カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

さみしいなんて言葉でこの気持ちが表せていいものか―IZ*ONE(アイズワン)の日に寄せてbis感想など

余談

IZ*ONE(以下アイズワン)の時が止まって一月近くが経とうとしている。

いや、それは正確ではない。時は平等に流れていているはずなのだが、ただし彼女たちの躍動は我々のところには聞こえてこない。

供給が無い訳ではない。特に日本活動においては、既に収録済みであった諸々が時間差で少しずつ我々の前へ提示されていった。

まるで数光年先の星の瞬きのように。

そして供給の何倍も、「中止・休止」の文字が躍った。

そういった中で山口真帆さんの件で完全にAKSの好感度はゼロの筆者であるが、「今夜、咲良の木の下で(さくのき)」でのフォローには感動させられた。bayfm78さんの心意気にも打ち震えた。

しかし残念ながら、さくのきも休止となった。

WIZONE諸賢が懸命に発信、拡散を繰り返していたMAMAも出場できないことが確定してしまった。

とはいえ今回のことはMAMAを運営するMnetに起因するものであるので、筆者としてはいまだ世論はこれほどアイズワンを支持しているのだという指標として活用されるべきであるとは思ってはいたものの、そこに出場するのは少し違うようにも思っていたのでこの件については憤りより納得のほうが強かった……というのは建前で、本来であればMnetがMAMAの方を開催するのを止めるべきではないのではないかと思っている。

被害者が罰のようにその輝きを全世界に開示する機会を取り上げられ、加害者は嫌な事件だったね……イベント楽しみにしててね! なんてやっている光景は控えめに言って悪夢であるし、出来るのならばアーティスト諸賢にもボイコットしてほしい気持ちでいっぱいである。

他方、筆者は遺憾ながらMnetに韓国のアーティストがそこに立つまでにどれほどの艱難辛苦を重ねてきたか教えられた人間でもあるから複雑な気分ではあるが……。

そうこうしているうちに元KARAのハラさんが自死された。少し前に同じく著名ガールズグループのf(X)のソルリさんが自死されたときも筆者は衝撃を受けたが今回はさらに大きなものがあった。日本でようやく穏やかな日々を手に入れたと思った矢先であったからだ。

筆者がこうなって以来、一番恐れているのはこの事態である。彼女たちの素晴らしい感受性が悪意にさらされ続けていくことを何よりも恐れる。どうか心身が十分にケアされていることを祈りたい。

FIESTAの余りの「約束された神曲」ぶりに筆者はしばしばしれっとMV解禁したり、Vliveなどでパフォーマンスを見せれば世論は一発逆転するのではないかと考えていた。それは蒼天航路呂布の八面六臂の活躍を口を塞がれながらも見守る陳宮のような心境であった。一度、一度彼女たちを見てくれたらきっと考え方が変わるはずだと。

けれど自慰的正義が振りかざされ続ける今、彼女たちに求めることはただひたすら休んでほしいということだけである。

ただ生きていてほしい。こんなことを推しに対して思う日が来るなんて考えたこともなかった。

けれど厳冬でも盛夏でも彼女たちが現れたらそこが花道となり、FIESTAが始まる。

だから今はかねての激務で失った時間を取り戻すためにゆっくりしていてほしいと思う。

本題

余談が、ながくなった。

さてそうした数少ない供給の一つ、「女の子が愛する、女の子達」というコンセプトでの特集が掲載されたbis 2020年1月号が発売された。

筆者は「年下ボーイフレンド」どころかチャン・ウォニョンさんの倍生きている(自分で書いていて結構ダメージのでかい一文である)おっさんであるので店頭での購入にいささかの躊躇があり、それでも意を決して行ってみるとそもそも独立国・薩摩ではまだ関所を突破していないようであったので、kindleにて購入することにした。しかしファッション雑誌の文字は小さくてびっくりさせられる。

bis(ビス) 2020年 1月号

いきなりクラシックでエレガントな美で殴られてしまった訳であるが、開いてみるとセレブ美女たちの秘密のお茶会に忍び込んでしまったようでドギマギしてしまう。

ただ見開きの衣装はオシャレ偏差値が高すぎて筆者のような人間には良さが今ひとつわからなかった。「We together」の昔からアイズワンとチェック柄はあまり相性が良くないような気がする。個人的には見開き衣装はウンビさん、咲良さんが抜きんでて似合っていると思う。

