カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

刀剣乱舞と東映特撮の間には暴れん坊将軍がサンバしている、あるいは審神者諸賢にオーズTV版が厳しいなら劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダルを鑑賞してほしい話。

余談

前回の記事が余りに分不相応なアクセスを頂き大変驚いた。

筆者は前述したようにアラサーであり、その大半をモブとして過ごしてきた。これからもそうであろう。

日曜のやや遅い朝、おっ戦隊ものがやってる早起きしちゃったなあと思ったら既にそこそこいい時間という長年染み込んできたニチアサタイムの時間変更によるアリバイトリックを食らいながら何の気なしにツイートした。

いつも記事は深夜のテンションで書き上げることが多く、少しでも多くの人の目に留まってほしい筆者は翌日の朝、場合によっては昼、内容によっては夜まで宣伝ツイートをすることを自分に許していた。今回もそんないつものルーティンだった。

初めて自分のツイートが4桁行くことを体験し、有り難いことに今も鍛刀終了したかと思ったらRTやいいねの通知だということがあったりする。

拙い感想を晒されているのでは、と恥ずかしながら「エゴサ」をしてみたが、これまた汗顔の至りながら肯定的に捉えてくださっている方がほとんどであった。

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もう二度となさそうなので思わずしてしまったスクショ

妻に言われてみてみると、初めておすすめ記事の一番上に自分の記事があるのが確認出来た。

審神者諸賢の作品への愛、公開から初めての土日というタイミング、男性審神者という物珍しさ、特撮畑(というほど詳しくもないが)という別アプローチの新鮮味、ネタバレ配慮のためTwitterでは公に出来ない諸々の発散などいくつもの偶然が重なった少し遅いお年玉のようなものであった。

それは刀剣乱舞という巨大コンテンツの威を借りたに過ぎない結果ではあるけれど。それでも変な話、その方にとって何のメリットもないといっても過言ではないアラサーの世迷い言を読んでくださり、拡散してくれ、あまつさえ感想まで呟いてくださる方々が多数いたことは本当に、本当に嬉しいことであった。

件の記事は深夜に構成もへったくれもなく勢いだけで書いたため、(それは今この記事もまさにそうなのだが)誤字脱字や勘違いなどもあるけれども、暫くはそのままにしておこうと思う。(多分この記事のリンクは張るけれども)

それまでに書いてきた刀剣乱舞関連の記事が振り返って読まれているのも嬉しい。刀に神が宿るように、全ての記事は拙くとも筆者が丹精込めて書いた我が子の様に可愛い記事たちである。日の目が当たるとほくほくする。

刀剣乱舞が好きでよかった、審神者でよかったと心から思った。

刀剣乱舞以外の話も沢山しますけれど。

仮名太が語る故、カナタガタリ。よろしければ今後も御笑覧のほどをお願いいたします。

夢は「カナタガタリ」と入力したときに、

もしかして:「カタナガタリ」とサジェストされなくなることです。ちぇりお!

本題

余談が、ながくなった。

さてということで前回書いた記事で、映画「刀剣乱舞」が面白かった方には「仮面ライダーオーズ」をお勧めさせていただいた。その理由を詳しく言うとネタバレになってしまうので省くが、しかし110分の映画を見てもっと知りたいな…靖子にゃんのこと……となってくれた審神者諸賢に30分×48話を見てくれとお願いするのは「運転免許取ったの? じゃあF1出てみて」くらい無配慮であることに今更ながら気づき恥じ入る次第である。

なので今回、66分の映画「劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル」をお勧めさせていただきたいと思う。

以下、同映画の致命的なネタバレはありませんが予告編でなんとな~く察せられそうな感じの内容は紹介していきます。

www.happyon.jp

あらすじ

舞台と公開年は2011年。日本にとって大きな受難があった年、「ヒーローが日本を元気にする」をキャッチコピーに本編は封切られた。

予備知識としては冒頭でさらっと説明してくれるが、今作の仮面ライダー・オーズは三つのメダルによって変身すること。

そのメダルは800年前に作られたもので、それを集めようとする異形の者=グリード(今回影が薄い)がいること。

そして主人公・火野 映司と行動を共にする「アンク」と呼ばれるものはそのグリードの一味でありながらも主人公と奇妙な相棒関係にあること。

この三つがあればなんとかなる。三つあればメダルなら変身できるし、予備知識なら映画が見られるし、三つまでしか覚えられなくてもジェイル・ハウス・ロックには対抗できるのである。

冒頭。そのオーメダル発祥の地で古き良きニコニコ動画であれば「だいたいこいつのせい」タグがつけられてしかるべき鴻上会長の手によってオーメダルを作ったまさにその人、錬金術師ガラが復活してしまう。特撮でガラと言えばコットポトロがばったばたする人もいるかと思うが、特に関係はない。酒井美紀さんが演じていたりする。

復活したガラは人々の欲望を基にメダルの表裏の様に世界を裏返し、過去の世界と入れ替えてしまう。(何を言っているかよくわからねーと思うが考えるな。感じるんだ。錬金術はすごいのである。突然大量の札束が出現したのも多分錬金術の力である)

