カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

天を廻りて戻り来よ――『モンスターハンターライズ』×仙巌園コラボイベント感想

余談

時を盛夏に戻す。

娘誕生直後。深夜三時に帰宅した筆者は、早朝六時に起きた。

なぜか。筆者は夫であり、父であり、狩人であったからである。

そして、妻に依頼された朝顔撮るマンでもあった。

コロナ禍。産院は引き続き厳重警戒下であり、妻子との接触は一切禁止。

妻においては体中から管を生やされたウルトラご自愛状態。自力歩行もままならぬ状態である。

そんな中、妻は筆者に言った。(面会できないのでLINEである)

朝顔を撮ってきて」

筆者は何の気なく応じながら、しかし涙が出そうであった。

それは我々夫婦であるからわかるやり取りであった。

筆者が興味を持ちながら、妻の出産とタイミングが重なるから行かないでおこうと決めたイベントに、妻は送り出してくれているのである。

確かに、妻子と暫く会わないのであれば万が一のことがあっても妻子に感染させる危険はない。逆に言えば、今しかないチャンスとも言えた。

自分が腹を切ったばかりでありながら、そこまで気づかいをしてくれる人を妻に迎えたことを誇りつつ、筆者は目的地を目指すのであった。

本題

余談が、ながくなった。

さて、海岸線を車を走らせ、慣れ親しんだ国道10号線の中途に我が愛する庭園・世界遺産仙厳園の外塀が現れ始める。

いつもの通り前払いの駐車料金(終日300円)を払い、入場。年間パスで立ち入りはスムーズだ。

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仙巌園では「島津斉彬が愛した朝顔展」が催されていた。朝顔と言えばやはり盛りは朝。その為に開園めがけて早く出発したわけである。

殺風景な入院生活に少しでも妻が季節と涼を感じてもらえるよう、心を込めて撮影したつもりだ。

そして……。

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いつも通りの手入れが行き届いた入り口付近の光景である……。

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異質……っ! あからさまに支給品ボックスなのだ!

senganen-mhrise.jp

そう、モンスターハンター最新作、モンスターハンターライズと仙厳園が今回特別コラボイベントを開催したのである!

これこそが筆者が諦めかけ、妻がその背中を押してくれたイベントの正体であった。

英雄の証:Rise ver.

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規定料金を払うと特製の冊子が渡される。いわばハンターライセンスであるこちらを開くとハンターライフクエストなるものが。そう、仙厳園は今やリアルモンハンフィールドと化したッツツツ。

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もちろんクエスト開始の前には信頼できる「オトモ」を連れていくことが不可欠である。仙厳園が世界遺産となった所以を説明してくれる「オリエンテーションセンター」では特別先行配信オトモ「ヤス」を雇用することが出来るのだ!

前のご主人は名家の次男坊。一体何津義弘なんだ……。

ちなみにオリエンテーションセンターから出発するときはあの「パープー」音を鳴らしてくれるので「理解」ってる……という感じである。

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早速支給品ボックスから必要品を調達していざ出発である。(実際には手を触れてはいけません)因みにこれを含めて以降ご紹介するオブジェクトは仙厳園スタッフの皆様の自作である。その完成度の高さは是非現場で味わってほしい。

しかしはじめ、仙厳園とモンハンが!? と驚かされたのだが、

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実際に歩いてみると思った以上にモンハンライズしていて驚かされる。

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ゲームで馴染んだのぼりを追っていくとサブキャンプに到達。まずは「★1仙厳園探索ツアー」をクリアである。早速仙厳園×モンハンライズのコラボピンバッジをゲットだ。

引き続き「★2環境生物の観察」に挑戦できる。モンハンライズ内で雰囲気作りだけでなく狩猟にも役立つ環境生物。ここでは仙厳園に生息するリアル環境生物をスマホでゲットすれば新たにピンバッジが獲得できるというワケ。

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また、園内にはこのように各所にモンハンライズの環境生物が撮影スポットが設置されている。特に筆者は未踏破だが山頂には激レア環境生物が存在するとのうわさも……?

その先はぜひ読者諸賢の目で確かめてくれ!(昔の攻略本しぐさ)

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しかしハクメンコンモウの配置場所……完全に玄人である。

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また山中には薩摩焼製のキノコも配置されており世界観の再現度に唸らされる。採集(持ち帰り)はぐっと我慢しよう。

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道中には狩人兼炭鉱夫として見逃せないスポットも存在する。

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薩摩切子の素材を使用された採掘スポットは煌びやかで容赦なくピッケルを振るうには畏れ多く腰が引けてしまうが、やはり「完全に実写だこれ」という完成度に思わずスタッフさんに写真を撮っていただく筆者(31歳・当時)。

毎回マカライト鉱石を要求されるようになってくるとおっ盛り上がってきたな、という気分になりますね、モンハン。と思いながらも途中頭上で見かけた鳥を撮影して無事に「★2環境生物の観察」もクリア。

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ここで狩人諸賢に秘儀を伝授しておくと、「★5ヨモギのお手伝い」は仙厳園内に配置された素材カードを集めるという趣向なのだが、この★2クエストのエリアにも1枚隠されているので、今のうちに合わせて回収しておくと無駄がない。感染対策も万全である。

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さて少し道を戻って「★3猫神参拝」「★4弓矢で狙え!大タル爆弾」の2つのクエストは近しい場所でチャレンジが出来る。

エストボードもご当地感が出ていてとても良い。いや…わっぜか…ヨカ!

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因みにお土産ショップではモンハンコラボ絵馬も購入できる。蒲生和紙のポストカードもついてお得である。

サトとヤスを迎えて対峙するは――モンハンライズのメインモンスター、怨虎竜マガイマガドである。f:id:kimotokanata:20211011114433j:plain

鎧武者の怨霊&鬼火という一風変わったモチーフに対して仙厳園薩摩切子工房はマガイマガド専用の色ガラスで迎え撃った。しかしカプコン側にとってもマガイマガドはまさに看板、なかなかOKが出ない。

そこに現れたのが当代薩摩切子の第一人者、中根櫻亀(なかね・おうき)氏である。実際のゲーム画面からマガイマガドの動きを探り、特徴的な顔面と尾という2つを見事に1つの薩摩切子の中に現出させて見せたその手腕は歴戦のハンターもかくやというべきで、まさに仙厳園によってマガイマガドは狩猟されたのである!

なるほどでは「捕獲」状態にあるマガイマガドを筆者も漁夫の利で……。

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悪逆無道/マガイマガド

悪逆無道/マガイマガド

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ウワーッ(ピヨリ)

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79,200円は愛娘を迎え諸々入用な筆者にはあまりにG級であった。

無理なのか……?

筆者にはマガイマガドを狩猟することは……?

いやそうではない、そもそも★4クエストのマガイマガドの対峙はこの限定マガイマガド薩摩切子を買えというものではない。仙厳園は心配になるくらい良心的なイベントをいつも開催してくださるので安心してほしい。

ちなみに薩摩切子コラボで一番売れ行きがいいらしい。筆者も吸い込まれそうなほどの妖しさと美しさ、もし産科に支払ったお金を持った状態であればと思わず買ってしまっていたかもしれないほどである。

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また10月現在はディスプレイもさらに洗練されていて桜島との対比がめちゃくちゃかっこいい。この光景で焼酎を飲めてしまうレベルである。

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仙厳園ブランドショップは他にも美しい薩摩の伝統工芸が溢れているので必訪スポットである。

話がそれた。熟練狩人諸賢であれば、そもそもクエスト出発時の筆者を諫めたくて仕方なかったはずである。

「こらこら、お団子はどうした」と。

そう。モンハンライズではお団子によってステータスを強化し、それでもってモンスターに挑むことが可能なのだ。

旧作ではうっかり忘れても今回からキャンプでもOKになったのは嬉しい変更点である。

そうとくれば善は急げである。

坂道を下り……。

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ヨモギちゃん! ヨモギ特製うさぢゃんぼをお願いします!

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うまい…というか完全に実写だこれ(n回目)……。それはバフも最大の3つ発動するというものである。

いますぐライバルと対峙したいという気持ちを抑えるため、オトモの香り袋も購入した。

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鹿児島由来の精油が筆者をリラックスさせ、クレバーにさせる。俗に乙の8割は焦りによるものと言われる――もはや平常心を取り戻した筆者の前に敵はないと言って過言ではない。

f:id:kimotokanata:20211011121435j:plain満を持して「★4弓矢で狙え!大タル爆弾」である。仙厳園での屈指の武士的アトラクション、四半的によってマガイマガドそばにある大タル爆弾風巻き藁を起爆させてやろうというクエストだ。スタッフさんが「3倍ですよ!」と言ってくれるので眠っているらしい。しかしスッとこのコメントが出てくるあたり素晴らしいコラボ先へのリスペクトである。

ヤスが強化太鼓の術を使ってくれるのは島津義弘公が晩年になっても陣太鼓の音を聞くと往年の動きを垣間見せられたという逸話を知っているとちょっと泣ける。いいご主人だったんだな……。

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ガルクが締めたーーーっ!?

ともあれ無事にライバルとの決戦に筆者は決着を付け、★3及び★4のクエストのピンバッジもゲットするのだった。

英雄の証:Rise ver.

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既に着手している「★5ヨモギのお手伝い」と「★6大型モンスター調査報告」は仙厳園を踏破する覚悟が必要であるので水分補給をしっかり行うことを心掛けたい。

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オリエンテーリング的楽しみを存分に味わってほしいので完全ネタバレは避けるが、道に迷った時は頼れるオトモ――ガルクやアイルーの周りを見ればきっと突破口となるはずである。

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素材カードを5枚揃え、仙厳園の黒幕と言うべきモンスターの見当がついたらいよいよ秀成荘だ。

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あなたのモンハンはどこから? というアンケート。やはり2ndGは偉大である。

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貴重な展示を堪能した後は素材カードの納品と大型モンスターの調査報告を終えついにクエストコンプリートである!!

 

英雄の証:Rise ver. - Piano Arr.

英雄の証:Rise ver. - Piano Arr.

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さてクエストクリアということで帰宅……と行きたいところだが素材カード集めに結構戸惑ったりして腹が減ってきていた。また、歩き回る間は荷物になると後の楽しみにとっておいたお買い物タイムも満喫したいところだ。

 

カムラ祓え歌

カムラ祓え歌

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ちなみに各所ではこの歌が流れていて、これがまた仙厳園の景色ととてもよくマッチする。

「島津のれん」のディスプレイは可愛く思わず全種類購入してしまいそうだ(した)

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そして今一匹、対峙せねばならないモンスターがいる。

青熊獣アオアシラ。

鹿児島の誇るスイーツ・白熊とコラボレーションして奴は筆者の前に立ちはだかったのである。

とはいえアオアシラと言えばライズ体験版でも操竜術のかませに使われたりなど「やつは中型モンスターの中でも最弱……」的立ち位置。筆者も3rdの昔から武器を新調した時の試し切りにするほど慣れた相手である。

対して気負わずに立ち向かうと――。

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――デカない?

