カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

ブロクリ2024参加作品を読む:9日目(ボクシカさん「ミニマリストと面倒オタク、両方の性質を併せ持つ 〜オタク部屋のすゝめ〜」)

余談

2019(令和元)年5月17日。

この日付を見てハッとする読者諸賢は多いことだろう。

なんのイベント????????

なぜ自分がこんなコメントをしたか本当に記憶がないのだが、もちろん始条明さん主催・結騎了さんゲストのイベント「ジゴワットレポート・東京エンドゲーム」の開催日である。

告知は約一週間前ということでありながら会場は満員札止め抽選落選者も出る大盛況ぶり、会場の熱気たるやすさまじく、わずか一年ズレていれば絶対に不可能な過熱&過密ぶり……いやあ伝説だったよねあの夜はサ……。

と「目撃者」ぶりたいところだが、鹿児島の片田舎で労働にいそしむ筆者は平日に東京サ行くことなど夢のまた夢、ハンケチを噛みながらツイキャス配信を見守っていたのだった(配信してくださって本当にありがとうございました)

実はMCUはふんわりとしか理解していない筆者であるし仮面ライダーもガッツリ全話見ているというタイプでも無かった筆者ではあったがお二人の話であれば例えファミレスのメニューを読み上げるだけであっても面白いことは間違いなく、実際に非常に面白かった。以前にギャラクシー街道寄生獣などを語っていたあの舌鋒が再びクロスし、最強の矛と矛はぶつかり合い火花を散らしながら相乗効果で更に面白みを増していく……。

加えてお客さんを入れての「ライブ」の面白さ、演者と観客の幸せな共犯関係がますますボルテージを上げ、エンドゲーム(181分)の上映時間をも超えたハイテンションな時間はあっという間に過ぎた。

筆者の本命は第三部。結騎さんのブログ運営の裏話だった。まさにオフレコ(実は後日音源を配信してくださっているのだが)の記事にはできないような話が聞けるのではないか……と。

事前に参加者から集められた質問のうちから、結騎了さんがチョイスして回答をされる形式だ。質問が読み上げられる。

「作品を見る最中にこのシーンはブログやSNSで使えるなといった考えを持ってしまい、作品を純粋に楽しむことを忘れませんか?」

いい質問ですねえ! と筆者の中の元NHK解説委員が思わず声をあげた。特に特撮作品においては「スゴいぞー! カッコイイぞー!」という少年の様に無邪気で素直な姿勢と「神を生贄に捧げる!」という冷静で的確な判断と分析を両立させることこそが作品を楽しみつつ、かついわゆる「考察・批評ブログ」においては求められるものであろう。

果たしてまさに特撮系考察・批評ブログの旗手である結騎さんはどのように接しているのか……もしかして少年の心を持つ表結騎と時に残酷なほど冷徹に考察・批評をする裏結騎の人格を鑑賞のたびに入れ替え、執筆時は共同にて行っているのか?(最終話「結騎 王」)……? 画面の向こうからどのような答えが飛び出すのか筆者は配信されるノートパソコンを見つめた。

果たしてその答えは……。

www.bokuto10.com

ボクシカさんの東京エンドゲームレポート記事を是非ご参照いただきたい。

そう、この質問を投げかけた人物こそボクシカさんその人だったのである。

ブロガーであることを前提として光る!鳴る!玩具厳選収集者にしてミステリー愛好家、サウナアクティビストでもあるボクシカさんはそれから気になる存在であり続けるが、時折頂くリプライに滲み出る教養と知性、BARが日常に存在する洒落たムードはまさに「都会のオタク」といった感じであり、へっへっへ……あっしみたいな芋オタクとつるんでくれてありがとうごぜえやす……といった気持ちになる。

そんなボクシカさんとの距離を縮められたのもスペースだった。本当にありがとうスペース。本当にありがとうかずひろさん(もちろんかずひろさんは遠征しての東京エンドゲーム現地参戦組である)また声もかっくいいんだよなァ~~~ッ。

飾らない洗練された感じというのは後から身につくようでいて無理な人間には難しい。今後もボクシカさんの立ち居振る舞いを見て日々の生活を正していきたいところである。

本題

余談が、ながくなった。

そんなボクシカさんのブログ「ボクトケーション」はエンタメ作品に関するレビューと日常の記録が二本柱となっている。(最近更新がなくて寂しかったので今回寄稿いただいてとても嬉しい!)