そして入れ替わった「過去の世界」の一つ、江戸時代に主人公たちは迷い込む。

そこにやってきた怪物。苦戦する主人公たちの前に明らかに貫禄が違うあの人が表れ……

と言った次第である。

なぜおすすめするのか

66分と短いながらも詰まったオーズらしさ

繰り返しになるが、理想としてはオーズ本編を是非見てほしい。1年というスパンだからこそ紡げた物語、得られる感動がそこには必ずあるからである。しかし映画刀剣乱舞刀剣乱舞世界にとってそうであるように、本劇場版はオーズ本編の圧縮版としての側面を持つ。

無欲な主人公の秘められた欲望とは。

異形のモノとヒトは、そしてヒトどうしはどう関わっていくべきなのか。

メダルコンボを始めとしたアクションの爽快感。

この三つがコアとなって多少お祭りならではのとっちらかりや尺的な勿体なさはあるものの、おおむねすっきり見ることが出来る。

そこに映画ならではのエッセンスとして盛り込まれた暴れん坊将軍登場シーンはカタルシスに満ちている。仮面ライダー暴れん坊将軍という絵面は当時からあまりにもネタ的で話題になったが、事態好転のきっかけになる観察眼は鋭く、生身で怪人に立ち向かう暴れん坊将軍はやはりそれだけのカリスマ性に満ちているし、剣劇はすさまじい。シノギからのバッサリは爽快。シリーズ終了は2003年だから子どもは何のことか判らないのでは? とは言わない約束である。(一応、テレビスペシャルが2008年にはあった)

多少のSF展開もかつてすい星を向こうに回した将軍ならどうってことなかったであろう。

映画の日本号役・岩永洋昭さん演じる伊達さんが大体日本号

映画刀剣乱舞で豪放磊落かつ細かい気づかいが光る日本号を演じた岩永洋昭さんは本映画に伊達明役として登場しており、後藤慎太郎という真面目で必死なんだけれどもどこかずれている大体へし切り長谷部な人物と名コンビを組んでいる。若き日の岩永さんを見ることで、映画刀剣乱舞日本号に一層愛着がわくことは自明である。

ちなみに本映画にはミュージカルテニスの王子様不二周助役や直近では薄桜鬼の土方歳三役でお馴染みの橋本汰斗さんも出演されている。

暴れん坊将軍徳川吉宗と刀剣の深い関わり

因みにゲストである暴れん坊将軍こと徳川吉宗にも刀剣乱舞とは浅からぬ縁があることも本映画を勧める理由の一つである。

徳川吉宗と言えば米将軍の異名を持ち、質素倹約に勤めた江戸三大改革の一つ「享保の改革」でも知られる。

享保……?

アンテナ高き審神者諸賢はピンと来られたかもしれない。

そう、「享保名物帳」として知られる、本阿弥家の第13代当主本阿弥光忠や本阿弥一族が作成した名刀250口の一覧。その編纂を命じたのが時の将軍・徳川吉宗公だったのである。ハハーッ(平伏)。

要するに幕府と本阿弥家お墨付きの名刀リストであり、現在でも刀剣界で「名物」と言うとき、狭義ではこの享保名物帳に載っているものを指すというほどの刀剣の格を決定づけたものであると言える。

原本は現存しないが写本が存在し、主として「厚藤四郎」から始まるものと「平野藤四郎」から始まるものの二種類が存在する、というこの情報だけで一部の審神者諸賢は悶絶ものであろう。

その写本のうちに註を付けた「詳註刀剣名物帳 : 附・名物刀剣押形」が大正年間に出版され、現在は国立国会図書館のデジタルコレクションで無料で見ることが出来る。いい時代である。

dl.ndl.go.jp

いきなり小烏丸の押形から始まるのだからたまらない。未実装の刀では童子切安綱、實休光忠など垂涎である。

当時の本をスキャンしたものであるので、読みにくい部分などもあるが、概ね判読は出来ると思われる。掲載された逸話は資料として非常に価値の高いものではあるが、あくまで当時の解釈・説であり、現在の定説とは異なる記載がある可能性があることにはご留意されたい。

ちなみにビューアがしっくりこないという方はkindleにて有料だが配信されている。

 

詳註刀剣名物帳 附・名物刀剣押形

詳註刀剣名物帳 附・名物刀剣押形

 

 

詳註刀剣名物帳 附・名物刀剣押形

刀剣の秩序をただしたという点では正しく審神者の父と言っていい側面のある人物である。平伏するために本映画を見てみるのもいいだろう。

観終えた後に

以下はネタバレ感想を書き綴っていきたかったのだが、遅筆の悲しさ、二時前になってしまったので寝ることにする。

審神者諸賢ほか、ご興味がわいた方は是非ともご鑑賞いただきたい。そしてオーズ本編にも手を伸ばしていただきたい。ノブナガの欲望は別に見なくていいです。

↓邦画プレゼン女子高生漫画にも取り上げられている。こちらもまた必見である。

 

 次回があれば特撮勢に活劇刀剣乱舞9話をお勧めする記事を書きたいと思う。

おやすみなさい。