そう、可愛い顔してこいつは小玉スイカほどのサイズがある規格外の氷菓、いうなればスイーツ回のヌシ・アオアシラだったのである。こんなところでモンスターハンターライズの新要素を拾ってくるとは……。

コラボフードを食べられる桜華亭は猛暑の来客を気遣って冷房を利かせてくれており、歩き回って汗まみれだった筆者の体は急速に冷えていく。内からはアオアシラ、外からは環境のダブル冷気攻撃に筆者のスタミナゲージは可視化されていたらみるみる縮んでいったことであろう。

このままでは……舐めプで三乙という結果になってしまう……。

助けて……。

助けてサトとヤス……!

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このように仙巌園敷地内ではARカメラによってどこでもヤスとサトと記念写真が撮れるのである。大きさもピンチイン・アウトで自在に変えられるぞ。

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ヤスの「ヒレカツ御前召喚の術」により筆者の体は熱を取り戻し、塩気を取ったら甘味が欲しいという人体の摂理を利用して無事完食することが出来たのだった。

しかしまさに「戦い」だったと言えよう。味はめちゃめちゃおいしいので複数人でのシェアをお勧めしたい。

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コラボイベント参加者にはコースターとランチョンマットのプレゼントがうれしい。

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食後の腹ごなしには御殿が最適である。室内で空調が行き届いているし、モンスターハンターライズの屏風展示もある。豪奢な殿の邸宅であった御殿は本来別途料金が必要だが、コラボイベント参加者はイベント料金に含まれているのでお得である。

丁度大河ドラマ「青天を衝く」にも関連する解説もあるので是非寄ってみてほしい。大河ドラマ西郷どん!」の展示もある。

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10月現在は「みんなのジメサァ展」も開催されている。ジメサァ(じめさあ)こと亀寿姫は初代藩主家久の妻であり、仙厳園を築いた光久の義母でもある。秀吉に人質に出されたときにはあまりの美しさに偽者ではないかと(めちゃくちゃ失礼だな、秀吉)疑われた美貌の持ち主かつ胆力を備えたまさしく薩摩おごじょで、現在も彼女の院号持明院」にちなんだ「持明祭」が男子禁制で執り行われている。

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信長の野望でおなじみの長野剛氏のイラストをはじめ、県内外の気鋭のイラストレーター諸賢がジメサァのイラストを寄せておりまさしく眼福であった。小冊子が用意されており、感動を持ち帰り繰り返し味わえるのも大変ありがたい。

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また、御殿から見える桜島はまさに殿様の特等席という感じで大変味わい深い。仙厳園に来てこれを拝まないのはいかにももったいない。(丁度噴火していますね)

さてこれによってイベントを隅々まで味わった筆者は今度こそ帰宅……。

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と、思いきや筆者は再び仙厳園ブランドショップへ足を向けていた。

コラボクエストクリアした狩人はお得な価格で伝統工芸品コラボグッズを購入できるのである。

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ゲーム中「物欲センサー」に何度も泣かされた宝玉がきらきらしく眼前にある。恐ろしい話で、先ほどの8万尺のマガイマガドタンブラーを見た後では「レア度6がこの値段…実質タダでは?」という気持ちになっているから恐ろしい。

しかし実際、仙厳園薩摩切子工房の職人さんが手作りしたこの世に一つしかない限定コラボアイテムと考えると非常にお買い得なのは間違いがないことであった。

筆者は昨日邂逅し、そしてまたしばらく会えない娘のことを思った。

あなたが生まれた次の日に、父は睡眠3時間そこそこで、「娘生まれたハイ」の状態で世界遺産仙厳園を駆け回り、モンスターをハントしていましたよ。

それを物心ついた娘に話すというのは、それこそモンスターハンターの世界で引退したハンターが子どもを寝かしつけるために語る昔話のようで、いかにも荒唐無稽で愉快であった。

そうしてそんな話には、それを裏付ける何かがあればもっといいな、と思った。嘘だ、と笑う娘にさっと渡せるような何かが。

そうして筆者は「雷狼竜の碧玉」を選んだ。綺麗な緑は、娘の誕生石であるペリドットを思い起こさせもし、またジンオウガはモンハン3rd発売当時散々苦戦し、6畳半の下宿で夜中にやっと討伐し、快哉を叫んだ思い出深きモンスターであったからだ。

 

前述したようにこのコラボアイテムは一つ一つが職人の手作り、細部が違い一つとして同じもののない商品だ。スタッフさんが快く在庫をバックヤードから出し、筆者が気に入ったものを選べるようにしてくださった。誠にありがたいことである。

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そして金のシールを貼られて「報酬欄」にかのアイテムはやってきた。

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この美しさ、時々引っ張り出してはニヤニヤするのにうってつけのアイテムである。

娘と話をするのが楽しみだ。

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自分用にフクズクの屋久杉根付も購入した。運というのは良すぎて悪いことはない。

帰宅してもクエストは終わらない。県内各所の観光案内所ともコラボし、ノベルティがもらえるのである。

筆者は霧島観光案内所にてサコッシュを頂いたが、本当に無料でいいのかと思うくらいしっかりしていた。歴戦のハンターは是非霧島の温泉に入って3rd気分を思い出していただきたい。

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その後緊急事態宣言、まん防によって仙厳園が休園を余儀なくされたとき、筆者は断腸の思いであった。こんなにも工夫が凝らされ、おもてなしの気持ちに満ちたイベントが少年少女が集まりやすい夏休みの間開催できないなんて。

大事にするあまりに賞味期限が切れかかっていた明石屋のコラボどら焼きを食べ、すこぶるうまいのに休園中に賞味期限を迎えるこのどら焼きの兄弟たちのことを思い浮かべまたも悲しみに沈んでしまった。

しかし、仙厳園は耐えた。カプコンも踏ん張ってくれた。

10月より再び開園し、コラボイベントも10月末まで開催を延長してくれたのである。

天を廻りて戻り来よ。これは筆者にとって思い出深いMH4のクエスト名だが、今回のこの顛末は思わずこの言葉を思い浮かべざるを得なかった。

あの時逡巡した狩人諸賢、あなた方があの時我慢してくれたおかげで、まだこのイベントは開催されています。是非一度、遊びに来てください。一狩り来てください。

不幸中の幸い、8月よりもずっと周遊しやすくなっています。

あなたのハンターライフが充実しますように。

 

今日という日は娘が生まれて二カ月の日

今週のお題「今月の目標」

kimotokanata.hatenablog.com

我が家が三人家族になって二カ月が過ぎた。

とはいえ入院や出産後ケアハウスに妻子が入院していたこともあり(この辺りはいずれまたまとめたい)、実際に過ごしたのはそのうち一月程度になろうか。

土曜日に生まれ、お盆休みに退院と父が職場にできる限り迷惑をかけないようにしてくれる早速親孝行な娘である。

八月は、通常通り勤務した。一応医療従事者の端くれである筆者はますます拡大するコロナ禍にあってパッと休みを取ることは難しい。それでもボスの尽力とお盆休みの間の筆者の暗躍、同僚諸賢の理解によって九月からこっちは二週間の育休、後短時間勤務&自宅勤務という形で働かせていただいている。

正直めちゃくちゃ性に合っている。元来業務の半分はデスクワークなのでどこでもできるのである。何とか週二日くらいこのまま自宅勤務にならないだろうか……と思ったりもする。(実際は敷地掃除などボスがフォローしてくれている部分があるので難しいのだが)

とはいえ出勤日に頼られると悪い気はしないのも人間である。一応は中間管理職でもあるので、自分の不在でスタッフの危機感をいい感じに煽ってヘイトを自分にそらしつつ、全体が底上げできればいいなあと思っている。ヘイトもらわないのが一番だが。

肝心の育児について。

九月半ばまでは主に担当しているのは帰宅してからのミルク・おむつ・寝かしつけだった。例えば20時・23時・2時・5時を担当した。また各種買い出しや洗濯など(ほとんど洗濯機がやる)。基本的にはタイマーのように規則正しく起きて泣き、不調を訴えてくれていた時代の娘だったので我々初心者夫婦としては大変助けてもらった。

九月後半になると成長によって声自体も大きくなり、「背中スイッチ」「ギャン泣き」が扶養者の同意なくインストールされてしまった。糞アプデである。もどして……。

しかしありがたいのは妻も回復したとはいえ腹切り後の体を押して面倒を見る時間が増えたこと、前述の通り時短勤務となったことで負担としてはだいぶ減った。なにより、娘がどんどん成長し日々かわいくなる、(もぎたての親バカ)それがなによりのモチベーションとなっている。初期は完全に「無垢」という感じであったのが最近は表情が豊かになってみているだけで楽しく、時間が溶ける。困ったことに深夜にかけて目がぱっちりなり手足がワキワキ動きますます可愛いのである。

それはいいのだが時間がぶつ切りになるのでどうしても今はゲームやブログ更新、読書が難しいのがもどかしいところである。完全ではないとはいえ電話から解放されたかと思ったらこういった形で集中力を裁断される形になるとは……。

毎日目まぐるしく変化する娘を育てるのは大変だがとても楽しい。

「さみしくても思い出が温めてくれるさ」という、その思い出を今作っている時間なのだろう。

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一か月半前に撮ったこの写真すらも随分懐かしい。一秒前の娘には二度と会えない。生まれてから一万日をとうに過ぎた人間がまだ生まれて六十日の人間に何が出来るか、毎日考えている。一生考え続けるのだろう、きっと。

吉田戦車先生の作品に「まんが親」という作品があって、冒頭で娘さんが誕生する。

その時、吉田戦車先生は自問する。

本当にこの世に生まれたことはおめでたいのか?

この世は、我々という親は「おめでとう」に値するものなのか?

