カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

プリズムに煌めいてあれ――はじめてキンプリ見たよ、あるいはKING OF PRISM -Shiny Seven Stars-1話感想他

余談

噂は聞いていたのである。キンプリはヤバイらしいと。TLで垣間見するその界隈は、製作者がクレイジーか、ツイート発信者がファンキーなのか、あるいはその両方であるのか……一言で言うなら混沌であり、二言で言えば対岸の狂騒であった。

今月初め、一つの動画を妻から見せてもらった。


EZ DO RAP & ヒプノシスマイク-Street Rap Battle- Squash The Beef/Buster Bros!!!&KING OF PRISM Street Unit

実は夫婦そろってヒプノシスマイクにハマりつつあり、本来であればその経緯を説明した二記事ほどを挟んでからこの記事と展開していきたかったのだが、

何しろ、

abema.tv

4/20の0時より一話が無料開放され、

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過去作二つが4/20の十二時まで無料であるのだからこのタイミングでお勧めするしかないのである。無論、正規料金を払ってもそれ以上の感銘があるのだが、資本主義社会においてタダより安い物はないのである。全ての熱量は新規会員を思い立って、個人情報を入力して支払方法を登録している間に1/10になってしまうものだからだ。ただワンクリックだけのうちにこのエンターテインメントを取り入れてほしいのである。

話が前後した。そういうことでしっかりと所謂「キンプリ」に向き合ったのはこれが初めてだった。短い付き合いだが愛着の湧きつつあるヒプノシスマイクの代表的なビートとバースをオリジナルなリリックに載せて宣戦布告する三名。

大和アレクサンダー、香賀美タイガ、十王院カケル。画数では山田三兄弟の完敗である。カヅキさんって誰だ、君の直後にチャラそうな男が出てくるが大丈夫なのか、そういった戸惑いを吹き飛ばすそれぞれの強烈なパンチラインにたたらを踏んでいると今度は山田三兄弟のアンサー。(筆者は後から知ったのだが前日のうちにこのアンサー部分が公開され話題になっていたのであった。そしてキンプリ側でも新聞で話題に。筆者はこの時、キンプリに本編随所に織り込まれる豊富な新聞ネタに目を白黒させられることをまだ知らない)

これは……EZ DO DANCEじゃないか! 幼き日のヒット曲をこんなところでこんなアレンジで聴く機会に恵まれるとは、と動揺している間に二作品間ではPEACEが成り立っていた。完。

否、始まりなのである。賽は投げられたのである。

刀剣乱舞ヒプノシスマイク。世間で女性向け作品と言われる二つに楽しませてもらっているアラサー男性が女児向け(派生)作品に足を踏み入れる舞台は整ったのである。

 

ここからはネタバレがあります。出来れば初見の方はまっさらな状態でプリズムに煌めいて頂きたいので騙されたと思って一話を鑑賞してみてください。ちゃんと二十五分で終わります。

本題

KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-は筆者の暮らす大都会では残念ながら上映がなく、足踏みをしていたのだが、BSテレ東でも放映されているということで録画してみることにした。有難うBS放送。文化の極みよ。よかったNHKにBS料金で加入していて。有難うNHK。NHKオンデマンドを受信料と込々にしてくれNHK。せめて見逃しと特選を統合してくれNHK。受信料まで併せるとabemaの3倍くらいするぞNHK。

いきなり中性的な人物が開幕を宣言し、続いて三人組がパフォーマンスを始める。突然の電車。全裸。終電。アフレコパート。星座。お酒は20歳になってから。すごい説得力だ。どこからが現実でどこからがパフォーマンスのイメージ映像なのか。全てが現実なのか。全てがイメージ映像なのか。

そうではないのだった。全てがキンプリであるのだった。

ただ、思っていたよりもずっと親切だった。プリズムショーの説明、トレンドの説明、メンバー紹介、(タイガ君が思ったよりも純朴で、カケル君が思ったよりもチャラくなかった)天然ガスの高さ、対立構造、放漫経営、大和アレクサンダーの孤立(絶対にストリート系だ)、メンバーの信頼関係……これまでの流れが何となくわかったような感じになった。気が付けば風呂に入っているので油断ならない。

新たなるステージが開幕したところで次回に続く。既に来週が待ち遠しくて仕方がなく、とりあえず応援音声にして二週目に入り、世に言うキンプリエリートの凄まじさと素晴らしさを言葉ではなく心で理解するのであった。

二週目終了後、妻と無言のアイコンタクトを交わし、KING OF PRISM by PrettyRhythmの再生が始まった。そうなると加速度的にKING OF PRISM -PRIDE the HERO-も続けて視聴するのはHBの鉛筆をベギッとへし折れるくらい当たり前のことだ。

一夜明けてまだ余韻の中にいるが、聖鼻毛領域(ボーボボ・ワールド)の中でコロコロホビー漫画とあしたのジョー北斗の拳ウテナめいてリミックスされた結果しかしそれはやはりキンプリに落ち着くのだ、という納得と感動があった。EZ DO DANCEという曲の重みに改めて感じ入ったし、新聞が出るたびに一時停止できる環境でよかったと思った。代表は経営から身を引いた方がいいとしみじみ考えたし、ドラゴンズネストが出て来た時の時系列を追ってきたエリート諸賢とは違う方向の「ここ、あそこじゃん!」という感激は今、このコンテンツに触れたからこそであるという喜びがあった。

また少し調べて、初めの劇場版は14館での上映からスタートしたということで改めてエリート諸賢への畏敬の念を禁じ得なかった。

大いなる愛が人々を救い、スタジアムを救い、地球を救った。愛が地球を救うというそんな簡単なことを我々は久しぶりに一切の欺瞞がない真実として受け取ることを許されたのである。全ての登場人物がそれぞれに光を放ち、それはプリズムに煌めいて拡散し、増幅し、昇華していった。

これほど幸福な結末を迎えておきながらしかし主人公の話は転がり始めたばかりであり、じゃあエーデルローズに今度は一千億の負債を背負ってもらいましょう、というのはなんたらと天才は紙一重と言わざるを得ない脚本の妙であるな、と過去をDigして改めて感じることも出来た。

非常に濃密な時間を過ごせたことに感謝をしたい。この時間を継続するためには今後どうすべきか、エリート諸賢に教示を請いたいところである。