カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

NGT48は「すべてを真っ暗にしてからやり直す」ことが出来るのか

余談

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NGT48を筆者が初めてしっかり見たのはHuluの「さしきた合戦」で、どちらかというとHKT48が目当てだった。と言ってもリアルタイムではなく、丁度今から1年前くらいに見た。実際の放送は2016年の1月だったというから2年ほど間が空いていたことになる。

若いグループ特有の初々しさや「食少女」でふと見せる素顔に筆者と妻は魅了され、関連情報を検索してみると2年の間に少女たちは誰もかれも別嬪さんになっていてたいそう驚いたりしたのだった。

「おかっぱちゃん」「かとみな」「おぎゆか」という単語くらいしか知らなかった我々は視聴が終わる頃には「なぜ『にいがったフレンズ』は配信してくれないのか」と思うまでになっていた。

そして筆者はとりわけ、「世界はどこまで青空なのか?」という曲に心を打たれた。


<期間限定>NGT48『世界はどこまで青空なのか?』MUSIC VIDEO Full / NGT48[公式]

 

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 以前の記事にも書いたがこの曲はMVも含め、今のAKB系地方アイドルを描き切っているように感じられとても好きだ。正直兼任する必要あるのか? と思っていた柏木さんの存在感がまた良い。稲穂を背に絶望してはいけないことを全てを一度通り切った眼で歌う彼女は誰が何と言おうとNGT48だった。

続いてリリースされた「春はどこから来るのか?」も紛うこともなき名曲であった。その後第10回選抜総選挙があり、PRODUCE48があった。一部のメンバーは韓国でも「見つかって」いったものの、ネガティブな話題も多く、全体的には先年よりもトーンダウンしている印象がありもどかしかった。

3周年記念公演の告知があり、もうそんなに経ったのか、と驚いた。

本題

まほほんこと山口真帆さんの涙の訴え…という記事を筆者が観測したのは昨日の朝のことである。NGTの誇るビジュアルクィーンでありながらも滑舌が残念でおっちょこちょいよりである、というのが筆者の彼女に対してのイメージだった。

最近はTwitterで意味深な発言を繰り出し、ただでさえ痩せているのにますます痩せる、しかもその原因はストレスであると公言するなどなにかが彼女の身に起きていることは感じていた。

しかし記事タイトルはにわかには信じがたく、一瞥して筆者はいかにもバイラルメディア的な飛ばし記事だと思った。夫婦はアンテナが似通う。妻も同様の記事を目に留めたようだった。スクロールしながら、妻の顔が厳しくなっていくのがわかった。

自ら確認してみると胃の中に重油を流し込まれたような気分になった。彼女が最近心身のバランスを崩しているのは明らかであり、またそういった場合は物事を極端に解釈したりストーリーを生み出してしまう例もままあると聞く。そういった類なのか、と思った。思いたかったと言っていい。一方で「23歳自営業と発表してもらうことにした」という辺りなど、失礼ながら作り話としては余りにも行き届いていて引っ掛かりがあった。それは喉に下された錨のようにジクジクと筆者を苛んだ。

そして昼、NHKニュースに山口さんの件が報道された。少なくとも男性が恐らくはNGT48の寮に入り込んでいたのは明らかであることが裏付けられ、背筋が凍った。ということはその他のことも真実なのではと思うと歯の根が合わなくなりそうなほどであった。

他方、その男性を「ファン」と呼称されることに何とも言えない憤りを感じた。なるほどファンがファナティックを語源とするならこれほど相応しい行動もないのかもしれないが、しかし筆者の中の「アイドルファン」はこれをファンと呼ぶことは、同類と認めることはどうしてもできなかった。世に言う「厄介」以外の何物でもない。

大本営、NGT48運営は沈黙したままであった。翌日には3周年記念公演が控えているのにも関わらず。

夜も更けてようやく、「メンバーは無関係である」ことが発信された。メンバーは誰もかれも沈黙していた。山口さんがSOSを発した場でもあり、NGT48やSTU48など設立が若いグループや加入して歴が浅いメンバーにとっては主戦場でもあるSHOWROOMでの配信も行われず、日々配信してファンとの交流と実績づくりを行ってきた(まいにちアイドルというシステムで何日連続で配信しているかカウントされる)幾人ものメンバーの記録が途絶えた。

運営の発表に対抗して更なる爆弾投下を期待とも不安とも言い難い気持ちで見守っていた人々は結局のところ憶測と憤懣を抱え込んだまま寝不足な朝を迎えることとなった。

そして本日、3周年記念公演は行われた。わざとらしい自然さで「PARTYが始まるよ」が流れ出す。「すべてを忘れて」から始まるのだから最高の皮肉である。

なんとも盛り上がり切らない中、柏木由紀さんの名演で知られるてもでもの涙が流れる。登場したのはオリジナルメンバーである柏木さんと。

山口真帆さんであった。オープニングには登場しなかったのでざわめきは大きい。筆者も完全に虚を突かれた思いであった。パフォーマンスは堂々としているが、やはり痩せた体が痛々しい。

そしてその後、山口さんは謝罪した。深々とお辞儀をした。

え?

そして公演は終わり、多少のざわつきはあったもののアンコールも行われ、支配人以下大人は出ないまま3周年記念公演は「平和裏に」幕を閉じた。

それはNGT48運営が今日一度死んだことを意味していた。

どうやったらこんな悪手以上の何かを出来るのだろう。支配人は鹿児島出身であるという。おいは恥ずかしかっ生きておられんごっ!といった気分にさえなる。

追って防犯ベルで対策しますという発表もあったという。最も有効な使い方はそれでそんなことをのたまう阿呆の頭をカチ割ることだと思うがそれはいい。

大人が逃げてはいけない。

それだけである。

北原里英さんのコメントがわずかな救いだろうか。

「世界はどこまで青空なのか?」の歌詞で予感されたすべてのことは最悪の形で結実した。あとは山口さん自身が言ったように新たなNGT48がこの暗闇からやり直されることを信じるしかないが、正直なところ今の筆者には無理である。

白い紙に黒い点が一つ打たれたら、もうそれを白い紙と認識する人はいない。それはもう黒い点が打たれた紙である。白の面積がどれほど大きくても。


〈期間限定〉 NGT48 3rdシングル「春はどこから来るのか?」MUSIC VIDEO Full ver. / NGT48[公式]

NGT48の春はどこから来るのだろう。筆者には長い氷河期に入ってしまったようにしか思えない。

妻が残したメッセージ性の高い落書きを以て結びとする。