに迎え撃ちたい。

蛇足・妻の感想

ああ~月島軍曹を夢女子の皆様が熱烈に支持していたのがなんとなくわかった気がする……。