カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

帰り道は遠回りをしてきてほしかった――IZ*ONE(アイズワン)活動終了の日に贈る言葉。

余談

祝日の朝、あえていつものアラームをセットしたままで起き、寝ぼけまなこでスマホを開いて今日が休みであることを確認し、ゆるやかに二度寝に移行するのは、およそ最高の贅沢である。

が、今日は気分が重かった。昨日から久しぶりに日をまたいで降り続けている雨のせいもあろう。

しかしやはりIZ*ONE(アイズワン)活動終了という事実がそうさせていることは否めなかった。

筆者がすきな漫画の一つに「べしゃり暮らし」がある。

その中で一つの漫才コンビが解散する。その時所属の社長がぽつりと言う。

「こうやって『これで終わり』って舞台を迎えられるコンビってどれだけいるのかしら」

そのコンビは全盛期を過ぎ、というかほぼ片方のソロ活動のみでもう片方はすでに事務所も辞めており、観客からの「ええーっ」もまばらだ。

それでも登場人物たちの評価は、彼らは幸せなコンビだ、というものだった。筆者もそう思った。区切りがあるこそ、人は前に進むことが出来る。進みやすくなる。

対して、結局のところ、四月のアイズワンの活動は残念ながら、「消化試合」という言葉がちらつくような日々だった。定期的な供給はあるが、何かしらの「区切り」はついぞ設けられることはなかった。まさか本当に日本ラストコンサートをやらないとは……。ec1ご機嫌サヨナラ、ec2ネッコヤ(私のものよ)で号泣する準備はできていたのであるが。

とはいえ実際問題、ことk-popの世界において明確な「区切り」が用意されることはごくごくまれである、ということも、この二年半の間におぼろげながらわかっては来ている。契約更新しませんでした、で終わり、人気があるのに放置、初回が売れなかったのでカムバックなしでそのままフェードアウト……。

比べればアイズワンは「マシ」であるのは間違いないだろう。

けれど大人たちの悪だくみに巻き込まれた彼女たちのフィナーレはやはり「マシ」なんかではなくて今後語り継がれるような素晴らしいものにCJの総力を挙げてぶち上げてほしかった、という気持ちもある。というかそれこそが、CJへの不信感を払拭する手段の一つでもなかったか。

豪奢なMVや回顧ムービーの一つでも作ってくれると思ったが、クォン・ウンビさんやチェ・イェナさん、そして他メンバーの、若き女性たちのやさしさに大企業が胡坐をかいてもたれかかっているような「供給」はつらい部分もあった。

かといっていわゆる「連合」の動きも筆者は手放しで容認はできない。4月頭以降の彼らについては視界に入るのも避けるようにしているので現状が劇的に転換していたらどうぞご容赦願いたいが、彼らの動きはアイズワン諸賢をかえって束縛しているようにも思え、そのふるまいはもしアイズワン諸賢が彼らの意に添わぬ発言や行動をしたら一転激烈なアンチに転じてしまうのではないかという恐怖心が筆者の中にはある。彼らの標榜するロゴマークについて、筆者は「平行宇宙」のMVに対してと同じタイプの醜悪さを感じた。

内外様々な不満は、この辺りにしておく。

心配なのは、ウィズワン諸賢、とりわけ年若き方々である。初めてアイドルを推し、そして初めてその活動終了に立ち会うという方も多かろう。どうぞご自愛ください。

ウィズワン、ご飯は食べましたか?

今まで彼女たちが事あるごとにそう聞いてくれた。今朝からは、それがない。それでもあなたはご飯を食べましょう。食べることは、生きることです。生きることは、再び今以上の輝きをもってあなたの前に現れるであろう、彼女たちへと出会うための道を歩き続けることです。

そして、これも書いておきますが、彼女たち以外の輝くなにかに出会うための燃料補給でもあります。

「アイズワンが活動終了するのに他の何かに心を動かされている」

そのことに葛藤する必要は全くありません。

あなたはウィズワンである前に一人の人間なのです。あなたにはあなたの人生があり、大切なものがあり、その心の宝石箱の容量も、しまうものも、それぞれに違います。

二十年以上オタクをやっている人間からすれば、むしろ宝石箱にはたくさんのものをしまっておいた方がいいと思います。

例えば昨日、最後のプラメを読みたくなくて、モンハンをし、FGOとツイステを回し、今朝、とうとう読んで涙しながらも、ヒプマイのVRチケットの手配をする筆者のように。

「推し」が多いということは、心の避難所が多いということです。しばしば、特に若く感受性がみずみずしく潔癖であるときは、「〇〇しか」という思考に陥りがちですが、それは美しく、しかし自らをも傷つけてしまう修羅のオタク道でもあります。