これは独身時代、筆者もふとした時に考えてしまうことであったが、やがて吉田戦車先生は自答する。(脳内に自分1号と2号がいる)

2号「ばかやろう、すべての生物は生まれて増やしてそして死んでいくんだよ、カエルも犬も何も悩まねえよ。人間も、そういうふうにできてるんだよ」

1号「そうか……そうだよな」

迷うことなくひとこと、「おめでとう!」それでいいのだった。

――吉田戦車先生「まんが親」一巻より

このやり取りが筆者をずいぶん楽にしてくれた。極端な話、妻と結婚する、人と縁を結ぶ決断ができたのはこの漫画を読んだことが理由の1つと言ってもいいかもしれない。

そういうことで今月の目標は昨日よりも明日よりも今日の娘に全力で向き合い、そして成長を見守り、祝うことにしたいと思う。

 

 

 

 

ゴールデン&ゴールデン! あるいはゴールデンカムイ27巻感想

ゴールデンカムイ 27 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

余談

kimotokanata.hatenablog.com

なんと前回の感想から二年以上が経ってしまった。確か19巻の感想を書きあぐねている間に20巻が出てしまって……という感じでタイミングを逃してしまったように思う。

さていよいよ連載はクライマックス、全話無料という大盤振る舞いが先週まで…であったが恐ろしい反響により20日まで延長となったという。まだ未読の諸賢の月曜日の過ごし方は決まったように思われる。

とか書いていたら愛娘がぐずりだし気が付けばなんだかんだで20日の17時14分である。

 

tonarinoyj.jp

未見の方はとりあえず読んでください!

そしていつの日かこのブログに帰ってきていただければ幸いである。

そして今回、この無料開放で27巻分も読んじゃったからわざわざ買わなくてもいいかな……と思っている諸賢。

実はゴールデンカムイは単行本化にあたっての加筆修正が多いことでも知られており、主にその偏愛を受ける谷垣は今巻は登場しないが、セリフやあるいは死亡する人物など見逃せない変更点が見られた。

それらをひとまず確認し、自らのライブラリに加える前の参考に本記事がなるのであれば幸いである。

 

本題

ということでここからはゴールデンカムイ27巻までの容赦ないネタバレが乱舞します。

前巻まで

さて随分と間が空いてしまったので筆者自身の復習も兼ねて前巻までの流れを振り返っておきたい。

役者は札幌ビール工場へ集い、窮地に陥りながらもアシリパはウイルクの過去の真相よりも彼に託された未来を、杉元は誰から生まれたかよりどう生きるかを、それぞれ「未来」を語り突破する。

刺青人皮はいよいよ残り2枚。揃うかと思われたときどう考えてもジョン・ウェイン・ゲイシー(リンク先閲覧注意!)な上地は自らの刺青を台無しにしてしまっていることが判明する……が実は刺青人皮の暗号は全部そろわなくても解ける類のものだった。

失意のうちに落下死を迎えようとする自分を窓ガラス越しに見て歓喜して舞台を去る(ややこしいね)道化・上地。

残り1枚。

それは、門倉元看守部長(現無職/お腹がだらしない)の背中に彫られていたのだった。それこそは時系列的にも最後に彫られた刺青。

不思議な符合であるが筆者が最後に書いていた感想記事である18巻にて門倉は尻を丸出しにしていながらも注意深く背中は見せていなかったことが周到な伏線となっていたのである。無駄に尻たぶを見ちまったぜ。

札幌ビール工場の一角、火災に巻き込まれた杉元一行を突如裏切る海賊房太郎。自らの帰る場所、故郷を作るために金塊を得ようとするアシリパ。房太郎の金塊が無ければ杉元とずっといられるという言葉に迷いながら、彼女は故郷を守るために金塊を活用するべきではとも考える。

上は大火事下は大水。地下のビール樽が割れ、洪水となっている中で鯉登が房太郎に挑みかかるが、二之太刀不要の示現流は酔っていたためか精彩を欠き、辛くも月島に助けられる。アシリパよりも優先されて……。

こうして逃げおおせたかと思えたアシリパであったが世紀末リーダー伝たけし!のたけしの頭のガラス以来の見事な伏線により二階堂によって捕えられ、鶴見一派の手に落ちる。鶴見に伝わるように報告する鯉登はそんな自分に戸惑うのであった。

白石によって解放された杉元はもはやそこにアシリパがいないとも知らず、房太郎に挑みかかる。

あと門倉はピタゴラスイッチ……門倉スイッチによりなんか助かりました。身構えているときには死神は来ないものだ。

サッポロ・ビール・ラン(SBR

火災は延焼し、消防組が動員される。密かに超A級の狙撃手の戦略が交錯する中、房太郎を打倒した杉元一行は鶴見一派が「足」を手に入れたことを知り、呉越同舟、房太郎に運転を任せ後を追う。(ちなみにこの宣伝車のモデルはキリンビールのものであるらしい)

土方も合流しチェイスは加速……と思われたが房太郎のハンドリングが怪しい。やはり示現の太刀は彼に深手を負わせていたのだ。

執拗な銃撃の中、房太郎は白石をかばって命を落とす。家族を、故郷を手に入れるためあらゆるものを犠牲にしてきた男は最期に自らを犠牲にして同じく天涯孤独のみの上である白石という「家族の素になりうるもの」を守り、その遺志を伝えたのである。その行為こそが家族愛ではなかった。筆者は彼の行動にワンピースの白ひげを思い浮かべたりした。そして彼は白石に金塊が初めて集められた地の場所を託す。

寂寥感漂うシーンで白石は「忘れねえぜ…海賊房太郎こと大阪房太郎」と房太郎の本名を間違えてしまう(大沢房太郎が正しい)。これはいやもう忘れちゃってるぜというギャグ、の向こうにやはり「犯罪者の名前が肯定的に語り継がれることなどあってはならない」ということなのか……と思ったが単行本では削除されていて、真意がはかりかねるところである。

一方鶴見たちの車両に取りついた杉元と菊田が実は旧知の間柄であるらしいことが分かり、あるいは杉元をかばうかのように菊田は車両から蹴り落とす。

援護を狙ったソフィアもまた、第七師団の練度の前に競り負け、アシリパ共々連行されるのであった。

隙あらば余談

さておよそ3巻近くに渡って舞台となった札幌ビール工場であるが、この前身となった開拓使麦酒醸造所を立ち上げたのは実は薩摩人であったりする。

彼の名は村橋久成。薩摩藩が幕末密かに企てた密航留学生のうちの一人であり(薩摩はすぐそういうことする)、現在の新幹線停車駅、鹿児島中央駅前には「若き薩摩の群像」として銅像が残っている。

函館戦争中に「青天を衝け」にも登場した医師・高松凌雲を通じて榎本武揚と交渉を行い、榎本は降伏、彼の命を繋いだ。

その後流転を経て神戸で行き倒れるという数奇な運命をたどった人物である。

サッポロビールを飲む際には少し脳裏に思い浮かべてみてもいいかもしれない。

ちなみに筆者は一度だけ札幌に行ったことがあって、その時の道内限定のサッポロビールのおいしさが忘れられない。コロナ禍が明ければもっとも訪れたい場所の一つである。

黄金の対面

鶴見はソフィアの持ち物から、彼女がかつて「ゾーヤ」として出会った人物だと知る(汁)。

ソフィア・ゴールデンハンド。単行本加筆された鶴見のセリフによれば「民衆にとっては痛快な義賊の輝く黄金の手/一方では革命のために沢山の人間を犠牲にしてきた呪われたゴールデンハンド」。

いきり立つ彼女はしかし、目の前の人物が「長谷川サン」であると気づく。そう、またも不思議な符合として18巻と内容が呼応するのである。

鍵穴からのぞく月島軍曹は、鶴見と長谷川写真館を訪れたことを思い出す。文字通り滅私奉公してきた彼のアイデンティティを揺るがす鶴見の公私混同の予感にいら立ちを隠せない月島軍曹。

鍵穴の向こうではウイルクとユルバルスがソフィアと別れ、訣別するまでが語られる。

ユルバルスとウイルク。かつてはソフィアを守護する前門の虎後門の狼であった彼らは虎狼のさだめか悲しい訣別を選んでしまう。

これまた前回感想から今回感想までの間に筆者は一女の親となっており、なるほどウイルクの変節に納得も出来るように思えたのは期せずして娘から贈り物をもらった気分であった。

とはいえその後もあらゆることを最短経路で決断していくウイルクを考えるとより大きな深謀遠慮があったのではないかと思ってもしまうのだが。

その訣別をアシリパはユルバルスがソフィアを愛していたからだと分析するが、当時から彼がふくよかな女性を好んでいたことは長谷川写真館でのやり取りでも示唆されている。

もちろん体型など関係なくソフィアを愛していたのだと考えることもできようし、同じく長谷川写真館でのやり取りにソフィアがウイルクを意識していることを嫉妬しているように思える描写もあるけれども、実際にアシリパが見ておらず、読者に提示されているユルバルスの表情を見るにやはりウイルクへの親愛の情と可愛さ余って憎さ百倍の裏返った感情が彼を狂気に走らせたのではないかと筆者は考えてしまう。

ただ、ウイルクはあくまで合理的でありこの時彼はユルバルスを「まだ利用価値がある」と思っていただけではないかと思うのだが……。どちらかというと彼にとってこの場面は、合理的であるがゆえにユルバルスの気持ちを読み違えてしまった、というところなのではなかろうか。

いよいよ話は七人のアイヌにもたらされた惨禍に繋がっていく。その端緒となるのは有古の父・シロクマル。これまた単行本書き下ろしのチエトイのヒンナシーンなどウイルクのカリスマ発現描写を見せながら、鶴見は疑惑という毒矢を彼らに放つ。

果たしてそれは命中した。この時今わの際に鶴見一派と話をしたのは雑誌掲載時のキムシプからシロクマルに変更されている。

ウイルクの誤算は追跡者もまた愛する妻子を持ち、そして彼の場合は喪っていた鶴見であったこと。執念の追跡の末邂逅した二人。長谷川の成れの果てと気付くウイルク。何とか逃げおおせた彼は、北海道で最も堅固な要塞・網走監獄へ自ら入城するのだった。

ユルバルスはあれほど憎んでいたはずのウイルクの生存を予感し目を輝かせるも、やはり彼の考えを「弱い」と断じ、そして網走での凶行に至った。その時の目のハイライトの消えっぷりが対照的である。

しかしこの流れを追うと、筆者はウイルクは自らの死をもってしてアシリパに時代の旗手としての選択を迫ったように見えるのは考え過ぎだろうか……。

語り終えた鶴見は彼の妻子を殺したのはウイルクだと告げる。彼が自ら剥いだ顔の皮を被り、アシリパに呼びかけながら……。

その狂気にアシリパは父の罪を悟り、ソフィアは鶴見の目的を復讐かと尋ねるが、鶴見の回答はあくまで日本国の繁栄という大きな道の過程に個人的な弔いがあるのみと語る。それを聞いて誰よりも穏やかな顔になるのは盗み聞きしている月島軍曹であった。

鶴見は語る。ウイルクがすべての元凶ではない。真の元凶とはどんなカムイよりも醜悪で凶暴で触れるものに無惨な死をもたらす、眩いほどに美しく黄金色に輝くカムイ――

――黄金に宿るゴールデンカムイではないか、と。

しかし筆者にはそう語り、近しい人の死を予言し、アシリパを篭絡せんとする鶴見その人こそその禍々しきゴールデンカムイ受肉した姿のように思えてならないのだった。

邪悪なるゴールデンカムイ・鶴見がゴールデンハンド・ソフィアを窒息死させようとする中、ついにアシリパは父の名、「ホロケゥオシコニ」――「オオカミに追いつく」を告げるのだった。

考察・感想(妄想)

筆者も無料開放分で続きを全部読んでしまったのでこれからの予想などしてもずるっこなのでやめておくが、ふと気になったのが鶴見の妻・フィーナの素性である。賢い女性であれば怪しすぎる鶴見と結婚し、子どもまで設けるだろうか? 18巻の描写からしてそこに愛があったことは間違いがないのだろうが、元々は彼女にも何か別の思惑があったのではないだろうか?

