カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

早朝早々妄想ヒプノシスマイク―いつもチープダイブ、あるいはイケブクロVSシブヤをしなかった運営の意地について。

※以下、現在まで公式から提供された情報のネタバレを含む誇大妄想が繰り広げられているのでご注意ください。

余談

妻がシンジュクの女であり特に観音坂独歩君とりわけ愛情を注いでいることは、折に触れ語っている通りである。

先日、舞台化の発表があった。

正直なところ筆者は戸惑いを隠せなかった。

同じ月内にDivision Rap Battle- 4th LIVE@オオサカがあったからである。

筆者はライブビューイングで参戦し、そこに確かな十二人の現世への顕現を見た。

「彼ら」は「彼ら」以上に「彼ら」であったとすら思う。

レコーディングの後も十二人は声優さんたちの中で育ち続けて続けており、あの時見た彼らこそが最新の「彼ら」であるのだと思った。

それが「ヒプノシスマイク」というコンテンツの魅力であり、強みだと思った。

「中の人」が彼らだったからこそ、ここまでのモンスターコンテンツに育ったのだと。

そこに、舞台化である。念のため言っておくが俳優諸賢に対して思う所は全くなく、応援している。彼らはプロである。プロがその力を求められる場所でパフォーマンスをこなすのは当然なことである。

ただ、運営側が恐らくメインユーザー層が最も思い描いた形でこの次元に十二人を召還せしめたその同じ月に、別のアプローチをしてくるのか、それがどうしてもわからなかった。

しれっと「音楽原作キャラクターラッププロジェクト」になっているのが一番腹が立ったというか、悲しい気持ちになった。

筆者は、「声優による」ラッププロジェクトであることがヒプノシスマイクというコンテンツの胆なのだと思っていたが、運営の考えは違ったらしい。

今後もずっと追いかけ続けるとは思うが、この喉の小骨が早く抜けてほしいと思う。

本題

とはいえ筆者はヒプノシスマイクの運営を嫌いにはなれなくて、なぜかと言うとヨコハマVSシンジュクを実現させたからであり、逆に言えばイケブクロVSシブヤをさせなかったからである。

筆者は最近、PRODUCE48に始まり、サバイバル番組をよく見ている。

残念ながら、票の不正操作疑惑があり、物議をかもしているサバイバル番組は多い。

こういった番組の運営は業火に投げ込まれてしかるべきである。順位自体はいじっておらず単なる「見栄」のための票数の水増しであってほしいが、「ファンの純粋な投票行為」に運営が介入し、実際はデビューできたはずの子がそのチャンスを摘み取られた可能性も否定できないのがとてもつらいところだ。

デビューできなかった子はもちろん、実際にデビューできた子にも不要な十字架を背負わせるのがこの問題の本当にクソッタレなところで、大学不正入試のように、「自分も、もしかしたら……」という気持ちを何の罪もない子たちに与えるのは控えめに言って鬼畜の所業である。

我々視聴者は視聴者という一番外側から観測しているからこそ、彼ら彼女らの努力が本物であることを知っているし、だからこそその結果を最もアウトサイドの我々に委ねるという仕組みに魅力を感じるのである。

それをちゃぶ台返しするようなことは本当に許しがたい行為だ。誰も幸せにならない。

また、未だ混迷の中にあるというか運営自体が毒霧をまき散らして五里霧中にしている感のあるNGT48問題にも票の水増し・不正操作はついて回っている。

頼む、AKSを経由せずにアイズワンにお金を落とせる方法早く出てきてくれ。

ふるさと納税みたいに使途を指定したい気持ちで一杯である。

これらの運営に比べるとヒプノシスマイクの運営は何倍もマシである。

恐らく前回のバトルシーズンで運営がやりたかったファイナルはイケブクロVSシブヤであっただろうから。

2nd LIVE@シナガワにおいて結果が発表されたとき、左馬刻様から浅沼晋太郎さんに戻ってまで彼は「イケブクロが勝たなくてどうすると思った」と述べた。ハマのリーダーではなくこのプロジェクトに関わる一人の人間として。

文脈として考えれば、確かにそうなのである。

イケブクロ・ディビジョンは一見して「主人公チーム」としてデザインされている。スタンダードな(でも実はオタクだったり少し「掘る」だけで魅力が沢山出てくるのも素晴らしい)キャラクターのリーダー・山田一郎を担当する木村昴さんはその溢れるHIPHOP愛とセンスで好良瓶太郎としてもサポートし、正しくプロジェクトの屋台骨である。

