カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

傲りの悪鬼(オーガ)――NGT48チームNⅢ「誇りの丘」千秋楽公演感想

本当はレインボーライブを鑑賞するつもりだった。

ただ、妻から本日がNGT48の千秋楽公演であるということを教えてもらった。

虹の煌めきとは正反対の厳冬を日々過ごす現実のアイドル達。

その一つの区切りが訪れようとしている。

「これ以上あのクソ運営に金を落としたくない」という気持ちもあったが、かつて愛したグループを「看取る」と言う気持ち、「香典」という考えでもってDMMに課金した。

開演は12:30からと言うことであった。

夫婦で買い物に出かけ、ギリギリになるということで妻は自分の買い物を1つ諦めた。

慌てて階段を駆け上がり、脛を打ったりしながらもDMMにアクセスした。時刻は12:32分となっていた。

画面は静止画のままであった。もしかして時差があるのかと思って暫く待っても始まらない。Twitterで検索してみると他の人々も同じような状況にあるようだ。どうも入場に随分時間がかかってしまっているらしいという話、もしかしたら自体が風雲急を告げており開演に手間取っているのではないかと言う話など情報は錯綜していた。

13時前、漸く画面が動いたかと思うと、加藤美南さんの影ナレが始まった。いつもより声のコンディションが良くないようだった。開演が告げられると、早川麻衣子支配人が登場した。ファンへの謝罪とこれからのNGT48への応援のお願いだった。声は震えており、涙が見て取れた。

山口真帆さんへの謝罪は特になかった。

そして公演が始まった。

惜しくも二ケタ出演に届かなかった(五回)柏木由紀さんのさすがのパフォーマンス、急遽怒涛の研究生公演を押し付けられながらもこなした研究生メンバーの初々しくも可能性を感じさせる動き、そして他メンバーが所々で感極まりながらもしっかりとした演技。正しく集大成であったと言えよう。

公演自体は恙なく終了した。

本当に恙なく。

それこそ異常なほどに「普通の千秋楽公演」だった。

MCカットもなく、メンバーの途中降板もなく、不自然に避けられるメンバーもいなかったように思う。

メンバーが公演の思い出を語り、兼任解除されるメンバーが残されるメンバーへの思いを語り、キャプテンがこれからの展望を語った。

「ちょっと待ったー!」

は内部からも外部からもかかることはなかった。お見送りも普通に行われたようだ。

実のところ、筆者はアンコールの時少し期待をした。本当のファンなら、こんなお仕着せの手打ちではなく、声を上げてくれるのではないかと。

あるいは退出でもよかった。

結局のところ。NGT48の感謝と今後の益々の発展を祈った後、全てのメンバーの名前がコールされ、チーム名がコールされ、アンコールは成立した。

はじめニュースになった時、筆者は襲撃者がニュースにて「ファン」と呼称されたときに憤った。奴らは断じて「ファン」ではないと感じたからだ。

けれど画面越しにそういった光景を見せられると、少なくとも今日において、NGT48を「殺した」その一翼を「ファン」が担ってしまったのだなとさめざめと悲しくなった。

残念ながら会合があるので筆者はチームG「逆上がり」千秋楽公演を観ることは出来ず、妻に託すが、17:30開演でありながらやはり今のところ動きがないことを見るに、早くも暗雲が立ち込めている。

AKSという傲りの悪鬼を懲らしめてくれる桃太郎の登場を望んでやまない。