余談
お兄ちゃんが欲しかった。
3人兄弟の長男である筆者は2人の弟が大好きであるし、その兄であることを誇りに思っているが、その思いはかれこれ30年近く持ち続けていた。
だから隣の家の年上の幼なじみにはよく懐いたし、長じて大学へ進学してからも、今の筆者の一部を形成したとして差し支えない、このブログにもたびたび登場するS先輩には非常にお世話になった。
社会人になり、転職をした先に「兄貴分」はいなかった。(ボスという頼もしい親分はいる)マイペースな長男ぶりを発揮してはいたものの、業務においても背中を見せてくれる兄貴がいたらどれほど頼もしいことだったろう。しかし中小企業であり本来余剰の部署の責任者である筆者にとって、そのポストに感謝こそすれ更に上役を置いてくれとはとても言えないのだった。
電脳世界において。「平成生まれがインターネットをしている」ということ自体が珍しかったころから入り浸っている筆者はお兄様、お姉さま方と沢山の交流をさせていただいたが、いつしか筆者も年を取り年上サイドに回ることが多くなっていた。
少し時を戻す。先日触れたかずひろさんのスペースが立ち上がっていた。立ち上がるやすぐにリスナーの入室がある人気スペースだ。既にスピーカーも登壇している場合、内容によってはネタバレを避けるため拝聴を避けたり、また聴くにとどめてスピーカーに上がらないこともある。
案の定、今日もすでに誰か登壇しているようでかずひろさんの笑い声が入室後すぐ聴こえた。
スピーカーのアイコンも目に入るとそのまま、筆者は躊躇なくスピーカーを申請し、かずひろさんが「お、木本さんも来てくれましたよ」と温かく迎えてくれる。
いつものように筆者は挨拶をする。
「こんばんは、かずひろさん、Ryo兄さん~」
筆者は念願の兄を得ていたのである。
Ryo兄さんとはなんと少なくとも6年、交流をさせていただいている。兄さんの優しい語り口のブログは鋭い批評も優しく包んでいて、ブログを読みに来た「お客さん」に出来るだけ気持ちよく帰ってほしい、という兄さんの人柄が滲み出ていて、今日はちょっとしんどいな……というときも、兄さんのブログは不思議と読めたものだ。
とはいえやはり距離をぐっと縮めてくれたのは「スペース」であろう。かずひろさんのおかげで「自分がインターネットに声を晒す」ことの抵抗が薄れた筆者は積極的に参加するようになっていたが、やはり参加者はかずひろさんの世代が中心となる。筆者も特撮を愛する人間とはいえ、どうしても「リアタイの熱量」は他で代替が出来ず、かずひろさん世代が世代トークで大いに盛り上がっているときには「自分は世代交代でよろしくやっている部活に絡んでくるうざいOBみたいになっていないだろうか……」という不安がつきものになってしまう。
しかし兄さんがいることで現在に続く特に円谷特撮周りへの造詣の深さに他参加者諸賢が感心している隙に、「木本もいま~す(ドキンちゃんもいま~す)」という形で参加することが出来たのである。具体的に言えば兄さんが当時からのファンならではの知識を披露しているときに「その頃は○○もありましたよねえ」と当時を生きていれば誰でも言えるようなことを挟み込むという姑息な戦法を用いていた。ねづっちがシャープな謎かけを披露した後に「大したもんです」とだけ言う元相方のようなものである。
