カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

大河ドラマ「西郷どん」第五回 「相撲じゃ! 相撲じゃ!」感想

余談

結婚式場でものまね芸人さんのショーを見る……一種独特なその催しに誘われた我々は二週続けて鹿児島市へと向かった。当市は快晴であったが鹿児島市に近づくにつれ空は暗くなり、鹿児島市に入ると図ったかのように雪がちらつき始めた。桜島は冠雪していて、助手席側の窓を開けると阿吽の呼吸で妻がスマホを構え桜島に向けた気配がした。「とても寒い」とスマホ手(弓手風用語)を持ち変えつつ妻が窓を閉めた。「あ、動画で撮ってしまった」妻がつぶやいた。車内にはD.Oの「悪党の詩」が流れていた。


D.O / 悪党の詩

入籍して一年半ほどが経つが結婚式を挙げてはいない。鹿児島県では入籍した人の52%は結婚式を行わないという。過半数だ。やはり資金面が大きいんじゃないかなと思う。自分たちもそうだし、親戚や友人たちにも負担を強いることになる。時間も費やすことになろう。我々は今でも別に江戸っ子でもないのに宵越しの金があまりないが、入籍時はより貧乏であった。(住まいも築年数が二人の年を合わせても届かないほど古かった。)完全に落語世界の長屋の住人であった。式を挙げるのにお金を使うのなら二人で他の楽しいことに使いたいという気持ちもあった。一方で、我々の周りの人々の「祝いたい気持ち」が宙ぶらりんのままであるということも何度か耳にした。結婚式は特に鹿児島のような田舎ではそういった区切りとしてまだまだ必要とされているのだな、と考えた。そういったことがあり、冠婚葬祭に充当できるという互助会の積み立てを始めることとした。今後もしないかもしれないが、もししようという機運に満ちた時、選択肢は増やせるときに増やした方がいいのだろう。また、ただしないんですというよりは、「いつかしようと思っていて今積み立てているんですよ」の方がかわし方としても角が立たなさそうだ。少なくともプチギフトについては今年になってからいいことを教えてもらったので、入籍時に慌てて式をしていた場合よりずっといい感じになりそうだなと考えている。

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ショーまでは時間があったのでしばし館内をうろうろした。黒衣の神父ごっこをしたり、プリンセスをコンセプトとした結婚式料理(おそらくよりキュートな横文字の名前があったはずだが、わすれた。)のサンプルを眺めたりした。


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イベントの時間となり、まずはハーフコースランチを頂くことになった。ハーフコースは恐らくフルコースの半分であろうというのが筆者の英語力の限界であり、妻は素早くスマホ集合知に問いかけていた。「ゴルフで9ホール目まで回ることらしいよ」道具は道具でしかない、大切なのは誰がどう使うかだ、という金言を胸に刻みながら五分ほど時間を費やし「和製英語であり定義はお店によって曖昧である」ということがわかった。(わかったというのか)

視覚が既に「あ、これおいしいです」と判断する見た目の前菜が出され、あっという間に食べる。実際おいしい。その後ポタージュがでて、パンが出るにいたり「ハーフコースだからここまでなのではないか」「タダだしすべておいしかったのでそれでも一切文句はない」という人を信じる心を失った夫婦の会話をしていると無事牛フィレ肉のパイ包み焼きが運ばれて来て、もちろん美味であった。


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ものまね芸人さんのショーを見るのは初めてで、世に言う「こういう時どんな顔をしたらいいのかわからないの」状態であったが、ものまね芸人さんの方も幕が上がった瞬間、思ったより平均年齢が高かったようで(結婚式場のイベントだから20~30代がボリューム層という予測だったのだろうが、実際は高齢者の方が多かった)やはり「こういうときどんな顔をしたらいいのかわからないの」という顔を一瞬浮かべたが、すぐに立て直し、その層にも響くレパートリーで勝負し、大拍手と歓声を勝ち取っているところにエンターティナーとしての矜持と凄みを感じた。思ったより200倍ほど楽しかった。

大満足でイベントを後にしたが、せっかく市内に来たのだから夜もおいしいものを食べて帰りたいという欲望が鎌首をもたげてきた。昼がタダだったのだから夜外食しても実質半額なのでは? という隙のない理論武装も出来たところで、しかしハーフコースでありながらデザートまでついて大満足な腹を萎ませなければならないという問題が立ちはだかった。

カラオケ初めをすることにした。喫煙部屋ではあったが、最新の機種に通してもらう。妻はボーカロイドを歌い、D.Oを歌い、恵比寿中学を歌い、℃-uteを歌った。筆者は槇原敬之を歌い、THE THREEを歌い、林原めぐみを歌い、オリジナル・ラブを歌い、くるりを歌った。二人で韻踏合組合乃木坂46を歌った。「自分が歌っているときに店員さんがドリンクを持ってくる」「他人が歌っているときに延長確認の電話が来て応対することになる」どちらも妻が当たったので、宝くじでも買ってもらうべきであった。