狂気のゴールデンカムイ・鶴見を打倒す手段はもしかしたらそういうところに眠っているのかもしれない。結局月島を伴って長谷川写真館を訪れた時、老人が彼らが長谷川を知っていたとしたら何を伝えたかったのかも気にかかる。長谷川がスパイだということは判明しているだろうから残党狩りなのかもしれないが……。

また、雑誌掲載分の後読むとアオリやハシラ文も本作の魅力に大きく寄与してるので是非そのまま残してほしいと思う次第であった。

ではまた28巻感想か、291話感想でお会いしましょう。

ぬけぬけと親父になろう

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

余談

8/7、健康診断があった。

一年ぶりの結果は体重、ウェスト共にマイナス13。腹囲1センチが体重1キロという通説を見事に証明する形となった。実際には体重は83キロまで増えたことを確認しているので最大差でいうと15キロほどの減量となる。

それぞれの項目と最後のドクターの診察でことごとく驚かれるのが新鮮だった。健康診断ってそういうイベントだったのか。

とはいえ、そこに快感がなかったかと言えば嘘になる。さながら転生チートものの主人公である。この減量……あんた一体何を? 何って……暴飲暴食を控え日々運動に励んだだけだが? みたいな。

だが目標としていた標準体重63キロには残念ながら届かなかった。油断するとすぐ3キロくらい戻ったりもする。引き続きダイエットを続け、再び「典型的な中肉中背」であったころを取り戻したいと思う。

本題

余談が、ながくなった。本当はもっと長くなりそうだったのだがそうなってくるともはや本題になるので機会があれば別項を立てたい。「メタボ宣告を受けた筆者が1年で13キロ減量できたたった4つの理由」なんともはてな的で良いではないか。

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

あなたの「記憶に残っている、あの日」とは?

お題「記憶に残っている、あの日」

「記憶に残っている、あの日」に応募
初めて一人暮らしを始めた日、子どもが生まれた日、大好きな推しに出会った日……。あなたの記憶に残っている日のことを教えてください。写真でもテキストでも投稿可。

 さて、はてなインターネット文学賞である。相変わらずこういう大型イベントの最終日、駆け込み乗車が筆者の悪癖であるのだが今回ばかりはご容赦願いたい。

なにしろ期間中まさに、「記憶に残っている、あの日」が訪れたのだから。

「その日」まで

筆者と妻は結婚して約五年、出会ってからは約十年となる。気が付けば人生のおよそ1/3を二人三脚というか随伴と言うか、そう言った形で過ごしていることになる。今後この割合がますます増えていくだろうことに喜びを感じていたが、他方昨年、ひそかに思うことがあった。

筆者は三人兄弟の長男であるのだが、昨年ついに「自分が生まれた時の親父の年齢」を超えたのである。妻の場合はそれよりもっと前に、「自分を生んだときの御母堂の年齢」を超えていてもいた。

子どもが欲しくなかった訳ではない。コウノトリが運んでくると思っていたわけでもない。けれどいつしか、医学上の定義――妊娠を望む男女が一年以上その成立をみない――ということで言えば、我々は「不妊」の状態にあった。

転職して仕事も落ち着いたころ、我々夫婦は「ブライダルチェック」というものを受けた。端的に言うと生殖能力の確認であり、デリケートな部分だけに正直なところ恥ずかしさもあり、自費診療であるから(筆者の男性ブライダルチェックの場合は3万円であった)懐にも痛い。それでももし仮に問題があった場合、その対応は早い方がいいだろうと考えた。

結果は二人とも問題なし。通常の夫婦生活を送っていれば子どもを授かることが出来るだろう、というものだった。夫婦で胸をなでおろし、まだ見ぬ子のことを思った。

それから三年近くが経っていた。未だ、授かることはなかった。

正直なところ、少しほっとしている自分もいた。毎日飛び込んでくるニュース。その加害者にも親はいる。被害者にも親はいる。もし自分が子を授かったとして、世の中に生まれたが最後、子はそのどちらかになるかもしれない運試しのゲームに自分の意志に関係なく放り込まれる。そんなことをする権限が自分にあるのだろうか?

そんなことを思ったりもしたし、もっと即物的な理由として「もっと妻と二人の時間を過ごしたい」というものもあった。筆者と妻は大学での出会いがきっかけであるけれども、交際から結婚に至るまでのおよそ三年間はいわゆる遠距離恋愛であり、インターネットが二人を繋いでいたのであった。書きながら、「女子大生と付き合う社会人」という社会悪であった時代が自分にあったことに戦慄を覚える次第であるが、その期間を筆者としては未だ取り戻せていないと思っており、結婚直後、GWに行く予定だった熊本城が修復中であったり遅い新婚旅行で行く予定であった台湾がコロナ禍で吹っ飛んだりその他にも様々な遠征など「子どもがいると制限がかかる」イベントをまだ制覇できていない、と考えていたのである。

他方で時間が経てばたつほど、妊娠に関連するリスクは増大し、そしてその多くは妻に降りかかる。そろそろ、一段ギアを上げたほうが良いと我々は考えるようになった。「普通にしてたら普通に授かるでしょう」という楽観を捨てよう、と。

その対策の一つとして体質改善があり、筆者は怠惰に任せて肥え太ったその体をまだ見ぬ我が子を思い叱咤すればこそ、ダイエットが捗ったという経緯がある。

妻は漢方を処方してくれる内科にかかりつけを変え、筆者と共にフィットボクシングをすることで目に見えて調子がよくなっていた。同時に婦人科にもかかり、諸々の助言を受けていたようである。

肌寒くなってきた十一月末、妊娠が判明した。とはいえコロナ禍、産婦人科に集う人々は特に抵抗力が落ちているということもあり筆者は付き添うことは許されなかった。

噂に聞くエコー写真には黒ゴマのようなものが映っていた。

我が子との初邂逅である。

その後のエコー写真ではナマコのようになっており、筆者は漱石の「やすやすとナマコの如き子を産めり」という俳句を頭に浮かべたりしていた。

世の中は進んでおり、クラウドによってエコー動画は共有され、筆者のPCでも見ることが出来た。心拍も確認。母子手帳が交付され、妻が「母」になるのだ、という実感がにわかに沸いてくる。

妻の説明をほう、ほう、と聞きながらも筆者の脳内は

赤ちゃん!!!

ということで急速に占められていた。あの感覚は今思い出しても不思議である。もう三人の生活しか考えられなくなっていた。

コロナ禍は未だ収まらず、妻は里帰り出産ではなく居住地で出産することとなった。今思えば、ここで素早く決断することで「入院予備軍」として扱っていただいたことがのちのち役立っていった。

安定期までは特に辛かった。男親が何を、と思うかもしれないがそこまでの胎児は特に不安定であり、ある日急に旅立ってしまうことも珍しくない。そうなってしまった場合に相手を悲しませないよう、誰にも明かせない不安な日々。出来る限り直帰するが理由がはっきり言えないために生じる同僚との微妙なすれ違い。

家庭内ではホルモンの仕業による妻の感情の乱高下と朝と夜でさえ違う食べられるものの変化。誰よりも妻が辛いのに疲れを感じてしまっている自分に対しての自己嫌悪。しかしまだ見ぬ我が子のことを考える時そういったものはまとめて消え去っていった。初めての胎動、手のひらのほんのわずかなエリアに感じた妻の皮膚越しの命の存在が筆者のよりどころの一つであった。

職場の朝礼で報告して以来、スタッフ皆が気にかけてくれるようになり、少しずつ分担できる業務を切り分け始めた。どさくさに紛れてパートさんの勤務体制の改善も出来たのはささやかな職場への恩返しであった。様々な世代の「お母さん」がおり、その助言は両親教室他すべてがコロナ禍で吹っ飛んだ我々夫婦に対して非常にありがたい生の声であった。

我が子はと言えば、お手本のように成長曲線の真ん中を突っ走っており、各種検査も順調であった。ただし、恥ずかしがり屋なのか、なかなか顔を見せてくれない。性別の「決め手」も見せてくれない。令和らしい個人情報に敏感な子であるようだった。

先生がふとこぼした「かわいい服を買ってもいいかもしれませんね」によって妻はクレイジーなほど女児服を買いあさろうとし、あれほど堅実に学んでいた「サイズアウト」という概念を忘却しそうになっていたので慌てて諭す必要があった。筆者はと言えば、弟を抱っこしたりおむつを替えたり風呂に入れたりした経験はあるが女児は接した経験がないのでゼロからのスタートだな……と考えていた。いつまで洗濯物いっしょに洗ってくれるかな……とも思った。

結局顔も性別も謎のベールに包まれたまま、臨月が訪れた。筆者が市外に勤務していることから、予定日の少し前から参加に妻は入院させてもらうことになった。

筆者としてはおよそ十年ぶりの一人暮らしがスタートした。相変わらず面会なども出来ず、洗濯物を預かっては渡すわずかな時間が夫婦の一時となった。いや、そのたびにすっかり立派になったお腹をさすったりもしたからあれは親子の時間であったはずである。

自由だ! と思ったのは初日くらいで一人の部屋は発熱体が少ないこともあってかクーラーが無くても乗り切れるほど涼しく、寂しさがあった。何かに没頭することが必要だった。ひたすらフィットボクシングをし、溜まっていた楽天ポイントでエクササイズバイクを買った。少しでもかっこいい夫・父として二人を迎えたいという気持ちがあった。

