カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

「2割で生きられそう」って、それってねえ、褒めているの?/後期高齢者の窓口負担割合変更

10月になった。結局のところ9月はそもそも自宅でパソコンをろくに触ることが出来ず、書きたいことは沢山あっても形にできない…とだけ書くといつもの感じである。

さて10月、本業の方でももろもろ動きがあった。

まずは後期高齢者の窓口負担割合の変更が開始された。

www.mhlw.go.jp

という訳で昨年から決定はしていたのだが、いよいよ施行された訳である。

一律負担割合が引き上がるという訳ではなく、一定所得のある方が対象となる。

このことについて医療現場の片隅にいるものとしての愚痴と危惧をサラッと書いておく。

2ヶ月しか有効期間がない保険証

例年、後期高齢者の保険証は7月末に有効期限となり、翌年分の保険証に切り替わる。

保険証には負担割合が記載されている。ところが、今回は10月から上記のように人によって負担割合が変わるので、一律有効期限が9月末までに設定されている。

たった2ヶ月しかない保険証を作成し、配布するということは単純に通常の6倍くらい無駄ということである。

施工時期をずらすなどしてもうちょっとなんとかならなかったのだろうか……と思う。

ややこしい猶予措

2割負担、ということで今まで1割負担だった人の負担は2倍になる…かというとそうではない。

負担割合が変わったことによる負担増加額は月当たり上限3,000円まで。それ以降の同月の支払額は1割負担で計算する。

つまり、今まで1割負担で5,000円支払っていた人は10,000円支払うことになる……ということではなく、+3,000円で打ち止めになるので8,000円の支払いで済む、ということになる。

ただ、同一医療機関であれば医療機関の方で把握できるので会計時点で追加支払いはないのだが、医療機関Aで5,000円、医療機関Bで5,000円支払っていた場合は一旦支払って後日払い戻し……という形になる。

配慮措置のイメージ(厚生労働省HPより引用)


また、あくまで「負担増加額の上限」であるので、同月であっても別の診療を受けた場合は1割負担分の料金は支払う必要がある。

が、それも今まで通り月負担の上限額(18,000円)を超えた場合は支払う必要はない。

更に、あくまで「月当たりの上限」であるので、例えば10/1に5,000円、10/31に5,000円支払った場合、上記の通り実質負担額は8,000円となるが、10/1に5,000円、11/1に5,000円支払った場合は月が替わっているので、他に診療を受けていない場合、負担額はそのまま10,000円となり、1日診療がずれただけで自己負担額が2,000円も増えてしまうことになる。

医療機関側としては収入が入ってくるのが患者さんからか、国からかという違いなのだが患者さんとしては損をしてしまったという気持ちは否めないであろうし、医療機関としては収入サイクルとしては短くなる(国から入金があるのは診察月から2カ月後)が、未収金が発生するリスクが出てくる。

また、保険証を見なければ負担割合が分からないのだが、訪問診療などでお伺いする先で、ご本人に認知症などがありご家族が保険証を管理している施設に入所している患者さんの場合は、今回短いスパンでの保険証の切り替えであるのでタイミングによってはお手元に保険証がない可能性もある……。

め、めんどくせ~~~~。

このタイミングでマイナ保険証に関する保険点数も変化があったのだが、ここまで書いて大分うんざりしたので日を改めたい。

読者諸賢においては直接影響を受ける方は少ないと思われるが、払い戻しが発生する関係上、還付金詐欺のような詐欺が発生することが予想されるので、身内の方に対象となる方がいる場合、注意喚起をされると大変よろしいかと思います。マイナ保険証の公金口座登録と一緒にできたんじゃないのか? こういうのって……。