チャイナワンさんはこの辺りに来ると今回のように多少時間を調整してでも食べたくなる中華屋さんである。うまい・やすい・はやいを地で行っており、スタッフさんの対応もとても気持ちがいい。唯一欠点があるとすれば、それぞれのプロが矜持をもって料理を提供しているので、(麺・揚げ物・点心など担当がある)その方が不在だと食べられないメニューがあること、それが入ってみないと分からないことだろうか。本日は全てのメニューが注文できる状態であった。ついている。やっぱり宝くじを買っておくべきであった。

と、いうことでいよいよ「すごいレバニラ」(菜譜ママ)を注文することにする。ここに初めて来たときから気になっていたものの、「どことないVOW感」「レバーは苦手」「そもそも売り切れている」などにより二の足を踏んでいたが、とうとう来たなこの時がといった感じだ。


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彩り華やかなすごいレバニラはすぐにやってきた。ごま油だろうか、香ばしい匂いが鼻腔をくすぐりBe coolと己を戒める。実食。

臭みがなく、「間違えてレバーではなくてお肉を入れてしまったのでは?」と疑いたくなるほどのジューシー具合。野菜もメリハリが効きつつも全体的にソースで統一されておりどんどんと食べてしまう。間違いない。すごいレバニラだ。


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他のお薦めは担々麺とエビ春巻き。特にエビ春巻きはお店で食べて持ち帰りをお願いしてしまうくらいおいしく、食べやすい。

注文から退店まで30分ほど。どれだけテンポよく料理が出てくるかが分かる。とはいえ時刻は七時。「西郷どん」のため急がなくてはならない。「きばいやんせ(頑張れよ)」といわんばかりに、照国神社(祭神:島津斉彬(照国大明神)の大鳥居(撮影:妻)が屹立していた……


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本題 第五話・感想

余談が、ながくなった。さて照国大明神のおかげかどうにか本放送に間に合った第五話の感想である。

西郷吉之助の鈍感

「AちゃんとB君って絶対お似合いだよ~私応援する!」←B君が好きなのはこいつ

みたいなやつをすごく久しぶりに見た気がする。また直訴しようとするし、また土下座する。どんどん安い男になっていくぞ、吉之助。まるで成長していない……鈴木亮平さんの「幕末の鍛えた男っぽい」肉体美が台無しである。土下座するくらいならなぜ闘うのか。何故泣くのか。もしかして、偉い人=強い人という思いがあったのだろうか。謎の男(一体、ジョン何次郎なんだ……お前、薩摩藩では手厚くもてなされたんじゃなかったのか)とどのように交流するのか。吉之助の行動により、何万次郎が史実に近い扱いへ変化したりしてくれるのだろうか。今度こそ成長してほしい。

島津斉彬の参戦

渡辺謙氏の風格により参戦自体は盛り上がった。が、決着はともかく、そのまま去っていくし、吉之助は入牢させられる。これが分からない。表立っては斉興体制を変えられないので、腕っぷしはもちろん、自分に立ち向かえるほどの気骨もある若者を見出し、登用するための相撲大会だとばかり思っていたのだが……。というかメル友だった吉之助を即声掛けとかしなかったんだなと。相変わらず渡辺謙氏と史実の斉彬公だよりで、この脚本において斉彬の魅力は伝わってこない。最大限好意的に解釈するなら、謎の男の正体候補である男は前述した通り史実では薩摩藩では厚遇されたというから、実は二人とも入牢はカムフラージュであり、二人を引き合わせる作戦だった……とかだろうか。苦しいか。

島津久光の去就

相変わらずブレブレだが家族みんなのことが大好きなようである。多分、彼にとってある意味幸福の絶頂期なのだと思うと切ない。

総括

何でも知っている斉彬の補佐役だったり、フィーリングで吉之助を気に入ってしまう篤姫(於一)だったり、「いやな意味での大河の王道パターン」がまたじわじわと出てきてしまっているなあという印象。ラブコメもいいんですけども、相撲もいいんですけども、やっぱりお由羅騒動(高崎崩れ)をもう少ししっかり描写した方が良かったんじゃないかと。ある意味うなぎ・相撲と旬なワードを織り込んで攻めてはいたが視聴者が期待しているのはそこではないはずである。謎の男・ジョン万何郎の登場により物語の角度はまた変わる。そこでの修正を期待したい。

しかしまさかこの画像が伏線とは思いもしませんでしたね。

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