カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

煎じ詰めれば千字になるか・献血編

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またもやこんな時間(23:25)である。そういえば書き漏らしていた献血のことについて書いておく。

先月、日曜日。いつものように親子3人髪を切りに行ったわれわれであったが、実は筆者の胸には期するものがあった。

献血である。我々の利用する美容室のそばには献血ルームがある。どうせ妻が髪を切ってもらっている間美容室で娘をあやしているくらいなら、その間で献血をしたい、と思った。

妻も僅かばかりではあるが子と夫から離れたフリーな時間を過ごせるはずである。

恥ずかしながら、持病で薬を服用していた時期が長かったこともあり三十路で初めての献血となる。

電停が近いこともあり、学生時代から何度も横を通ってきた献血センターに初めて入る。

初回なので200mlで…と思っていたが、本日の目標分は既に達成されているという。同じ県民の相互扶助の精神を誇りに思いながら、いきなり400mlか…と少し逡巡したものの、やはりお願いをする。

センターは綺麗なところで、娘はたちまち職員さんにちやほやされ、大層気をよくしているようであった。

諸々の同意書の記載中は職員さんが用意してくださった椅子で筆者の横に座り、書類にわかったふうに首をゆらゆらと動かしていた。

問診の間は職員さんに抱っこをされたり、ドクターに頭を撫でたりしてもらっていた。ご利益がありそうである。

すべて異常なく、採血の前に水分補給を言い渡される。うっかりココアを選択してしまい、娘が触らないようにという焦り、チンタラ飲んでは妻のカットが終わるのではという危惧、職員さんにお前さっさとしろやと思われているのではないかという疑念、そもそも単純に暑いという様々な要素が入り混じった汗をかきながら待合室の横で小さくなって飲んだ。

娘は隣の隣に座っている献血後の男性にいないいないばあをしてもらって上機嫌であった。

飲み終わり、いよいよ採血である。個別の席に案内され、毛布をかけられる。目の前にはモニターがあってテレビが見られる。老舗お弁当屋さんの特集であった。

秘伝のタレの秘密を聞き入っているうちに気づけば針は刺さっていた。「献血の針は太い」と昔から父に(彼はAB型Rh -なので特に意識して定期的に献血している)脅かされていたが、インフルエンザワクチンの注射の方が痛かったように思う。

娘は看護師さんが抱っこしてくださっており。久々に一人ぼーっとテレビを見る。見ながら、妻のことを考えていた。なんか筆者に言えない愚痴とかを美容師さんにいい感じに話せていたらいいなと思った。

今回、献血をしたのは妻はお世話にはならなかったけれど、出産には輸血はつきものであり。そう言った形でささやかながら出産という大事業について男親から恩返しというか、サポートというかができたらいいな、という思いからであった。

次の老舗仕出し屋さんの親子の涙のエピソードを知る前に献血は終わり、献血カードを受け取った。娘はたくさんの人にチヤホヤされ気持ち肌艶が良くなっているようであった。

次回は6月、次は予約して献血をすることになるだろう。

それにしても腹が減った…と思いながら、娘を戸愚呂兄のように抱えながら髪を切ってますますいい感じになっている妻に会うために400ml分軽くなった足取りで美容室に向かうのだった。(30分/1360字)