(上記写真は本文に深く関わるわけではありませんがFRANKENさんがご自由にご利用くださいということだったので使ってみました)
筆者は世に言うダンジョンヘッズである。
個性豊かなキャラクター、機知と即興性に富んだ言葉の応酬、ルールはシンプルなのにその背景はいくらでも深く潜れるというゼロ年代の講談社ノベルスの世界観が顕現したようなMCバトルの世界にどハマリして二年以上が経つ。
「龍が如く0」をプレイしていた頃(この主題歌の「バブル」なんてここで聞かなければ永遠に興味を持つことはなかった)で、今までよく知りもしないで敬遠していたものにもっと素直に踏み込んで自分の興味の幅を広げたいと思っていたのがいいように左右したのだろう。
とはいえハマるためには穴に踏み入れなければいけないわけで、それをスムーズにしてくれた要因としてフリースタイルダンジョンの進行・ナレーションがUZIさんだったことは大きいだろう。その声は聞き取りやすく、よく通り、番組の格を一段階上げていたと言っても過言ではあるまい。
UZIこと許斐氏大さんが容疑者となって数日が過ぎた。朝目が覚めてUZIがツイッターのトレンド入りしていたときは、もしかして番組卒業なのだろうかと頭の右後ろ辺りでとっさに思った。事実はより残酷だった。所持していた大麻は600gでYTR★が逮捕されたとき所持していた大麻は2gであるから1UZI=300YTR★が成り立ち、勝新太郎が9.7gであるから1UZI≒60勝新であると考えると事態のとんでもなさがわかる……いやかえってわかりづらくなったかもしれない。こうやって茶化しでもしないとやっていられないのである。本当に深刻なことを伝えるときは陽気でなければいけないと伊坂先生は教えてくれた。
二代目山下はFRANKENで決まりだなとか般若は週刊文春に一体何を撮られたんだとかニューヨーク出身ラッパー……一体何者なんだ……という悩みは一瞬で押し流され、HIPHOPどころではないBADHOPな気持ちが筆者を支配した。本日帰宅してせめて過去の名バトルを視聴して少しでも気持ちを落ち着けようとしたところAbemaTVから過去放送分の一切が消えており(Monsters Warは今のところ無事)ますます暗澹たる気持ちになるのだった。
HIPHOPなんだから大麻くらいいいじゃん、番組でもハッパネタ散々やったのに今更なんだよ、とは筆者は思わない。多少ネタめいた扱いされていても「コンプラ」で伏字にされるのはあまりにも当たり前のことコンプライアンスに違反しているからであり、それを犯してしまった以上フォローできることは何もない。罪には罰なのだ。
でも今回のことばかりではなく、誰かが罪を犯したときに一切をお蔵入りにするのって果たして誰が得をするんだろう、というのはその度毎に考える。古くは槇原敬之の時にも、最近では清原和博の時にも。そういうことがあると、それに感情を動かしていたときの自分や周囲も丸ごとすべていっしょくたに穢れ扱いされてしまったようでとても悲しい気分にいつもなってしまう。
しかし、リケジョの時も、イクメン議員の時も、今まで日陰者だった人たちがスポットライトを浴びると図ったようにそのイメージダウンになるようなことをしてしまうのっていったいなぜなのだろう。UZIさんにはタキシードを来た時にコンプライアンス遵守を肝に銘じて欲しかった。ブームじゃなく文化にするといっていたのに、これではHIPHOPは無法者の低俗な文化という見方は変わらなくなってしまうじゃないか。
写真は現在も無料でAbemaTVで公開されているMonstersWar事前SPより引用。満面の笑みがただただ悲しい。以前はただクッソださいタイトルだなあとしか思わなかった「時代に忖度してる場合じゃねえぞ」だが今となってはただただ「せめて最低限の忖度はしてくださいよ……と何とも言えない気分になってなんだかタキシードを見るだけで暫くは体調が悪くなりそうである。
どう見ても仲間内に配るんだろうなという感じの量でも「自分で使うために持っていた」という辺り、やはり男気のある人なんだろうな。正直、UZIさんのいないフリースタイルダンジョンは想像がつかないし、無理にやる必要はないんじゃないかとさえ思う。それくらい影響力がある人がこのようなことをしてしまったということが、風呂場で蛇口が背中にガリついてきた時のように悲しい。
あと、多分今回一番の被害者だと思う方。
To Live and Die in Dungeon GASHIMA放送が死ぬ。
今夜のフリースタイルダンジョンにはニューヨーク出身の奴が出るらしい。 https://t.co/rpP7WaxYWD
— GASHIMA (WHITE JAM) (@WJF_GASHIMA) 2018年1月16日