そのストイックな日々を補ってくれたのがTwitterの新機能「スペース」であった。声のみのコミュニケーションは運動しながらであっても両立を可能とし、さまざまな知見を得ることが出来たし、孤独を大いに慰めてくれた。

「その日」

8/7。健康診断が終わり、妻にLINEで筆者は自慢げに結果を報告した。妻は褒めてくれ、また自分も毎日受けている検査結果を報告してくれた。子は動きが少し緩慢になってきており、心拍心なしか元気がないということだった。予定日まではあと二日。初産ということもあり促進剤を今日から打ち始める、という。

たちまち妻から無数の管が生え、次のフェーズに入ったのだということが分かった。この期に及んでも性別は分からないままであった。検査を経て、絶食となる。筆者も健康診断のため絶食であり、妻と少しでも気持ちを共有しようとそのまま昼も食べなかった。そうでなくとも食欲がわかなかったかもしれないが。妻は従容として臍帯血提供の書類を書いたりしていた。

午後三時半頃、高位破水。

午後五時半頃、陣痛が来始めたという。同時に筆者は呼ばれた。妻は暢気なものだが筆者はただならぬ気配を感じながら急ぎ向かう。妻はベッドでヒプマイライブを見ていた。猛者か。

先生の説明としては胎児の心拍が弱まっていること、陣痛周期が安定しないこと、子宮口の開きが弱いことしかし破水しており、胎盤も機能が低下していること、妻が熱発していること――これらすべてが帝王切開を推奨する事態である、ということであった。

あれだけ自然分娩後に出されるお祝い膳を楽しみにしていた妻はあっさり帝王切開を承諾した。筆者も妻が賛成であれば反対する理由はない。各種点滴がつながり手が不自由な妻に代わり書類にサインをし、準備の間に行っておくべしと言われて「戦い」のための食事を調達しに近場のコンビニへ向かった。あんな心境でコンビニに向かったのは初めてで、少しでも妻の気持ちが和らげばと思いヒプマイコラボクリアファイルを入手した。

 戻ってみるとやはり状態は好転しておらず、帝王切開が決定した。よくある妻の手を握って「頑張れ! がんばれ!」というあの構図はここに及んで消滅し、そうなると筆者はただの邪魔なオブジェクトになるのだった。麻酔によって眠りにつく前の妻と一度握手をし、妻の病室に筆者は一人残された。およそ二週間、妻が一人戦ってきた戦場。ご飯はおいしく健康的だが、産婦人科ほど残酷に生と死が交錯するところはない。わずか二週間であってもそこで様々なドラマを妻は半ば強制的に見せられてきた。間接的にLINEで聴く筆者でも辛かったのだからある時は直接相手に聴かされることもあった妻の優しい心への影響を思い、胸が痛んだ。あるいはそれが、少しでも我が子のリスクを減らすならと帝王切開の即断に繋がったのかもしれなかった。

気が付けば初めの呼び出しから三時間ほどが経過していた。いよいよ妻の手術の準備が整い、手術室の重い扉が閉まった。筆者は創作で何万回も見た手術室前の横で祈る夫の役を許されたのである。

が、それはほんのわずかであった。時間にして三十分もあったろうか。扉越しに、赤ちゃん出ますよ、という声が聞こえた。先ほど妻を元気づけてくれていたスタッフさんの声だ。

「おめでとうございます」

あ、本当に「コウノドリ」と同じ感じなんだ、と思った。百メートルを全力疾走した後のような心臓のバクバクと高揚感と浮遊感が押し寄せてきた。さっきの言葉は、妻に対してかけられたものである。妻は全身麻酔をかけられながら、我が子をしっかり見届け、アイコンタクトをしてから眠りに落ちた、と後から先生に教えていただいた。

「女の子だ!」

「40! 大きいねえ!」

「元気ですよ!」

執刀がスムーズだったからか、漏れ聞こえる先生方の声は和やかだ。

でも、まだ――筆者が握りしめていた拳は、

「あ、赤ちゃんなきましたー!」

そのスタッフさんの声でふっとほぐれた。それは、そのまま目尻に行き、涙をぬぐう役目を担うことになった。早速の親ばかで恐縮なのだが、あんなにかわいい泣き声を聞いたことがない。

それから少しして、子を抱いてスタッフさんが出てきた。おめでとうございます、元気な女の子ですよ、という言葉とともに、差し出された我が子をおずおずと抱いた筆者はハガレンホーエンハイムのようにスーッと一筋涙が流れるのを感じた。産後の諸々の検査のため、子は再び手術室に戻り、筆者は再び一人になった。

そうして筆者は父になった。体のどこにメスを入れるでもなく、そこに至るまでの長い長い期間体にデバフを受け続けることもなく、のうのうと人の親にさせてもらった。その恩を妻と子には一生をかけて返さなくてはならない。

とっておきドラえもん むねいっぱい感動編 (てんとう虫コミックススペシャル)

「のびたの結婚前夜」を読みたくて待っている間に買ったこの本なのだが、「ぼくの生まれた日」も収録されていて、なんとそこで出ているのび太の誕生日が我が子と同じであり、運命というもののいたずらを感じて驚かされた。

沢山祝っていただいたのもそれを指摘してくれたのもインターネットでしか面識のない方がほとんどであり、つくづく自分はインターネットに生かされているし、活かされているな、と感じた。

妻が麻酔から覚めるまで付き添い、お礼を言って帰ったのが午前二時半。しずかちゃんのお父さんよろしく夜空に星を探したが、台風前の悪天候であったのは残念であった。

現在も母子ともに元気である。

帰宅し、床に就いた筆者はああこの日こそはまさに「記憶に残っている日」の例示である「一人暮らしをした日」「子どもが生まれた日」「大好きな推しに出会った日」のロイヤルストレートフラッシュだな、とかそんなことは全く考えずに即寝た。それはもはや一人の時間を早く過ぎ去らせて「最推し」である妻子に会う時間を少しでも早く手繰り寄せようとしているがごとくであった。

ウルトラマンの日に四半世紀前を思う――『ウルトラマントリガー』第1話「光を繋ぐもの」ネタバレ感想

余談

あの時、筆者は小学一年生だった。

初めての宿題がある夏休みが過ぎ、秋が来る頃、筆者は土曜日が嫌いになっていた。

なんなら、日曜日も嫌だった。

その頃母は三人目の子供を身ごもっていて、生来あまり体が丈夫でないので、週末は毎週のように病院に行っていた。それについていくこともあったし、祖母の家に泊まることもあった。

当時は学校は土曜日は午前中までで、その後は家でご飯を食べた後みんなで公園に集合!

というルーティンだったのだが自分だけはその輪から取り残されてしまった訳である。

しかしそうなると祖母の家は電波の関係でテレビ朝日が映らず、ニチアサが堪能できずにやっぱり翌日の学校で話についていけないのである。

父もよく気にかけてくれたが残業も多く、まだ三歳の弟の方をよりケアしなければならないのを解っていながらも、寂しさは否めなかった。

運動会も、学習発表会も親が応援に来てくれることはなかった。

もちろんそれは弟の誕生と重なった小学一年生のころ限定で、以降は基本的に応援しに来てくれた。筆者は基本的に親に非常に感謝しているし、恨みなどは全くないが、しかし、あのほかにたとえようのないさみしさ、運動会の後、友達が一人また一人親に手を引かれながら帰る中、上り棒の横のフェンスでしゃがみこんでその時間をやり過ごし、人が少なくなってからとぼとぼと帰ったことを今でも時々思い出すことがある。

そういうことだから、それも病院の待合室というか、フロアごとの談話室のようなところで見た。もう少し寒かったような覚えがある。

正直なところ、話の筋は覚えていない。

だが、当時自称怪獣博士のつもりであった自分がまったく目新しい怪獣がしかも二体も現れた時、

「これは、自分たちのウルトラマンなのだ」

というようなことを思ったことは、よく覚えている。

番組の名は、「ウルトラマンティガ」と言った。

kimotokanata.hatenablog.com

とはいえ病院に行く時間もまちまちで、土曜日から祖母宅にいることも多かったものだからティガを追いかける、ということはできなかった。ダイナになると次男がメイン視聴者層となり、もっぱら怪獣ごっこのやられ役となった。リアル怪獣である「なんでも口に招来体」三男によりあらゆるソフビや玩具は唾液まみれにされていく運命であったが。

その三男が兄が母親の腹に置いていった活発さを持て余して家族旅行に今は亡きウルトラマンランドをリクエストし、ウルトラマンショーを鑑賞して、コンパニオンのお姉さんに「将来は何になりたいですか?」と尋ねられた時、元気いっぱいに変身ポーズを決めて、

ウルトラマン、ガイアッ!」と叫んで会場から拍手をもらい、ついでにお姉さんから指人形ももらった時、筆者は小学校中学年ながら「世代交代」を感じ、また供給そのものが薄くなったこともあってウルトラマンからはしばらく遠ざかることとなったのである。

本題

余談が、ながくなった。

それから大学時代に、筆者がこうなった元凶の一人ともいえるこのブログにもしばしば登場するS先輩と出会い、いくらかのウルトラシリーズの作品を見る機会に恵まれた。

とはいえやはりどこか対岸の出来事であり、成人した筆者にとって円谷プロとは「エイプリルフールになんかおもろいことをやってる会社」くらいの認識であった。

とはいえTL諸賢の反応を見ていると最近は盛り上がっているようでよいことだな……とまあ、それくらいの温度であった。

しかし最近、とみに特撮畑のフォロワー諸賢とお話をする機会に恵まれ、(この辺りのことはまた別項にてまとめておきたい)

kazurex1215.hatenablog.jp

それによって様々な知見を得、また実際にそれに影響されて作品を視聴したりもした。(電光超人グリッドマン、面白いです)(ミカヅキも絶対見るけんね(広島弁))(牙狼ってどの順番で見ればいいんだ)

そうなってみると今度は、現在進行形の作品について話を聞いたり、また自ら話したりしたくなってくる。

折よく本日は 「ウルトラマンの日」、「ウルトラマントリガー」が初回放送ということで、時代のありがたさ、配信でも見られるということで視聴をしてみた。有識者が含蓄溢れる記事を書かれる前に、(もう遅いかもしれない)そそくさと書き残しておくこととする。

 

ということでここからはトリガー第一話の完全ネタバレになります

 

 

 

マナカ・ケンゴくんの独り言で様々説明してしまうところはたまさか別作品の「説明セリフっぽくない説明セリフのうまさ」解説を前日に受けていたこともあり気になってしまった。次回以降で誰かしらに突っ込まれてほしい。