ストーリーとしても尊敬していたパイセンを超えていくというのは王道である。

また、シブヤ・ディビジョンはリーダーである飴村乱数が中王区の息のかかった人間であり、「夢野幻太郎」も有栖川帝統も中王区への繋がりを伺わせるキャラクターとなっている。勝ち上がり、中王区の要求を満たしつつ叛逆を狙う。これもまた、王道のストーリーだろう。

かくして主人公チームであるイケブクロ・ディビジョンはシブヤ・ディビジョンと決勝にて対峙し、山田三兄弟は中王区の闇の一端に触れつつも見事勝利を収める。

だが、中王区には彼ら兄弟と共通点を感じさせる胡散臭い男がいて、次回ディビジョンラップバトル参戦を予感させるのだった……。

というのが、運営の描いていた展開ではないか、と筆者は考える。

しかし実際はヨコハマとシンジュクが勝ち、シンジュクが優勝し、観音坂独歩君は賞金を落とした。

ここに筆者は運営の誠実さを見る。

もちろん、ヨコハマもシンジュクもとても魅力的である。が、同時にカウンター的なキャラクターであると思う。

「しかし」、「だからこそ」、彼らは強いのである。我々は何度も「黒イケ」が「白イケ」をなぎ倒していくのを見て来た。カウンターの恐ろしさを見せつけられてきた。それこそポケットビスケッツブラックビスケッツの昔から、筋書きが見えているなら打ち破りたいという欲求があることを知っていた。

勝敗の理由をここで分析するのは本意ではない。

まだ始まったばかりでファンが「あったまって」いなかったこと。フックの弱さ。(他がヤクザとか軍人とか出ているのに長男次男三男ってお前……大体なんで職業じゃなく家族構成なんだよ)ファン層の違いによる資本の違いなどなど、諸々の複合的な結果であろう。事実として言えるのは、負けたことがあるということがいつか大きな財産になるということだけである。

勝敗は問題ではない。この事実を、運営は発表した。それが全てである。

やろうと思えば、実際の票数がどうであれ、本来の筋書き(と筆者が妄想している)展開に運営は持っていくことも出来たのである。

それをしなかったことに筆者は運営がプロジェクトに関わった全ての人々―出演者や楽曲提供者、ファンたち――への信頼を感じるし、その気持ちを持ち続けてくれればこのプロジェクトはきっと大丈夫だと思う。持ち続けていてくれ。

その後、アルバムのドラマトラックでバトルシーズンでは実現しなかった組合せのラップバトル―イケブクロVSシンジュク、ヨコハマVSシブヤが展開され、大いに沸かせてもらったが、一方でイケブクロVSシブヤはついぞ起こらないまま、新ディビジョン追加が発表され、新たなバトルシーズンに突入しそうである。

それはもう片方がヨコハマVSシンジュクという決勝戦と同じ組み合わせになるから、というのもあるだろうけれど、もっと大舞台で運営の考えるイケブクロVSシブヤをファンにいずれ見せつけたいから、というのは筆者の考え過ぎだろうか。

筆者が運営に一つ助言をするとすれば、ナゴヤ・ディビジョンが追加されたが、地元愛にあふれ、今年は総選挙が無くて金が有り余っているだろうSKE48ファン諸賢が彼らを見出すことがあれば、バトルシーズンは大いに「荒れる」であろうことを覚悟しておいた方がいい、ということくらいである。

もしかしたらあのキングレコードが参画している運営のこと、このムーブメントを見て「イケブクロVSシブヤ」は次の次のバトルシーズンまで持ち越して限界まで搾り取ってやろうと画策しているかも知れないが……。

蛇足・「Stella」妄想

前提として妻は(筆者も)箱推しであり、しかし妻はとりわけ観音坂独歩君が好きであるということは前述したとおりである。彼女はまた、いつものパターンなら飴村乱数君にハマっていただろうとも言い、しかしもともと興味を持たきっかけは「鶴丸国永=「夢野幻太郎」を演じている斉藤壮馬さんがラップをしているらしい」であったからとも言う。事実、「Stella」で号泣していた。

そのStellaはカラオケで歌おうとすると最初の語りで店員さんがドリンクを持ってこないことを祈る必要がある以外は実に素晴らしい曲で、特にHookはプロジェクトの曲中屈指である。

