カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

ウルトラマンの日に四半世紀前を思う――『ウルトラマントリガー』第1話「光を繋ぐもの」ネタバレ感想

余談

あの時、筆者は小学一年生だった。

初めての宿題がある夏休みが過ぎ、秋が来る頃、筆者は土曜日が嫌いになっていた。

なんなら、日曜日も嫌だった。

その頃母は三人目の子供を身ごもっていて、生来あまり体が丈夫でないので、週末は毎週のように病院に行っていた。それについていくこともあったし、祖母の家に泊まることもあった。

当時は学校は土曜日は午前中までで、その後は家でご飯を食べた後みんなで公園に集合!

というルーティンだったのだが自分だけはその輪から取り残されてしまった訳である。

しかしそうなると祖母の家は電波の関係でテレビ朝日が映らず、ニチアサが堪能できずにやっぱり翌日の学校で話についていけないのである。

父もよく気にかけてくれたが残業も多く、まだ三歳の弟の方をよりケアしなければならないのを解っていながらも、寂しさは否めなかった。

運動会も、学習発表会も親が応援に来てくれることはなかった。

もちろんそれは弟の誕生と重なった小学一年生のころ限定で、以降は基本的に応援しに来てくれた。筆者は基本的に親に非常に感謝しているし、恨みなどは全くないが、しかし、あのほかにたとえようのないさみしさ、運動会の後、友達が一人また一人親に手を引かれながら帰る中、上り棒の横のフェンスでしゃがみこんでその時間をやり過ごし、人が少なくなってからとぼとぼと帰ったことを今でも時々思い出すことがある。

そういうことだから、それも病院の待合室というか、フロアごとの談話室のようなところで見た。もう少し寒かったような覚えがある。

正直なところ、話の筋は覚えていない。

だが、当時自称怪獣博士のつもりであった自分がまったく目新しい怪獣がしかも二体も現れた時、

「これは、自分たちのウルトラマンなのだ」

というようなことを思ったことは、よく覚えている。

番組の名は、「ウルトラマンティガ」と言った。

kimotokanata.hatenablog.com

とはいえ病院に行く時間もまちまちで、土曜日から祖母宅にいることも多かったものだからティガを追いかける、ということはできなかった。ダイナになると次男がメイン視聴者層となり、もっぱら怪獣ごっこのやられ役となった。リアル怪獣である「なんでも口に招来体」三男によりあらゆるソフビや玩具は唾液まみれにされていく運命であったが。

その三男が兄が母親の腹に置いていった活発さを持て余して家族旅行に今は亡きウルトラマンランドをリクエストし、ウルトラマンショーを鑑賞して、コンパニオンのお姉さんに「将来は何になりたいですか?」と尋ねられた時、元気いっぱいに変身ポーズを決めて、

ウルトラマン、ガイアッ!」と叫んで会場から拍手をもらい、ついでにお姉さんから指人形ももらった時、筆者は小学校中学年ながら「世代交代」を感じ、また供給そのものが薄くなったこともあってウルトラマンからはしばらく遠ざかることとなったのである。

本題

余談が、ながくなった。

それから大学時代に、筆者がこうなった元凶の一人ともいえるこのブログにもしばしば登場するS先輩と出会い、いくらかのウルトラシリーズの作品を見る機会に恵まれた。

とはいえやはりどこか対岸の出来事であり、成人した筆者にとって円谷プロとは「エイプリルフールになんかおもろいことをやってる会社」くらいの認識であった。

とはいえTL諸賢の反応を見ていると最近は盛り上がっているようでよいことだな……とまあ、それくらいの温度であった。

しかし最近、とみに特撮畑のフォロワー諸賢とお話をする機会に恵まれ、(この辺りのことはまた別項にてまとめておきたい)

kazurex1215.hatenablog.jp

それによって様々な知見を得、また実際にそれに影響されて作品を視聴したりもした。(電光超人グリッドマン、面白いです)(ミカヅキも絶対見るけんね(広島弁))(牙狼ってどの順番で見ればいいんだ)

そうなってみると今度は、現在進行形の作品について話を聞いたり、また自ら話したりしたくなってくる。

折よく本日は 「ウルトラマンの日」、「ウルトラマントリガー」が初回放送ということで、時代のありがたさ、配信でも見られるということで視聴をしてみた。有識者が含蓄溢れる記事を書かれる前に、(もう遅いかもしれない)そそくさと書き残しておくこととする。

 

ということでここからはトリガー第一話の完全ネタバレになります

 

 

 

マナカ・ケンゴくんの独り言で様々説明してしまうところはたまさか別作品の「説明セリフっぽくない説明セリフのうまさ」解説を前日に受けていたこともあり気になってしまった。次回以降で誰かしらに突っ込まれてほしい。

花の名前に普通ルルイエはつけないんですよ。花の名前ランキング第50,000位くらいなんですよ。まあ、元ネタ的にはそういう名前を付けること含めて外宇宙の支配者の手のひらの上なのかもしれないけれど。あからさまな造花ぶりがもうちょっと何とかなんなかったならなかったのだろうか。

初めての道具で初めての変身、でも口上ばっちりなのは自分もいつカードデッキを渡されてもミラーワールドに飛び込めるようにオリジナル変身ポーズを考えていたことがあるので何も言えないが、適応力の高さは無類である。

「あなた光であれ」と言われるということは誰かは光ではないということで、それが闇の巨人たちのことなのか、ティガのことなのか、トリガーのことなのか、はたまた別の世界線のことなのか……気になるところである。

世界線と言えばシズマ会長のティガ強火オタみたいなセリフも気になるところで、やはりティガとトリガーの関係性は一筋縄ではいかないようである。最近「ひぐらし卒」を見ているのでああいう感じの平行世界なのか、それとももっと前に枝分かれしたのか、彼だけ異世界からやってきたのか、こういう可能性が無限に広がるのが1話の真骨頂であろう。

ゴルバーに関しては正直パワード世代でもある筆者にとってはあれが怪獣リブートの「お手本」として刻まれてしまっているのでもっとシュっとしたフォルムが良かったな……というのが正直なところである。思い出したように滑空タックルとかされるよりえげつないほどシャープな角からバンバンとビームを出したりしてほしいのである。あんまりとがってるとおもちゃにするのが大変なのかもしれないけれど。

先述したが筆者はゴルザに関して「親父たちのおさがりでない自分たちの怪獣だ」という気持ちで思い入れがあるので、令和のキッズたちにニコイチ怪獣としてお出しされてしまったのは些かの寂しさがある、というかキッズたちに謎の申し訳なさがある。今後もこう言うニコイチ路線が続くのだろうか……。戦隊ものではよくあるけど監督する闇の巨人によって怪獣の系統も違ったりしたら面白いのになと思った。

OPからカルミラが大活躍であったが、CV.上坂すみれ女史の全身銀タイツ異星人に鞭をバシバシ振るわれたり突然の泥レスシーンが勃発したりして本来視聴層キッズ諸賢の何某かが歪まないかどうか勝手に心配である(こういう余計なお世話が老害の証なのである)。

アクション自体はさすがの一言であったが火星に電線は別になくても良かったんじゃなかろうか。重金属の土壌云々で地中敷設が難しかったりするんだろうか。

様々なネーミングがもはやクトゥクトゥしさを隠そうともせず好感が持てるが、ティガ当時の世紀末的な土壌とはまた違う昨今、どのように物語は着地していくのか、出来うる限りスマイルで終われるものであってほしいと願い、浅薄な感想を追える次第である。

 

ウルトラヒーローシリーズ80ウルトラマントリガーマルチタイプ