花の名前に普通ルルイエはつけないんですよ。花の名前ランキング第50,000位くらいなんですよ。まあ、元ネタ的にはそういう名前を付けること含めて外宇宙の支配者の手のひらの上なのかもしれないけれど。あからさまな造花ぶりがもうちょっと何とかなんなかったならなかったのだろうか。

初めての道具で初めての変身、でも口上ばっちりなのは自分もいつカードデッキを渡されてもミラーワールドに飛び込めるようにオリジナル変身ポーズを考えていたことがあるので何も言えないが、適応力の高さは無類である。

「あなた光であれ」と言われるということは誰かは光ではないということで、それが闇の巨人たちのことなのか、ティガのことなのか、トリガーのことなのか、はたまた別の世界線のことなのか……気になるところである。

世界線と言えばシズマ会長のティガ強火オタみたいなセリフも気になるところで、やはりティガとトリガーの関係性は一筋縄ではいかないようである。最近「ひぐらし卒」を見ているのでああいう感じの平行世界なのか、それとももっと前に枝分かれしたのか、彼だけ異世界からやってきたのか、こういう可能性が無限に広がるのが1話の真骨頂であろう。

ゴルバーに関しては正直パワード世代でもある筆者にとってはあれが怪獣リブートの「お手本」として刻まれてしまっているのでもっとシュっとしたフォルムが良かったな……というのが正直なところである。思い出したように滑空タックルとかされるよりえげつないほどシャープな角からバンバンとビームを出したりしてほしいのである。あんまりとがってるとおもちゃにするのが大変なのかもしれないけれど。

先述したが筆者はゴルザに関して「親父たちのおさがりでない自分たちの怪獣だ」という気持ちで思い入れがあるので、令和のキッズたちにニコイチ怪獣としてお出しされてしまったのは些かの寂しさがある、というかキッズたちに謎の申し訳なさがある。今後もこう言うニコイチ路線が続くのだろうか……。戦隊ものではよくあるけど監督する闇の巨人によって怪獣の系統も違ったりしたら面白いのになと思った。

OPからカルミラが大活躍であったが、CV.上坂すみれ女史の全身銀タイツ異星人に鞭をバシバシ振るわれたり突然の泥レスシーンが勃発したりして本来視聴層キッズ諸賢の何某かが歪まないかどうか勝手に心配である(こういう余計なお世話が老害の証なのである)。

アクション自体はさすがの一言であったが火星に電線は別になくても良かったんじゃなかろうか。重金属の土壌云々で地中敷設が難しかったりするんだろうか。

様々なネーミングがもはやクトゥクトゥしさを隠そうともせず好感が持てるが、ティガ当時の世紀末的な土壌とはまた違う昨今、どのように物語は着地していくのか、出来うる限りスマイルで終われるものであってほしいと願い、浅薄な感想を追える次第である。

 

ウルトラヒーローシリーズ80ウルトラマントリガーマルチタイプ

 

まるで記憶の宝石―宮脇咲良 HKT48 卒業コンサート ~bouquet~感想

余談

矢吹奈子さんの誕生日が温かく盛大に祝われて後、とうとう宮脇咲良さんの卒コンがやってきた。

いつもよりも早く目が覚めたのは、あるいはそのことによる気持ちの高ぶりを感じていたからかもしれない。

卒コンを前に身を清めねばと歯の定期検診に向かった歯科での待合室で見た番組のBGMは「ネッコヤ」(韓国語を学べる専門学校を紹介するローカル番組だった)であったりして不思議な縁を感じながら、呼ばれるまでと開いたTwitterで回ってきたニュースに筆者は目を疑った。

アイズワン再結成を目指す動きがあるという。

結論としては、宮脇咲良さんがかつて言ったように「公式の発表を待つべき」であろう。

なので、ここから書くのはただの筆者の恨み節である。卒コン感想を読みに来てくださった方は「本題」まで飛ばしていただいて構わない。

皮肉というかなんというか、筆者はこの報を初めて聞いた時、同じくガールズグループの旗手であるモーニング娘。の舞台、ステーシーズでも印象深い「再殺部隊」を想起した。

 

再殺部隊

再殺部隊

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髪の毛も、指も。思い出も……骨も。

 

筆者にとってアイズワンというのは替えの利かない、愛しき推しである。彼女らが「大人」たちにとって理不尽な幕切れを迎えた時、それでも明るくウィズワンを活動終了の日まで支えてくれたその眩さは永遠に失われることはなく、それ故に夫婦してそれまでの履歴からおすすめしてくるYouTubeのアイズワン関連の動画から目をそらしながら五月以降を過ごしてきた。

ライブも、峯岸みなみさんの卒コンやAKB単独は見たけれども、8コン(たまたま出先で見たら本田仁美さんカムバックだけ見ることができた)やHKTコンはまだ見られるような状態ではなかった。

その間にも彼女たちの輝きはもはやベールに包むことも難しく、インスタグラムではついに全員集結するなど、アフター・アイズワンとでもいうべき動きを見せてくれていた。

もちろん一抹の寂しさがないかと言えば嘘になるが、それよりも嬉しさや誇らしさの方が勝っていた。

まるでヴァージンロードを随伴していた愛娘が我が手を離れ、愛する人と手を携えているのを目を細めて見守っているかのような感覚。

「幸せにおなり……」 

と思わず声がこぼれるような。

最近アイドル諸賢について書くことが多いので必然これも何度も書くことになってしまうが、人間にとっての「最高」というのは「変化し続けていくこと」「成長し続けていくこと」ということだと筆者は考える。(藤田先生の受け売りだけど)

確かにアイズワン諸賢というのはみんな女神のように可憐で花々のように美しく儚げであったけれども、その瞬間を保存して留めておくことはできないし、許されることではない。

何故なら彼女たちは人間なのだから。

不老不死の女神でもないし、もちろんコンテンツでもない。

だからこそ、当初より「連合」諸賢の動きについて筆者は反対であった。彼らが好きだったのは、復元を目指しているのは「あの頃のアイズワン」であって、一分一秒下手したら一刹那のスピードで進化し続ける彼女たちにとってその行動はもはや枷にすらなってしまうのではないかと。

そう言った形でコンテンツホルダーの逆鱗に触れ、最悪アイズワンの名前を取り上げられてしまうよりはアフター・アイズワンにおいて彼女らが八面六臂の活躍をすることで自然活動再始動(筆者はアイズワンはあくまで「活動終了」であって「解散」はしていないと考えている)の機運が盛り上がることがベストなのではないか。

クラウドファンディングによる交渉といってもそれが不透明なものであれば「札束を積んで動かした」ということになり、ますます世論の反発を招くのではないか――と。

それらは結局、アイズワン諸賢を悲しませてしまうことに他ならないのではないか。

こう書くと「連合」支援者諸賢としてはいや、そんなつもりはない、純粋に再び彼女らが集うところが見たいのだ、と憤ることがあるかもしれない。

筆者もあの荒涼としたラストコンサートの景色を忘れるつもりはない。

しかし、一度「金で解決」してしまえば、今後何かあれば同様の手段を取ろうとしてしまうかもしれないし、そうでなくてもファンダム外から「金で解決したのだろう」と邪推されはしないか。彼女たち自身には罪がないのに「不正アイドル」とされてしまった、その苦しみをなによりわかっているであろうあなた方がまた違ったレッテルを彼女たちに貼ろうというのか。

知っています。あなた方も、アイズワンのことを愛していると。けれど、例えば少し前講談師が「もののけ姫」について炎上したように、人というのは特に焦燥しているとき、視野が狭くなり、その時に見えたものに飛びついてしまいがちです。

いつしか、自分に都合のいい部分だけを切り取り、つなぎ合わせ、不気味にキメラめいた「真実」が誕生してしまう。それに固執してしまう。こういったことをおっさんである筆者はいろんな界隈で何度も見てきました。いずれも、そのジャンルを本当に好きだった方たちでした。

クラウドファンディングによりCJが動き出しました。誠意でしょうか。愛情でしょうか。残念ですが、「金になるから」としか筆者には思えません。だからこそ彼らは、仮に再始動するとしたら運用は彼ら自身の投資によると明言しました。

おわかりでしょうか。「善意」で3億円以上の資金を集め、そして交渉を進めているらしいあなたたちの動きを見たCJはかつて不正騒動を鎮火するためにすべての利益を放棄したアイズワンに再び「投資」すると言ったのです。

あなた方の善意が、アイズワンに不正のレッテルを貼ったCJが再びアイズワンを用いて金儲けをする下準備をしてしまったのです。それが他のウィズワンへの、アイズワン諸賢への、そしてあなた方自身への誠意に対しての裏切りでなくて何だというのでしょうか。チャン・ウォニョンさんとした「約束」はそんなものでしたでしょうか。

ウィズワン、ご飯は食べましたか?

少し深呼吸をして、温かい食べ物を食べてください。暑いからと言って冷たいものばかりではお腹を壊しますから。

その後に、無理やりに蘇らされた、まるでゾンビのようなそのガールズグループが本当に「アイズワン」と呼べるのかどうか、じっくり考えて頂けたらと思います。

本題

余談が、ながくなった。

今世紀最大の美しさからなるOverture。差し込まれる懐かしい映像。既に我々は手に抱えきれないほどの思い出の花束を受け取って卒業コンサートは開幕した。

M1.桜、みんなで食べた

日が落ちようとする時間の開幕、しかしライジングサンめいた演出で登場した宮脇咲良さんが今日は楽しもうといった時、それが今日のスタートとなるのだ。

HKT48 の未来、矢吹奈子さんと田中美久さんを配し階段を下りていく。爽やかな中に確実な別離を予感させるギターのリフ……48Gの桜曲に外れなし。

個人的には宮脇さん左後ろの豊永さんが終始とても印象に残った。

友達甲斐ランキング一位独走中の村重さんによる「HKT48はさくらのことが大好き!」もばっちり決まり、最高の滑り出しとなった。

M2.君のことが好きやけん

師である指原莉乃さんが参加した「君のことが好きだから」のアレンジ版がHKT48が彼女の「ホーム」であることを強烈に想起させてくれる。「永遠の先」に向かおうとしている宮脇さんのエールのように響く歌詞がよい。

今回、配信にて視聴し、その分存分に声を出したが、この曲に関してはマリンメッセのスピーカー左右に振れるイントロをぜひ現場で聴いてみたかったな、と思う。

M3.初恋バタフライ

初のHKT48CD曲にして超新星田島芽瑠さんがセンターを飾り騒然となったことがもはや懐かしい。時を経て田島さん・宮脇さんの二人は中央でそれぞれの光を増幅しあうような最高のプリズムとしてこの曲を彩ってくれた。確かな成長を感じさせながら、それでいて透明感を失っていないのがHKT48の「らしさ」である。

