カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

腕の中の宇宙飛行士への手紙

さてさて、今日もこんな(23:05)時間です。

最近はお風呂とその後のお着換えタイムで暴れまくって体力を消耗し、その後ミルクを飲んでそのまま入眠……という黄金パターンも通用しなくなってきましたね。

どころか、ミルクで体力をチャージし、そのまま夜明けまで走り去りそうなエネルギーさえ最近は感じさせます。

そうして、さあ、そっちがその気なら、徹底的に付き合うぜ! 覚悟完了! と身構えると、あなたはこてんと、本当にこてんとしか言いようがない感じで、眠りに落ちます。「電池が切れたような」とはこういうことを言うのだと言葉ではなく心で理解しました。

あなたが生まれてから半年が経ちました。

色々なことがありましたね。その中で、コロナ禍という禍々しい通奏低音だけはずっと流れ続けていて、あなたのことを大切に思っている沢山の人たちのもとへ連れて行ってあげられないことをとても残念に、申し訳なく思います。

あなたの名前には、宇宙に関する漢字を使いました。

迷信とはいえ、やはり将来あなたが占いとかで調べて凹んだらいやだな、と思って、画数もいいものを選びました。恐ろしいことに、我が家の苗字は「大凶」で、生まれながらにハンデを背負っています。これを何とか打ち消すべく、ずいぶん奮闘しました。

そしてふと、戯れに自分の名前を入力してみたら、総格が大吉で。あなたのおかげで、思いがけず私は親に愛されていたことを実感することが出来ました。

そうして画数で絞り込んで、二つの漢字が残りました。

あなたが生まれる二週間前のことです。

けれどそれから、我々は悩みました。何をしていても頭の左上の辺りでずっと二つの漢字がルール無用のデスマッチを繰り広げていました。レフェリーが静止に入ったと思いきや、「やっぱりこっちにしとかないか?」とその正体は響きは好きだけど画数の問題で退けた別の名前であったりして、選択が振出しに戻ることもありました。

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そんな我々に「早く決めてね」と言わんばかりに、少し早めにあなたはやってきてくれました。

ところが我々は……ここからさらに一週間近く悩みました。

「顔を見たらスッと決まるものだよ」と先人は言っていました。

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決まりませんでした。名前だとか親族への連絡だとか自分の明日の予定とかそういうものを遠くに置き去るような多幸感で私の少ない脳のキャパシティは支配されてしまったからです。

きっともう自分は正義の味方にはなれない、とその時思いました。

あなたを守るためであればたとえあなた自身にさえ軽蔑されるようなことでもしてしまうだろう、と。

顔を見た時に決まったのは、名前ではなくてそういう決心でした。

もちろん、そんなことがないことに越したことはありませんが……。

あなたが生まれた2021年という年は、ある意味で私と妻、あなたのお母さんが出会った2011年にも通じるものがありました。未曽有の災害、災禍によって人々は分断され、ある種半強制的に、グローバルからローカルへ目を向けさせられた年。

だから、我々はあなたの名前に宇宙に関する漢字をあてました。そんな時代でも、気宇壮大に、心を大きく持って、人々の印象に尾を引いて残るような、どこまでも気持ちが広がっていくような、そういう願いを込めました。

もしかしたら将来、月のルナチクス君を「彼よ」と紹介してくれることもあるかもしれません。ずいぶん愉快ではないですか?

半年前の力加減を少し間違えたら大変なことになってしまいそうなあなた。

五か月前の三時間きっかりでミルクを訴えるあなた。

四か月前のお風呂が大好きになったあなた。

三か月前の顔が持ち上げることが出来るようになり、文字通り視界が広がったあなた。

二カ月前の得意げに寝返りをして見せるあなた。

一か月前の離乳食をモリモリ食べるあなた。

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今日のこの写真から三秒後に私へ痛烈なアッパーカットを放つあなた。

大きくなったね。

一瞬一瞬がとても大切な思い出です。

あなたとお母さんと縁があった時、私は「こんな幸せなことがあっていいのか」と思いました。まさか、人生にそんなことが二回もあるとは思っても見ませんでした。

どんどん成長して、あっという間に親を抜き去って世界へ、宇宙へ飛び出してしまうかもしれないけれど、今はもう少し腕の中でゆっくり寝息を立てていてください。

ハーフバースデーおめでとう。