実際、同世代トークはリプライの応酬でも楽しいが音声でするともっと楽しかった。インターネットは普及していなかったけど、それぞれの地域で似たようなことが起こっていたことが興味深かったし、逆に地域独自の解釈が出来上がっていたことも面白かった。
特に「電光超人グリッドマン」は鹿児島ではネットされず、テレビマガジンやてれびくんでスチール写真を見るだけの「憧れのヒーロー」であったのが、兄さんの話を聞くことでまるで自分の中にも昔からいた思い出のヒーローのように思えたのは愉快だった。
また、ちょうどYouTubeで公式が毎週配信してくれていたこともあり、スペースで今見た筆者の感想と当時見ていた兄さんの感想が交錯するのはコンテンツを通した交流の醍醐味だと思ったものだ。
そんな兄さんが立ち上げた企画「あなたとトクサツ」に一番乗りをあげたのはささやかな感謝の形からであったが、2021年がガンダム00の年だったとすれば2022年は「あなたとトクサツ」の年だといってもいいほどのムーブメントになったのは企画に参加させていただいた時の兄さんの話の振り方、転がし方、拾い方の心地よさ、ツボの突きぶりを考えれば少しも不思議なことではない。
第20回という節目を迎え、年末とキリがよかったこともあり落ち着いているが企画自体は生きているのでこのブログを読みながら兄さんのブログはとんと知らなかった、という奇特な方がいらしたら是非参加してみてはいかがだろうか。
この年には兄さんのブログ名の由来でもありずっと気になっていた「ウルトラマンジード」も鑑賞。見たタイミングも相まって自分にとっても非常に大切な作品になった。
筆者が兄さんのブログで何か一つだけ記事を、と言われたらこの記事を選ぶだろう。父親歴半年の筆者にとってレイトはまぶしい父親であったし、兄さんもまた「ウルトラな父」であった。
この年封切られたシン・ウルトラマンを半ば無理やり鑑賞したのも、兄さんと感想を語り合いたい、という気持ちが原動力の一つであった。
その甲斐あって? 「親父」結騎了さん、「兄貴」Ryoさんとともにはてなブログ公式に取り上げられたのは筆者のブログ人生の中に太字で記される事件だった。
また、兄さんファンとして声を大にして言っておきたいが、もちろん特撮、とくにウルトラマンについての熱量や理想的な父親ぶりからそちらの方に目がいってしまいがちだけれども、フジファブリックを愛し、寅さんを愛するブロガーでもあるのである。
筆者にとっても大切なバンドであるフジファブリックは来年3月をもって活動を休止することが発表されている。いつの間にか「若者のすべて」がドメジャー曲になって久しいが、筆者はとてもポジティブな意味で変なバンドだと思っていて、皆もっと「surferking」も聴いてくれ、と思っているし、もっと内に内に入る、「バウムクーヘン」の良さは兄さんの記事を読んでしみじみわかって今まで以上に好きになったのである。
(ついでに筆者が別ブログで活動休止の際走り書いたものも置いておく)
最近衛星放送で定期的に寅さんをやっているのを見かけるたびに、「兄さんに寅さんシリーズ再履修マラソンをしてそれを記事にしてもらいたい……」という欲望が宿る。マドンナを言えば舞台が出てくるし、舞台を言えばマドンナが出てくるというのを若い子たちは「昭和生まれってすげえや!」みたいなリアクションをしてましたがそうじゃなくて兄さんがすごいんですよ!