「他の何かを楽しむ」ということそのものが、あなたがアイズワンの活動終了を悼み、その心の隙間を埋めようとするアイズワン愛由来の行動であるとしたら少しはその罪悪感が薄まるでしょうか。そうであれば、そう考えてもらえたらと思います。

人生はクローズアップで見ると悲劇ですが、ロングショットで見ると喜劇であると言います。あなたにとってそうでありますように。

本題

余談が、ながくなった。

チャン・ウォニョンさんへ

初めPRODUCE48を見始めた時、正直なところ筆者は不安でした。一回当たりの長い放送時間、出演者のおよそ半分は顔と名前も一致しない異国のみなさん。

その中で数少ない、すぐに覚えられた練習生の一人があなたでした。年相応の振る舞いとレベル別評価で見せる姿とのギャップ。


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グループバトルを初めて見た時の「推しが生まれた瞬間」の高揚は今でも思い出します。今改めて見返すと、この時すでに完成されていたと思っていたのにこの二年半であなたがどれだけ成長していたかを改めて思い知らされ、驚かされます。

その後デビューしたアイズワンでは最年少かつセンターとして大きな重圧がかかったであろう中、それを感じさせることもない見事なパフォーマンスを見せ続けてくれました。

アイズワンのそのありようを形容しようとしたとき、結局のところ「アイズワンとしか言えない」というアイドルグループになったこと、可愛いだけでもかっこいいだけでも強いだけでも儚いだけでもない万華鏡のようなグループになったことは、センターのあなたが千変万化するイグアナ……いやカメレオンのような、しかし決してどんなときも自分の色を失うことのない揺ぎ無いアイドルであったからだと筆者は思います。

かつてトレーナーに「飾っている」と言われた声はしかしその装飾的な部分が集大成である「Panorama」最後にその声だからこそ、凄く突き刺さってきたように感じました。跳ねるような歌声がそのまま「約束」と共に胸の中に転がり込んできたようでした。二年半という月日が、弱点を武器に変えたことの一つの象徴的な出来事のように思います。


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とりわけ記憶に残っているのは、やはり唯一肉眼で見ることの出来た福岡マリンメッセでのコンサートです。圧巻のパフォーマンスは勿論、最後の挨拶で吐露してくれた弱音、そして自分にくれた「レス」の記憶は今も鮮やかです。

プライベートメールでは文体のフレッシュさが翻訳ソフトを通しても伝わってくるようでした。時々の日本語もうれしかったです。ついぞGoogle翻訳が「フェルナンド」を改めることはありませんでしたが。

一推しと言いながら、「推す」ようなことは何もできていませんでしたが、この二年半はとても幸福な時間でした。可能性しかない未来でまた会える日を楽しみにしています。

アン・ユジンさんへ

あなたの底抜けの笑顔を見るたびに、その「なんでもなさ」を見るたびに、その陰にある膨大な気遣いが垣間見えて眩暈すら覚えることがあります。

何度も見返したPRODUCE48でようやく、グループバトルでのあなたのチームメンバー選出が素晴らしく合理的であったことが分かった時、あの短い間で他の練習生諸賢の特性を見抜いたあなたに改めて驚愕させられました。

アイズワンメンバーとなってからも、年少メンバーでありながら場を回すことがうまく、例えばオンラインコンサートのゲームコーナーでは進行役が違うだけでこんなにも流れが違うのか! とその手腕の確かさに舌を巻きました。

単独MCを勝ち取ったのは決して偶然ではなく、筆者よりもずっと慧眼であるスタッフたちもそのことを敏感に感じ取ったからに違いありません。

あなたはあるいは、最もアイズワンになったことで犠牲にしたことが多かったメンバーだったかもしれません。ショウビズの世界が少女にきらびやかなステージを与える代わりに何を差し出させてきたかをまざまざと見せつけられ、消耗する筆者をまたも「なんでもない」かのように高校卒業検定試験を合格して見せた時は、そしてそれを我々に報告してくれたときは、快哉を叫びたい気持ちでした。

だからこそ、コンサートのたびに見せる涙が一層心を揺さぶりました。

あなたを呼ぶとき、しばしば筆者は「ユジンくん」というようにしていました。それは悪戯少年のような快活さが小気味いいからでしたが、しかしどうしようもなくステージでは妖艶であるその高低差がアイズワンというグループでもっと見たくなかったかと言えば嘘になります。

スターシップは非常に才能あふれる方々が多く所属していますが、ここまで育ったアン・ユジンという人を果たしてどのように遇するのか事務所側が「試される側」となったその成長に感服しつつ、ゆじん、貴方のゆうじんとして応援しています。

