カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

咲良の下には魅力が埋まっている


【MV full】NO WAY MAN / AKB48[公式]

AKB48の最新シングル「NO WAY MAN」のMVが公開された。センターは宮脇咲良さん。他にもPRODUCE48組が多数選抜された。特に下尾みうさんは事ここに至って手あかのついた表現を使ってしまえば完全に「覚醒」したと思う。


【MV full】 UZA -Dance ver.- / AKB48[公式]

今回センターを務める宮脇さんが初めてシングルメンバーに選抜されたのは6年前。14歳であった。つまりはPRODUCE48で1位となり、IZONEでセンターを務めるチャン・ウォニョンさんと同い年の時だと考えるとなんだか不思議な符号を感じてしまう。

当時UZAは今までのAKBの曲で最高難度だと言われた。その末席で踊る宮脇さんは、素人目にも他のメンバーと比べると動きにぎこちなさがあった。しかし、数少ない姿が映るシーンではその眼が闘志に燃えていることを誰もが感じたはずである。

その闘志は燃え続け、最高難度が更新された最新曲で単独センターをもぎ取った。ここに6年間の1つのストーリーが結実したように思うが、文字通りの「俺より強いやつに会いに行く」理論で2年半の間AKBグループから離れIZONEとして活動するというのだから恐れ入る。


IZ * ONE(アイズ・ワン)コンセプト・トレーラー:あなたの色は何ですか?


IZ * ONE(アイズワン) - 「ラビアンローズ(La Vie en Rose)」MV Teaser 2

あぁ~~可愛いんじゃあ~~。

 

筆者が初めて宮脇さんを知ったのは2012年の2月。当時大人気であったSKE48(当時)松井玲奈さんが主宰する「メロンパン同盟」に加盟しようとする…というアクションが発端であった。当時の筆者は卒業を目前にしながら自動車学校を未だに卒業できておらず、自動車免許が取得できずに内定取り消しになったらどうしよう…と怯えながらAKBグループではSKEを特に贔屓にしていた。当時は大名曲である「片思いファイナリー」がリリースされた時期であり、世界征服女子という冠番組をやっていたりして追いかけるのがとても楽しい時期であった。そのような筆者にとって、「メロンパン同盟」という聖域に踏み込んできたような宮脇さんの行動は正直なところあまり好ましいものではなかった。半年ほど前にデビューしたばかり。知名度を上げるためになりふり構わず人気メンバーの懐に飛び込んできたのでは……? と穿った目で見られずにはいられなかった。SKEファン諸賢は団結力が強い一方で過激派も目立ち、「ビジネスメロンパン」というパワーワードが創出されたりした。この騒動は松井玲奈さん自身がブログを書き記すことにより収束するのだが、(実際はコンサート会場で松井玲奈さんの方から声をかけていたのである)筆者が苦手な「グイグイ系アイドル」だな……という印象は色濃く残った。年若さに比べ「プロ」と若干の揶揄を込めながら称される達者なふるまいも無理をしているように思えてしまっていた。

 

が、その翌月印象は大きく変わることになる。

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AKBグループ以外誰が使っているんだ? と思っていたらやっぱりほとんど誰も使っていなかったようでサービスが終了する「ぐぐたす」こと「Google+」で宮脇さんが投稿した上記の文章は筆者を、そして多くの人の心を打った。秋元康プロデューサーや週刊誌も同様であった。そういうことなのか、とその時筆者は腑に落ちた。彼女は沢山の人に沢山のものを届けたいのだ。その為にはなりふり構わずともガンガン前に進まねばならないだ。勿論その文章の上質さにも感嘆した。

 

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そして4月、「バック・トゥザ・サクラー!」に至ってその構成力と自己プロモーション能力に筆者は完全に打ちのめされ、気になるメンバーとなっていったのだった。

 

しかし社会人になり、可処分時間が減り、AKB関連割くリソースもなくなってしまっていた。この間も宮脇さんは総選挙ランクイン、そしてUZAの選抜抜擢と階段を駆け上がっていった。翌年は総選挙ではアンダーガールズ入り、翌翌年は選抜入りし、「希望的リフレイン」ではダブルセンターへと抜擢され、妖怪ウォッチとのコラボも果たした。


【MV full】 希望的リフレイン / AKB48[公式]