M4.早送りカレンダー

前曲で大きく横一列に広がったメンバー。その両端がダブルセンターの矢吹さんと田中さんだ。その列をファンに挨拶しながら横断していく宮脇さんは、それを追いかけるカメラの向こうの我々に「この後ろの子たちから次の推しを見つけて」と言っているようで……。

曲のコミカルなキュートさに夢中になっているうちにいつしかフォーメーションが変わり、ダブルセンターが揃うのは構成の妙である。

M5.希望的リフレイン

王道AKB曲として筆者を再びAKB沼に引きずり込んだ名曲は今聞いても色あせない。次期センターの運上さんに渡辺麻友さんを幻視してしまったのは筆者だけだったろうか……。早速先日卒業された森保まどかさんを思い出して寂しくなってしまい、感情が忙しくもあった。

しかしここまで見てきてHKT48諸賢はぷく顔っていうのか、頬をちょっと膨らませる表情がみんなすごくかわいいですね。

M6.マンモス

もともとはチームK「最終ベルが鳴る」公演の曲。チームHも公演したことがあるが、その際は宮脇さんは参加していない(その後チームKⅣでの公演では出演者である)。

大好きだというこの曲に乗せるパフォーマンスはまさに二年半という別環境での「進化」を感じさせた王者の風格堂々のものだった。後ろの映像をそのままMVとして配信してほしい。

M7.夏の前

こちらはチームKⅣオリジナル曲。運上さんへのエース継承式の趣を出しながら、(ぐっと涙をこらえる運上さんにもらい泣きしそうになる)儚く優しい空気が前曲とのいい意味でのギャップを生み出してくれていた。心友本村碧唯さんのこぼれそうな笑顔。バラエティ担当を自負する村重さんの頼もしいボーカル。すべてが夏の前のサンチマンタリスムに溶け込んでいく。

M8.空耳ロック

HKT48の末っ子率の高い若きチームT。松岡はなさんの笑顔には何度も既に笑顔にさせられていたが、宮脇さんが完全に「素」でニヤニヤしてしまっており、その破壊力が我々だけではなく宮脇さんにもしっかり刺さっていたことが分かる。

PRODUCE48でも活躍した本日お誕生日の栗原紗英さんをはじめ、荒巻美咲さんや村川緋杏さんなど、宮脇さんだけでなく彼女たちにとってもあの経験から更に先に進んでいることが分かり、胸が熱くなる。しかし、今村さんめちゃくちゃ大きくなったな……。

M9.僕の想いがいつか虹になるまで

田中さん、松岡はなさんとのユニット「さくらはなみく」が誕生した時は普通にシングルカットでいいじゃん……と思ったほどの出来に驚いたのを覚えている。

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MVがめちゃくちゃ可愛いので観ましょう。

三人共実は心の中に悪がきを住まわせているので、そのやんちゃぶりが曲調とコラボレーションしたようで楽しい。

と、思いきや田中さん、松岡はなさんのコメントで泣かせてくる。

この最強ユニット結成後半年を待たずして宮脇さんはアイズワン入り、文字通り最初で最後の楽曲となったこの曲は錆付きを全く感じさせない。

早くもレジェンドの風格がある曲である。ぜひ歌い継いでほしい。

M10.夢を見ている間

見慣れたイヤモニ、マイクで歌われるこの曲に震えないウィズワンなどいるだろうか。

今を生きている」という歌詞が、重く重く響く。これこそが、同時代を生きるアイドルを推すということの真骨頂ではないか。常に最高を更新し続ける彼女たちが思い出を思い出にせず、今を生きる血肉として取り入れ、再びアイズワンの楽曲は大勢のファンの前で、サイリウムに照らされながら奏でられることを許されたのだ。これが幸福でなくて何だろうか。「感動をありがとう」という言葉はウィズワンたちこそ叫びたかったに違いない。

続いてのMCの本田仁美さんの登場、「咲良さん」が「さくちゃん」になったその尊さを感じながら、筆者の涙腺は刺激され続けるのだった。

しかし相変わらず秋元氏の歌詞の汎用性はすごい。

M11.制服のバンビ

リリースはなんと8年前、オリジナルメンバーは宮脇咲良さん、指原莉乃さん、兒玉遥さんということでサプライズオリメンを期待したがそうはならず。

フレッシュなメンバーが懸命に踊る様はあの頃の彼女たちを思い起こさせ、思わず後方孫自慢爺顔みたいになってしまう。

もはや歌詞の「先輩」の立ち位置になった宮脇さんがしっかり可愛いのはさすがだ。

M12.胡桃とダイアローグ

宮脇さんも一時兼務したAKB48teamA。48の嫡流、本家本元、本丸、ド王道である彼女たちのチームの色が濃く出ており、筆者も好きなこの曲。(MVで指原莉乃さんがリズムをとるところが当時の彼女のヘタレだった立ち位置と違い余りにも様になっていて目を奪われたのだが今探したら何故か公式から消えてしまっていた……。)マンネキャラより取り見取りといった感じのHKT48が衣装チェンジも相まって一気に大人びて見えるからやはり彼女たちもプロである。

宮脇さんの衣装はヘビーローテーションを意識させるが……?

M13.LOVETORIP

続いては「時をかける少女」の主題歌ともなったLOVETORIP。ある種浦島太郎となった宮脇さんの現況とも重なる曲がすっと出てくるのは楽曲の厚さとはやはり強みであるということがよくわかる。

「恋はいつか上書きされているもの だけど最初の切なさ覚えてる」

というのは初夏に聴くと一層染み入る名フレーズである。

M14.ジワるDAYS

指原莉乃さん総選挙一位の曲に続いては卒業ソング。これもまた今の宮脇さんをトレースしたかのような歌詞に驚かされる。

盟友・松岡菜摘さん(PRODUCE48での評価は本当に不当で気の毒)と本村碧唯さん。「君の瞳から涙が溢れたら……」という歌詞を一度は乗り越えたが、三人の涙の表面張力は二番で決壊してしまった。ちなみに筆者は冒頭のメッセージでとうに決壊していた。絶対駆けつけてくれそうなメンバーに歌わせるのはずるい。

「自分の夢をやっと見つけたんだろう?」

という言葉がこんなに似合うアイドルと、「勇気を出して踏み出すんだ」と背中を押してくれるアイドルがいることの幸福を噛み締めたい。

M15.サヨナラの意味

さすが指原莉乃さんの薫陶を受けた人のセットリスト、という感じで差し込まれる乃木坂46の曲。一期生、二期生が並び立ち、間奏でサプライズのエールが贈られる。もう、筆者(おっさん)はボロボロである。

そして宮脇咲良さんもとうとう、万感迫り、胸が詰まって歌うことが難しくなる場面もあった。

ああ、ここが彼女の「泣ける場所」なのだ、と思った。

同期や愛する後輩がいる、彼女の「ホーム」。

だからこそ、「サヨナラ」なのだ。

だからこそ、彼女は卒業をしたのだ、と腑に落ちた。

正直なところ、筆者も始め、卒業発表を予感はしていたけど「もう」か、という気持ちがあったことは否定できない。

彼女のことも、HKT48のことも好きだったから、「帰ってくる」というのは、シングルに一度くらい参加する、ということだと思っていた。

しかし考えれば彼女は、鹿児島から飛び出し、AKBを兼任し、そしてHKT48の大エースの安定をかなぐり捨ててまで異国の地に殴りこんだ凄まじい「アイドル運動量」を誇る人だ。

彼女は安定が自らのアーティストとしての何か大切な部分を丸くさせてしまうことを知っている。鈍くさせてしまうことを知っている。賢いがゆえに、彼女はそれを看過できない。

誰よりもその場所を愛するからこそ、しかし彼女が己をさらに高みに置こうと奮い立ち続ける限り、その場所に長居はできないのだ。

一流のアイドル、アーティストであるが故の宿命、業と言ってもいいそれをまざまざと見せつけられたようで筆者は感動しながらも背筋が寒くなる思いがした。

その嵐の航海の先に何があるのか。あるいは何もないのか。彼女の瞳には今何が映っているのか。果たして今後、彼女が錨を下ろす地は現れるのか。

筆者はただ、見守ることすらできない。それすら振り切られそうなスピードであるけれども。

M16.思い出のほとんど

公式親友(なお警備員さんに制止される模様)村重杏奈さん。しばしば、愛を持って村重と呼び捨てにされる彼女が完全に「あーにゃ」だったステージだった。……と思いきやつけまつげが外れてしまって宮脇さんに華麗にカバーされるというあたり期待を裏切らない。

もともとは前田敦子さんと高橋みなみさんのために作られたこの曲の重さに負けないしっかりとした友情をパフォーマンスでも村重さんの言葉でも見せつけてくれた。

M17.夕陽を見ているか?

いや円陣はずるいよ……。

当初はHKT48はなかなか卒業しない、という空気があったがいつしか、一期生はずいぶん少なくなった。当時末っ子グループだった彼女たちも十年の時を経て、みんな本当に素敵なお姉さんになった。そんな彼女たちが当時のように肩を寄せ合って円陣なんて知ったら泣くに決まっているのである。完全にEDの曲をこんなタイミングで大丈夫……? と思ってハッとして窓を開ければ梅雨の合間の晴れた空に夕日は今まさに沈まんとしており、これまた指原チルドレン恐るべしと震えるのであった。

M18.彼女

Oh……ジスイズジャパニーズアイドル……という宮脇さんの「持ち歌」可愛らしさを損なうことなく、ステージを大きく使ったパフォーマンス、安定した歌唱などこれまた成長をビシビシ感じさせてくれる。ベレー帽似合い過ぎです。キメ顔も完璧でした。

M19.夢でkiss me!

完全にザ・ベストテンでした。現地オタク諸賢がセリフで悶死してしまい、宮脇さんが一躍史上最大のテロリストにならないかどうかハラハラしてしまったが大丈夫だったようである。

「今はダメ」のところの視線移動、宮脇咲良さんの十八番だなと感じる。(霊体で話しながら)

M20.スキ!スキ!スキップ!

これまた懐かしいHKT48メジャーデビュー曲。当時のまま、センター横でしかし抜群の存在力を発揮していた。めちゃくちゃ活きのいい声で歌っていたのが誰なのか気になる。

しかし散々思わされているがこういう曲でしっかり可愛いのは恐ろしい。

M21.しぇからしか!