そしてまた、考察捗る歌詞でもある。今更釈迦に説法であるが、今しばしオタクの早口にお付き合いいただければ幸いである。口角泡が飛ぶ心配もない。

曲中の彼らはそれぞれ元王様、盗賊、科学者と言う設定がなされている。

有栖川帝統君が元王様というのは分かる。スゲーよく分かる。端々から、恐らくは中王区関係の、元「やんごとなき」出でありそうだというのは感じられるからである。

飴村乱数君が老いを止めた科学者というのも分かる。彼もまた、単純な「ヒト」でなさそうなのは示唆されているからである。

筆者が運営の筋書きがイケブクロVSシブヤだったのではないかと妄想するのはここにも理由があって、山田三兄弟と飴村乱数はなにかしらの繋がりがあるのではないか、と考えている。数字の三兄弟に対して、「乱数」という名前はいかにも示唆的であるし、それぞれと深い関わりである天谷奴零が偽名だとして、「あまやどれい」が「あまやどり≒雨宿り≒飴宿り」のもじりであって、飴村乱数という存在をこの世に宿すのにあたって桐生ちゃ…いや小野ミチ…いやいや天谷奴零が暗躍しているのではないかと妄想してしまう。

そしてそれはそのまま山田三兄弟の出生の秘密―彼らのオッドアイにも関わることだったとしたら……と。

山田一郎君のリリックに「与えよ生命(アニマ)、それだけが業(カルマ)」という一節がある。飴村乱数君の「幻覚」、神宮寺寂雷先生の「ヒーリング(これも碧棺左馬刻様の「貴様は洗脳俺様は行動」のリリックから実際には脳を騙してエンドルフィンか何かで誤魔化しているんでないかと筆者はにらんでいるが)」のように、彼のヒプノシスマイクの特殊能力が「生命」に関するものだとしたら。そして血縁関係を疑われる天谷奴零にも似た様な能力があったとしたら……?と。

来月末のオオサカCDが楽しみである。

余談が、ながくなった。その二人は分かる。元王様と科学者。

ただ、「夢野幻太郎」先生、妻の言う所の「マボ」は、盗賊である。

これは分からない。妻はレジェンド推しである「バクラ」を思い起こして一人興奮していたが、それは置いておく。(そういえば、オオサカ・ディビジョンが出たらコントに出そうなコテコテの泥棒が出るかと思ったら出なかった。まあ、詐欺師も似た様なものが……)

分からないなりに何度か聴き、コミカライズを読んだりもしてみて、一つの妄想を築き上げるに至った。

「夢野幻太郎」先生と、筆者は彼を呼称している。「夢野幻太郎」という表記は、何も格好つけて括弧つけている訳ではないのである。

あなたは、誰なんですか、と筆者は「彼」に尋ねたいのである。

本当に夢野幻太郎なんですか、と。

かつてシナリオライアーを聴いたときも筆者は似た様な事を考えた。実は曲中に出てくる「友達」こそが今歌っている「彼」なのではないかと。

この不誠実な語り手という手法、さも自分はAであるように話をするが実際はBであった、というのは前世紀末に新本格で、ついで洒落怖界隈で流行り、うんざりさせられたものであったから、先に自分で予防線を張る癖がついてしまっていて、久々にその悪癖が出てきてしまったな、とその時は自分でもうんざりしてしまっていた。

次にそもそも「友達」がイマジナリーフレンド、ということも考えたが、これはコミカライズで実在が確認されたので安心していた。

しかし、「盗賊」である。そうなると、話が違ってくるのである。しかも「Hypnotizeされたhistoire」だ。

そうなるとやはり、妄想が加速してしまうのである。

今我々の見ている「夢野幻太郎」はそのMCnameの如く、幻ではないのか?

本当の夢野幻太郎という人を、故意か過失か、「盗んだ」、なり替わった何者かではないのか?

今の「夢野幻太郎」という状態、それこそが「Hypnotizeされたhistoire」=洗脳されて生まれた歴史、(恐らく初期の)ヒプノシスマイクの暴走によって生まれてしまった産物ではないか?

だからこそ「BattleBattleBattle」のドラマパートで衣装を貶められたとき、怒り、動揺したのではないか?自分の「夢野幻太郎」を演じるための重要なツールであり、親友の面影が揺らいだから。

だからこそ、飴村乱数を通じて中王区は彼を加入させたのではないか。そこから何か、ヒプノシスマイクの重要な情報が得られるのではないか、と。

そのあたりを踏まえると、やっぱりこのプロジェクトの根幹はイケブクロVSシブヤなのではないか、と思うのである。

 

まあ全部、(も)うそ(う)ですけど。

シナリオライアー