そういう形で兄さんと慕う筆者であるが、まだ直接お目にかかったことはない。今年の初めに関西に行くときはあわよくば……とも思ったがお互い家庭もありなかなか難しい。しかしいつかはお会いし、握手をしてありがとうと言いたい。あわよくば息子ちん君にソフビを買い与えたい。間違いなく今生きていることのモチベーションの一つである。
本題
余談が、ながくなった。
兄さんのブログの中でも大きな柱、金字塔と言ってもよいそれは「息子ちん」君シリーズだろう。およそ7年にわたる彼の成長の軌跡を、我々はそれにかかる艱難辛苦や時間、金銭のコストを支払うことなく、「トロ」の部分のみ見せてもらっている。
なので今回タイトルで、小4! 小4かァ~~と改めて感慨にふけってしまった。
もちろん筆者は「ポケカ」でみらいのチャンピオン! として兄さんと家で楽しむ息子ちん君も、初めての公式大会も、悔しい敗北やそれを糧にした成長、マンガのやられ役みたいなことを言うちびっ子をフラグ通りなぎ倒すところも見てきたので、前回、新たに生まれた「ウルトラマンカードゲーム」の大会でみらいどころかこの時代のチャンピオンの座に就いた彼を兄さんの記事で観た時は感慨もひとしおであった。大沢たかお将軍のように腕組みにんまり面していたであろうし、「コココ……童息子ちん君、勝って兜の緒を締めよ、ですよ」くらいのことは言っていたかもしれない。
なんとその息子ちん君が再び勝利を収めたという。
こうなると主人公というかラスボスルートの方に入ってしまったのではないかと思ってしまうほどだ。
1回戦……の前に前回は抽選の為出場できない0回戦敗北となってしまった兄さん。今回は先着順というルールチェンジの為、急遽ダッシュすることに。もう兄さんより早い息子ちん君というところでも成長を感じさせる。筆者も家から会社へ自家用車でのドアtoドアなので急に走ると大変なことになるだろうな……。
辛くも0回戦を突破した兄さんだが予選、決勝ともに息子ちん君に敗北を喫する。やっぱり息子ちん君ってRyo兄さん物語ウルトラマンカードゲーム編のラスボスなんじゃ……。
そのまま優勝し、無事お目当てのカードを手にする息子ちん君。「大会優勝者に贈られるカード」というと筆者はどうしても世代なので幻の「カオス・ソルジャー」を思い浮かべてしまうのだが、毎月更新とはなんと業の深いことか……果たして来月はどうなっているのか、目が離せない。
兄さんの当日のカードレシピも公開するという大盤振る舞いぶりである。これでなるほど……ふーむとなれるほどウルトラマンカードゲームに通じていないのがくやしい。周りに……プレイしてくれる友達がいなくて……。そう考えると息子ちん君≒チャンピオン≒ラスボスはもちろん彼の熱意、構築力、頭脳、運によって勝利をつかんだことに間違いはないが、兄さんという最高のスパーリングパートナーがいたからこそ栄冠が輝いたともいえるだろう。気づいているか……? 最大のライバルがすぐそばにいることに……!
自分の子とこういう知的なゲームを本気で出来るようになるっていつだろうなあ……と考える。今の娘の遊びはボール遊び、お絵かき、あとは筆者がゲームをしていると横で見学をするし、マリオなどはちょっとプレイもしてみたことがあるが、いわゆる非電源系ゲームはまだやったことがない。じゃんけんの勝ち負けもまだよくわかってないっぽいのである。
親父と初めて将棋をしたのがそういえば小3とか小4だったような気がする。軽い気持ちで将棋やってみたい、と言ったら盤と駒を買ってきて、マンガの入門書も買ってくれて……もしかしたら親父、結構嬉しかったのかもしれないな。いや、多分嬉しかったな、あれは。結局親父に勝てなくて、四半世紀近くやってないけどあの時何となく覚えてたおかげで「3月のライオン」を楽しく読んでいるし、「棋士藤井聡太の将棋トレーニング」も楽しく遊んだ。今度娘とやってみようかな、将棋トレーニング。
(この当時の筆者と親父の距離感過ぎてビビったオモコロ漫画。兄さんと息子ちん君はこういうことなさそうでいいなあ)
親子の形というのはそれぞれ違うし、男の子と女の子でも違うだろう。かつてバンナムの株主資料には「女の子は男の子より現実に目覚めるのが早い」という記載があったという。現実ってなんだ!?
しかし、この日本の関西のあたりに、休日を丸々つぶして我が子と、そして自分の野望のために全力でぶつかり、楽しみ、帰りは手を繋いで帰る親子が実在すると考えると、これからの子育てへのモチベーションが無限に上がっていくことを感じるのである。
息子ちん君も成長していくにつれ、ブログへの登場の仕方というのがだんだん難しくなっていくのかもしれないし、もちろん兄さんにはご自身のご家庭のことを第一に考えて欲しいけれど、出来るだけ長く彼の成長する姿を見ていたいな、と思うし、普通のお子さんよりずっとたくさんの人から大きな愛で見守ってもらっている彼が少しうらやましくなる時もある。