例えば早2年前痛ましくもコロナに罹患された時は際にはまだ未感染の読者向けの情報をまとめた上、自分が感染してどうであったか、また療養時のリアルタイムの経過記録を記されており、後漢末に著された「傷寒論」(葛根湯・小青竜湯・麻黄湯・五苓散など現代でも処方されている漢方は既にこの書物に記載が確認できる)に通じるような精神は筆者では到底発揮できないものである。

そして昨年のちょうど今時分には痛ましい記事も投稿された……。都会の恐ろしさ、BARでの置き引きから家宅侵入、空き巣へと発展してしまったのである。

ミステリ・ファンでもあるボクシカさんの脳裏には「しかしこの時はこれから起こる恐ろしい事件の前触れであるなどとこの時の僕はまだ気づいていなかったのだ――」とナレーションがよぎったかどうかは定かではないが、その後転居され今に至るまでご健在であるのは不幸中の幸いというほかない。

冷静沈着なボクシカさんをして「まあでも鍵が出てくるかもしれないし……」と思わしめる正常性バイアスの恐ろしさ、4万円という鍵交換の絶妙な値段設定、ドラマでしか見たことの無い現場検証、そこで直面する「オタク被害者と一般人警官」のどこかコントめいたやり取り、もちろん犯人への怒りなど、見どころの多い記事である。間違いなく悲惨な出来事なのだがボクシカさんのユーモアある筆致が光っている。

www.bokuto10.com

そして、今回である。上記の出来事を経て不本意ながらも転居したボクシカさんがいかにして再び自らの城を作り上げつつあるか、氏の「相反する縮小と蒐集(ダブルボイルドエクストリーム)」が遺憾なく発揮されている。

ていうか都会の賃貸ってピクチャーレールついてんの!? おしゃれ……。

「1作品につき1つ」……これはかなりキツイ「制約と誓約」であることはこの記事を閲覧してくれているような諸賢には誰もが思い至ることであろう。

昨今の特撮、特に仮面ライダーシリーズは「集めてなんぼのアイテム」をキーに設計されている。当然観賞をしていれば蒐集欲も湧いてくるものだが、それを思い入れある一つのアイテムにギュッと濃縮することは思いついたとしても実行することは困難で、その不断の精神力に敬服してしまう。

その「制約と誓約」によって見事玩具でありながらシックなインテリアとしても調和しているのだから見事である。また、在宅勤務のネックである「切り替え」「住環境バレ」にも最低限の手数で対処しつつ、その仕切りもオタクとしての楽しみに活用しているのだから無駄がない。

更に「相反する縮小と蒐集(ダブルボイルドエクストリーム)」の真骨頂は下段に設けられたミニチュアの世界で、小さいからこそ無限の広がりを感じさせる、このサイズだからこそ歴史をぎゅっと詰め込めることが出来る、常に圧迫の危機に晒されるオタクの収納空間への素晴らしい「答え」と言えるだろう。

我が家も夫婦の趣味部屋が本格的に子ども部屋になっていく中で、オタクグッズの取捨選択をいよいよ迫られてきているが、壁面ディスプレイなどは大いに参考にさせていただきたいと思った。(子ども部屋になってもおもちゃゾーンと学習ゾーンを区切る上でありがたい知識であった)

まだゆとりのある展示空間が今後どのような判断のもとアイテムが選抜され、ディスプレイされていくのか。盆栽のような楽しむを抱かせてくれる素晴らしい記事であった。