表紙及びインタビューの衣装はさすがに会心の似合いぶりである。けどコンセプトが上品なマドモワゼルライクなのがよくわからない。倦怠期の曲とか逃避行の歌とか歌わせているとファッションもその層に合わせるぞというメッセージだろうか。

決して推しだから贔屓しているわけではないと主張しておきたいが、ウォニョンさんは特に表情、ポーズが抜群に素晴らしい。世に言う優勝である。「あらそうなの小渕沢?(誰?)」とか言いそうな生粋のお嬢様ぶりが見事である。サンタさんの正体を知った時に失望ではなく気付きの方に焦点が合っているのがとてもらしいと思う。

アン・ユジンさんは世間知らずの引っ込み思案のお姫様と双子のように顔がそっくりだが性格が正反対の庶民の少女の二人一役を華麗にこなしそうである。ミンジュさんをめぐって宮脇咲良さん、キム・チェウォンさんと火花を散らしている様子である。

その宮脇咲良さんは観劇が趣味なオペラ座の常連といった知的マダムの風貌。耳元の大きなアクセサリがここまで嫌味なく似合う人を知らない。そのくせ食いしん坊エピソードを挟んでくるのだから相変わらず恐ろしい人だ。

他方キム・チェウォンさんは正直者の前に現れる池の女神のような神秘的な美しさだ。髪飾りも本望であろうと思う。家族を大事に思っていることがひしひしと伝わってくる。黒いワンピース姿もぜひ見たいものだ。

彼女らのハートを奪った罪深き美の権化・キム・ミンジュさんは残念ながらプレゼントは家族とイ・チェヨンさんに(メンバーにという質問なのに両親が登場する当たり実にミンジュさんだなあと幸福な気持ちになる)あげるつもりのようである。アイススケート場に行きたがるアクティブさは意外。

カン・ヘウォンさんは淡々と大金をBETしてカジノで荒稼ぎしそうな刹那性のあるゴージャスな美しさ。計り知れない深謀遠慮があると見せかけて実は何も考えてなかったりすると最高だ。クォン・ウンビさんに最近ご執心のようである。

クォン・ウンビさんは未亡人めいた衣装がはまりすぎている。クリスチャンであることは知らなかった。パーティガールにほとんどのメンバーがユジンさんかイェナさんを挙げる中、へウォンさんを挙げる相思相愛ぶり。本田仁美さんにあげるプレゼントの悩み方は保護者のそれである。

本田仁美さんはもはや良い意味でプデュ期の面影がなくなっており、後光すら出ているように思える。「みんな」のことについて欠かさず言及しており、メンバーへの深い愛情と信頼が見て取れる。コスプレの内容が気になる。

世界最大の妖精・矢吹奈子さんはそのティンカーベルぶりをますます向上させているが、ウォニョンさんへの気配りは年相応なところを感じさせる。他人を楽しませている矢吹さんの姿がありありと思い浮かび、笑顔になれる。

そのウォニョンさんへのプレゼントを争うのはチョ・ユリさん(全員にプレゼントしたいらしいが)。実はクリスマスが一年で一番好きなクリスマスガール。リボンのつけ方と小首を傾げたポーズがとても似合っている。二人とも絵に関するものをプレゼントしたいということだからよほどウォニョンさんは絵に興味を持っているのだろう。プライベートメールが復活したらぜひ送ってほしい。

皆からパーティーガールの推薦を受けたチェ・イェナさんが笑顔ではないといつも気にせず接していた幼馴染がいつの間にか美しく成長していたことにハタと気づいた時のような不思議な気持ちになる。でも胸のリボンは引っ張ったらびよーんと伸びそうでかわいい。奈子さんのインタビューで出た奈子&ミンジュサンタエピソードが解決するのもいい。

きっと本来であればクリスマスパーティを配信してくれたことだろう。この間の周年パーティのように。今年のクリスマスがどうなるかはわからない。MAMAの日をまた発表日に設定する警察にすら怒りが湧いてしまうが、ともあれ筆者は彼女たちの笑顔を見られるのがこの雑誌が最後ではなく復活ののろしであることを信じてやまない。

アイズワン、生きて、生きて、生きて、生きろ。


命に嫌われている。/初音ミク