ニャーKB with ツチノコパンダ / アイドルはウーニャニャの件

当時彼女であった妻がアイドル好きであったこともあり、また仕事も幾らか慣れてきて、少しずつそういった情報を取り入れられるようにはなってきていた。

そして2015年。筆者は現妻と同棲することになり、宮脇さんは写真集を上梓した。いつの間にか宮脇さんはショートカットの良く似合うお嬢さんになっていた。鹿児島への凱旋握手会が開かれるということで、筆者は現妻を刺客に放った。信じて送り出した現妻は無事メロメロにされて帰ってきた。数々のアイドルを愛でて来た彼女をここまでにする……改めて筆者は宮脇さんは「本物」であることを感じた。「HKT48のおでかけ!」を録画するためにHDDを購入したりもし、仕事で精神が加速したためカッとなって夫婦二人で博多座に観劇に行って感激した。

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【MV full】12秒 / HKT48[公式]

38秒~の宮脇さんの目線の使い方がたまらない。博多座でコールできたのは思い出である。勿論アリスの格好の田中さんもカワイイである。

この時総選挙で宮脇さんは「AKBを壊したい」と宣言していた。(ちなみにこの年から筆者は宮脇さんに毎年1票ずつ投票している)勇み足ではないか、と思ったし、実際批判的な意見が出たけれども、もしこのムーブメントに同調する意見が多ければ、例えばPRODUCE48のような「グループの殻を破る」ことがもっと早く出来て、AKBグループも今よりもっと活気があったのかな、と今になって思う。

更に翌年には「君はメロディー」で単独センターを務め(といってもMVはレジェンドが多数参戦し、食われてしまった感があったが)、主演ドラマも多数。総選挙では「神7」入りも果たした。


【MV full】 君はメロディー / AKB48[公式]

そして今年、総選挙では3位、PRODUCE48では2位(日本人1位)となった。

彼女の来し方を見て思うのはそのパッケージングの上手さ、それを切り替える躊躇のなさっぷりのすさまじさである。始めに彼女は子役の経験を生かしたものかどうか、「子どもらしい子ども」としてAKBグループファン諸賢の前に現れた。「子どもらしい子どもと振る舞っているのが見え隠れしてしまう子ども」というところまでが本人が想定していたパッケージングかどうかは判らないが、(ちなみにこの時期、バラエティで足つぼをされているフリを完ぺきにこなして同期を疑心暗鬼に陥らせ涙させたりしている)それにより一定の支持を得た。が、ある時バッサリとショートカットにして、幼くして人気を得たメンバーの宿命ともいえる「成長することにより人気が減少する」という試練を「さくらたんが咲良さんに覚醒した」というストーリーへスイッチすることによって見事にかわして見せた。「ファンへしっかりとした文章で思いを伝える才女」という一面を大切にしつつ、「びっくりするくらい珍妙なフォームで運動音痴」であることも崩さない。MVの撮影であっても、今後を左右する曲選択のためのレースでもぶれずに珍妙なフォームである。絵に描いたような清純で現れるかと思えば育児放棄したヤンママみたいな格好も妙にしっくりくる。テレビゲームはダーティプレイも辞さない姿勢で勝ちにいくくらい熱心だし、オフの時はビックリするくらいオフだ。そしてここまで登りつめる恐ろしいほどの野心がありながら、醸し出す雰囲気はあくまでも謙虚である。そしてそれらすべてが与えられた書き割りのような背景ではなく宮脇さん自身がPRODUCEしたものである、ということに若干20歳の恐ろしさがあり、魅力がある。

izone chu!の1話を見た。Mnetの接続が不調になるほどの盛況ぶりであったが、そこで展開される宮脇さんの姿は日本での番組とはまた違うもので新鮮であり、「まだこういう切り口も用意しているのか」とその引き出しの多さに打ち震えた。深夜にだらしない格好でラーミョンをすする宮脇さんが見られるのはizone chu!だけ!冒頭のウォニョンさんもかわいい。なんだそのTシャツ。韓国メンバーとの細かなやり取りが気になるので日本語字幕版が待たれるところである。


IZ * ONE CHU [1回]「豚よ」はないよ、「よね」です!(feat。クラモクバン)181025 EP.1

今後もますます魅力ある姿が見られそうで楽しみであるし、最近興味を持った読者諸賢においては是非今回貼った動画他を参照して過去の宮脇さんの魅力を掘り起こしていただきたいと思う。