松岡はなちゃんのスマイルと叫びにはクールビューティ宮脇モードであってもガード無効貫通効果を発揮することが再び確認されていて良かった。

マンモスの時もそうだが今回も曲に合わせてシリアスな顔の田島さんにドキリとさせられる。憑依型の彼女をもっと移してほしかった……。

M22.ウィンクは3回


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これもMVが最高なので是非機会があればFull版を視聴していただきたい。

服装も相まって矢吹・300点・奈子の再来を見ているようで心が躍った。

しっかりと「ウィンクが出来ません」というポジションを死守する宮脇咲良さん……これが「達人」である

M23.メロンジュース

井上ヨシマサ氏が一グループに一曲はそっと置いていくという神曲、それがHKT48の場合はメロンジュースであった。博多座の折に自分も緑のサイリウムの一員となったことが懐かしく思い出される。

宮脇さん自身も最高にハイ!ってやつになって田島さんとの連携がぐだぐだになってしまったのは残念だが、やはりマスターピースであった。

会場、叫びたかったろうに……。

M24.大人列車

 

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 もう、イントロで泣いた。

「知っていた」のである。大人列車に兒玉遥さんがいないと始まらないということを。

久しぶりの彼女はほっそりとして、でもやつれているのではなく健康的な美しさに思えた。

その動きはついさっきまで公演をしていたかのようで、それまでの空白を全て吹き飛ばして再び「はるっぴ」として彼女はその空間に君臨していた。

彼女を迎えるのは松岡菜摘さんと宮脇咲良さん。

はるなつコンビ、はるさくコンビ。もう見られないと思っていたその姿が、グレードアップして眼にある。

またしても歌詞がシンクロする。

「若さとは不器用でやり残すもの」

……来月、はるっぴ卒コンやりませんか?

M25.12秒

矢吹奈子さん考案の「よっ」が響く中、後光を背負って降臨するのはHKTのゴッドマザー、指原莉乃さんである。迎えに行くのは宮脇咲良さんと兒玉遥さん。指原莉乃さん卒コン時に誰もが望みながらも叶わなかった光景がついに果たされたのである。

指原さんの涙をこらえる姿、最後のカウントアップで決壊しつつある様にまたももらい泣きである。

その後の宮脇さんの二人への言葉に成仏したオタク諸賢も少なくなかったのではないだろうか。

M26.最高かよ

最高だよ……。

しかしこんな曲が眼前で展開されて声を上げることが出来ないなんて最高の環境が一転地獄の具現となり、現地組はさぞつらかったことと思われる(防振マット完備で堪能しながら)

やっぱ指原さんのオタクを見つけてびしっと指さすしぐさ、めちゃくちゃ最高だな……。

本編を跳ね回る曲で締め、涙も吹っ飛ばした……かに見えた宮脇さんの目はしっかり充血しており、またも筆者の涙を誘うのだった。

EN1.あなたがいてくれたから

本当に美しいものをというのは不思議なもので、人から語彙を吸い取ってしまう。

天使が降りてきたのかと思った。

十年間。一口に言っても余りにも沢山のことがあったことをVTRで語られた後、我々の前に現れた彼女はそのVTRのどの瞬間よりも美しかった。

その少女としての時間を全てHKT48に捧げた彼女が「大人になれたでしょうか」と涙ぐみながら歌う姿は、万感という言葉がぴったりだ。

スローガンとペンライトの海が、そんな彼女を優しく包む。

ずっとこんな景色が見たかったんだもんな……。

コロナ禍でさえなければその光の一筋になっていたかもしれない悔しさと、この時期でありながら彼女にその景色を見せてくれたオタク諸賢への誇らしさが入り混じった。

その後紡がれる言葉は、かつてHKT48 在籍時の総選挙のスピーチを見事に乗り越えた見事なものだった。

筆者の付け加える言葉は何一つない。

mdpr.jp

無冠の帝王とも言うべきその覇道はしかし、いつもオタク諸賢の祝福に満ちていた。これからもきっとそうであろう。

EN2.思い出にするにはまだ早すぎる


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即Full解禁&サブスク配信という運営の快挙にまず拍手を送りたい。

これまた筆者の言葉は全て蛇足にすぎ、上記を参照してほしい……と締めたいところだが、しかし直筆でつづられる歌詞、汎用性がありながらしかしそこここにどうしようもなく「宮脇咲良」を感じるその詞世界は秋元氏の意地を見せてもらった気持ちだった。

一期生、二期生……と彼女のもとに集うメンバーを見て、かつて筆者が見たHKT48という若芽は宮脇咲良という人が中心となって愛情を注ぎ続け、素晴らしい人材がその年輪となり、いつしか大樹となって豊かな実りを迎えていることを改めて感じ、その歳月の密度とこれからの可能性に脅威と希望を見た。

EN3.君はメロディー

「君はメロディー」がこんなにも卒業曲として破壊力を持っているとは……。もはや涙をぬぐうこともなく歌うメンバーたちの姿……と打鍵する筆者の指もまたぽたぽたと落ちる雫が煩わしい。

特にずっとにこにこだった松岡はなさんの号泣には思わず駆けだしたくなってしまった。

宮脇咲良というアイドルはサビだけでなくイントロもそしてこの後のアウトロも、多くの人に記憶されるだろうという確信を持ちながらも、しかし彼女の輝かしいアイドル人生の一つの「サビ」に今日の日の出来事は記録されるだろうと思った。

EN4.桜、みんなで食べた

残念ながら永遠に続いてほしい時間も終わりがくる。まるで宮脇さん自身もそれを拒むかのように、最初と最後の曲を同じ曲にして、円環にするかのような……。

恐ろしいのはこの三時間ほどの間にも彼女はさらに表現力を上げているように見えるところであるが。

「今日はいい天気だから余計に切なくなるんだ」

梅雨のど真ん中の開催でありながら晴れを引き当てたのすら、彼女の計算であるように思えてしまう。

再びの彼女の感謝の後、桜色の祝砲が弾ける。

桜が舞い、散り落ちていく。メンバーのもとに、オタク諸賢のもとに。まるで涙を、悲しみのリーズンを拭い去ろうとしているかのように……。

そうして彼女は我々の心のブーケに最後の一花を挿してしばしのお別れをしたのだった。

桜の花言葉

ソメイヨシノは「純潔」。

しだれ桜は「優美」

八重桜は「しとやか」

英語ではmoral beauty(精神美)。

なるほどどれも彼女を想起させる言葉ではある。

でもここで、コンサートタイトルのbouquet(ブーケ)が効いてくるのではないかと筆者は考える。

bouquetはフランス語であるというので、フランスの桜の花言葉を引いてみる。

 

Nem’oubliez pas」

 

和訳すると――

 

――私を忘れないで。

 

忘れられるわけがないではないか。

 

十年間お疲れさまでした。少しでもゆっくり休めますように。

また会えることを楽しみにしています。

 

 

43rd Single「君はメロディー Type C」初回限定盤

飯沼アントニー君のセブンティーンを新グループで祝いたい―PRODUCE101JAPANシーズン2走り書き

余談

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 二年前、筆者は「推し」をデビューさせることが出来なかった。

そのショックたるや、結局今に至るまで前シーズンの総括を書けていないほどである。

それでも、彼は自らの力で再び現れてくれた。

最高だった。これが今のエンターテインメントだという幸福がずっと続く。ハッピーの擬人化のようなヒコにぴったりの曲だった。もし、噂されている次のシーズンがあるとしたらぜひ振付師としても参加してほしい。
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本題

gyao.yahoo.co.jp

飯沼アントニー君に投票してください!!!!!

終わり、としたいところだが、しかしなぜ筆者がそういった結論に至ったのか。

それをつらつら述べるには筆者の人生は些か短すぎ、時間も差し迫っていることもありかいつまんで書かせていただく。

PRODUCEシリーズ。グループアイドルとしてデビューできるそのメンバーを、一般人が投票で決めることの出来る残酷な、余りにも残酷な、それ故に眩い、劇薬のようなサバイバル番組。

6/13日14:00よりそのデビューメンバーが生放送で発表される。

そして番組中には最後の投票時間が設けられ、その投票までをもってメンバーは決定するのである。

この現代に蘇ったコロシアム的なイベントに今これをご一読いただいているあなたもまだ、参加いただけるということだ。一緒に共犯者になろう。地獄の業火に焼かれながら、天国の門を推しのために開こうではないか。


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飯沼アントニー君は16歳。年相応の幼さの残る風貌とそのパフォーマンスのギャップで当初から話題を集めており、危なげなくデビュー順位を保っていた。


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ダンス、歌唱力共に高いところで安定しながらも、飯沼アントニー流としか言いようのないアレンジ、「クセ」を織り交ぜており、それはグループアイドルとしてグループ全体を支えながらも、しかし埋もれない素晴らしい特質だ。

そんな彼はしかし、今15位である。デビューできるのは11位まで。

なにしろ最終候補の21名の皆は「もうみんなでデビューしようや」と言いたくなるくらい粒ぞろいでありながら1人にしか投票することが出来ない。その中で彼は苦戦している。

何故か。様々あるだろうが、一例として、今回平均年齢は、割と高めである。ラストチャンスと本人やファンダムが感じている可能性がある候補生諸賢も多い。筆者ももちろん、一視聴者として彼らのそのひたむきさに大きく心を揺り動かされてきた。

だから、「アントニー君には次があるから」と人々は言う。まだ若いから、と。

一理ある、とも思う。鶏口となるも牛後となるなかれの言葉通り、次の機会を待ち、あるいはソロデビューなどを狙ったほうがいいのでは……? と。

でも筆者は、自らの一推しを思い出す。チャン・ウォニョンさんを。

 

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 そして先日、ついにライトサムとしてデビューを果たしたキム・ナヨンさんを思い出す。

コロナ禍であることも手伝って、沢山のグループがデビューの順番待ちの状態だ。

人の美しさは蝶の標本のように留めておくことはできない。何故なら人の美しさというものは成長していくことそのものであるからだ。

ウォニョンさんは既に完成していると思っていたその仕上がりが、置かれた場所で更に花開くことでかくも素晴らしいものになることを教えてくれた。

ナヨンさんは我々のもとへ再び現れるまでの錬磨の大切さと、同時に彼女ほどの実力者であっても天の時を得るまでに長い苦難があることを教えてくれた。

だから、飯沼アントニーなのである。

まだまだ変化する、進化する、昇華する、彼の成長を新しいグループでリアルタイムに追いかけていたい。慣れ親しんだメンバーたちに古よりのアイドルフィーバータイム「17(セブンティーン)」を祝ってほしい。

よろしくお願いします。