M-1グランプリ2018の優勝者をはじめ数々のネタバレがあります。
敗者復活戦
筆者が投票したのは以下の三組であった。
さらば青春の光
独りよがりにならなければさらば青春の光はやっぱり面白いんだよなと思った。最初の掴みで終わるのかと思ったらものまねネタで最後まで引っ張るとは。
マヂカルラブリー
確実に去年より進化していた。ツッコミでボケという猛獣をコントロールできるようになりつつそれでもちょっと暴走させてしまうという塩梅でこれからも言ってほしい。スタイルとしては南海キャンディーズに近いのではないかと勝手に思っている。
インディアンス
ネイティブアメリカンスでなくていいのだろうか。アンタッチャブルを彷彿とさせるけれどもやっぱり本家と比べるとツッコミに物足りなさがある。けれども3分漫才らしいテンポで昨年同様面白かった。
結果はミキ。最初の方の出番で不利かなと思ったけどさすがであった。
次点のプラスマイナスも面白かったけどもうまいなあ、という感心が先に立ってしまったのが敗因なのかなと思う。
決勝戦
見取り図
初出場の一発目なのにそれを感じさせない面白さだった。「架空の人を繰り出してくる」というのはお笑いの一つのパターンではあるけれども笑ってしまった。でも仕込みがいる行為なのでその分笑いの数で言うと少なくなってしまったのが残念だなあと思う。
スーパーマラドーナ
ラストイヤー。頑張ってほしかったが……筆者がスーパーマラドーナを好きな理由の一つに伏線回収力があったのだが、このネタではそれが発揮されていなかったようで残念だった。落ち武者がいた時の衝撃、キリッとした田中さんが出て来た時の感嘆をもう一度味わいたかった。家族の写真があとあと活きてくると思っていたのだが……。
その後の武智さんのコメントは万感迫るものがあっただけになおさら後悔が募る。
かまいたち
ネタのスケールとしてはコンパクトな、そこを拾うのかという部分を展開してどんどん面白くしてしまうのはさすがの手腕である。妻と話していてなるほどと思ったのは、ボケを説得しようとしてだんだんツッコミの論理が極端になっていってボケが急に冷めて冷静にツッコむというのはブラックマヨネーズっぽかった。
ジャルジャル
去年と同じで沢山練習したんだろうなあという感心が先に来てしまって素直に笑えない。
一張羅の銀はがしみたいなスーツも目にちらちらして気になってしまう。ジャルジャル自体は全く悪くないのだけれど明日の朝テレビの影響を如実に受けるタイプのイケイケ男子が日本各地でドネシアドネシアウエーイしそうな感じで暗澹たる気持ちになる。
妻「ゴールデンでチンチンを繰り出してきた胆力は評価したい」
ギャロップ
一番漫才らしかった。逆にその漫才過ぎるのが良くなかったのかな……と思わせるのがM-1の難しいところである。「安心してみていられる」「安定感がある」というのが純粋な加点要素ではないからだ。(とはいえ銀シャリのような優勝者もいるのだけれど)新春演芸とかで出てきてほしいタイプのコンビである。
ゆにばーす
普通に面白い。けれどやはり普通に面白いだけではこのステージで、このキャラクターでは厳しい段階にこのコンビも来ているのだろう。オール巨人師匠も指摘されていたけれど、あまり強い言葉を使い過ぎないことが次の段階に進むために必要なのかもしれない。
ミキ
ちょっと攻めた感じだなという感想。面白いけどやっぱりルックスネタ1つでずっと展開していくのはうーむ……。といった感じ。敗者復活戦に続き、言ってしまえば「版権ネタ」を使ってきたのも個人的にはあまり好きではなかった。ジャニーズの番組に出演されたことがあるんですね。
トムブラウン
子どもはやりたがるネタだろうなと思った。審査員の方々も触れていたがいちいち観客にふる律義さがじわじわ面白い。でも一番面白かったのは加藤一二三九段のネタ紹介の下りだった。Gyaoで見られるらしいので見てみたい。
霜降り明星
昨年敗者復活戦で見た時はツッコミがイマイチ…(毎回ツッコミの時に取るポーズがなんかイラッとするのと言葉が乱暴なのに面白さに繋がらない)だったのだが今回は滅茶苦茶面白かった。舞台を広く使えていたし、こっちが予想しているところにちょい足ししてくるツッコミが素晴らしかった。
和牛
トリのプレッシャーを全く感じさせない貫禄の漫才。正直最初は大丈夫か……と思ったけれど今までとは違うパターンでしかし、期待通り終盤の畳みかけを見せてくれるのだからやはりこれが常連の力かと改めて思わされた。それだけに「殺す」以外の言葉が何とか見つからなかったものかなあとも思う。
最終決戦
ジャルジャル
面白かった。多分ジャルジャルファンが好きなジャルジャルと一般受けするジャルジャルをすり合わせていくとこういう感じになるのだろうかと思う。それでもやっぱりジャルジャルの漫才から感じてしまう「ショートコント:漫才」は一体何なのだろう。ジャルジャルは懸命に漫才と向き合っている。それは判るのだがなぜか漫才師としてのジャルジャルは薄皮一枚を纏っているように感じてしまうのである。血のにじむような練習が起因する「作り上げた」感じがそう思わせてしまうのだろうか。ラストイヤー、残念であったが肩の力を抜いてもらうことでさらに漫才師として一段階レベルが上がってくれると信じている。
和牛
三組すべて見た時、今年は和牛だな、と思っていた。去年も和牛だな、と思っていた。正直なところどちらともに獲得していても全くだれも驚かなかったろうと思える。
こうなってしまうと来年以降ももちろん出場してくれると信じているが、並み居るライバルに加え、過去の自分が審査員の中で自分の敵になってしまうだろうから年々獲得は厳しくなってしまうだろう。来年は是非獲得してほしい。
とりあえず警視庁は一刻も早くオレオレ詐欺撲滅大使に任命してほしい。
霜降り明星
決勝戦の方が好きだった。が、昨年の敗者復活戦のネタをリメイクしたものであるので、それでリベンジを果たしたことがなかなかエモーショナルであったと言える。
幅広い層に受けるコンビだと思うので年末年始が楽しみである。
観終えて
全体的に外れがなく、面白く観られた。スーパーマラドーナだけが残念。勿論、M-1だけがお笑いではない。また別の所で二人の漫才を観たいと思う。もしくは謎の新人ウルトラマラドーナが来年出てきてもいい。
予想検証
筆者の予想は
1位 スーパーマラドーナ
2位 和牛
3位 ジャルジャル
であった。霜降り明星に完全にまくられた感じである。
見事的中させたというDJ Kooさんは来年是非審査員として参加していただきたいと思う。
しかしM-1って昔はもうちょっとクリスマス前後っぽいイメージがあったのでなんか感覚が妙な感じになる。