チョ・ユリさんへ

PRODUCE48開始当時のSTONEMUSICはどうかしていたのでしょう。もと「アイドル学校」組はあらゆる魅力をそぎ落とされてレベル別評価へ突き出されたように筆者は感じました。それでもあの時のあなたは歌う喜びとそれに比例した才気に溢れていて、ギュリさんを差し置きAクラスへの切符を手にしました。悪編集も受けてしまいましたが……。

史上初のA→F落ちもあなただから許されたように思います。正直なところ筆者は、「この人はデカ眼鏡で一つ結びの方がめちゃくちゃ可愛いな」ということを考えていました。実際、その後一つ結びはあなたのメジャーな髪型の一つに落ち着いたのではないかと思います。

PRODUCE48のボーカルパートを語るにあたってあなたは欠かせない存在となりました。繰り返しになりますが、歌うことの喜びに満ちているその声こそは、国民プロデューサーの福音でもあったに違いありません。

PRODUCE48が終わってからアイズワンチュを待つまでの間、アイドル学校を鑑賞しました。言ってしまえばPRODUCEシリーズより劣悪な環境であることが画面からも滲み出る中、奮戦したあなたを残酷に裏切る演出に心が痛くなりました。

だからこそ、アイズワンチュ冒頭でアイズワンになれた喜びに打ち震えるあなたに強く感動させられました。ラビアンローズで、また以降の数多の曲で喜びが増大するほどに音域の幅も広がるような圧巻のメインボーカルはどれも素晴らしいものでした。

年下二人が大人っぽいのに比べ、また同い年もそれぞれ違いがある中で、まさしく年相応、「ザ・JK」みたいなあなたはそんな素晴らしいクラスメートがいたはずないのに、どこか親しみやすさがあり、バラエティ他の少しピントのずれた発言もそれだけにとても微笑ましく、面白い得難い存在でした。「AYAYAYA」で更に成長した後はますます敵なしといった形で、「Adult Ceremony」などその極地だったのではないでしょうか。

STONEMUSICが清算された今、寄る辺がはっきりしないことは不安ではありますが、もうFクラスに移動になった時の借りてきたハムスターなあなたではなく、アイズワンの誇るメインボーカルであったあなたですから、きっと大丈夫でしょう。

本田仁美さんへ

チーム8時代は取り立てて推されることもなく(少なくとも他推しだった筆者のところまで名前が届くほどには)、ネ申などで見かけた時も、ふわふわしていながら芯の強そうな人だな、くらいの理解でしたが、子供のころから培ったダンスの確かな下地、48の悪癖ともいうべき「振り入れの時間がない」に最も振り回されたであろうチーム8メンバーだからこそのサポートなどめきめきと頭角を現し、下尾みうさんと同様に、「置かれた場所で咲きなさい」というのは所詮置いた人間の傲慢にすぎないのではないか、と考えさせられるほどに、舞台を与えられたあなたはその大きさに相応しい存在感をみるみる獲得していきました。まるで限界だと思っていた鉢植えが容器を変えることで更に成長し、美しい花を咲かせたように。宮脇さんがすでに気づいていたその魅力に、筆者はそこまでわかりやすくしてもらえてようやく気付くことが出来ました。

もちろん筆者以外の大勢の方が気付いていて、ランキングでは素晴らしい記録を打ち立てましたね。ほっぺたには希望だけでなく自信も詰まってくれていたらいいなと思います。

そう、体型管理もあなたの驚嘆すべき部分です。そのストイックさは真似しようとしても出来るものではありません。でもあなたは成し遂げた。だからこそ同世代、同性の支持を多く獲得したのだろうとも思います。K-POPドリームというのがもしあるのだとしたら、それは本田仁美さんのことをそういうのでしょう。

ストイックと言えば最後の最後に嬉しいサプライズで運転免許証取得まで報告してくれてそのエンターテイメント精神と想像もできない努力の積み重ねに脱帽です。

プライベートメールはあなたのものを一番楽しみにしていました。あらゆるサービス精神に富んでおり、いつも日本語と韓国語を併記してくれていたそのメールでもっと勉強をしていれば、もう少し自分もハングルを習得できていたかと思うと後悔が募ります。何とかアーカイブして、ハングルの教材にしようかな、と企んだりしています。

古巣のチーム8に戻るのか……いよいよ全都道府県を制覇したその後の発表で何かありそうで不安だけど……個人的にはコロナ禍でなければ一度戻って韓国で活動をするにしても卒業発表からの送り出しをしてもらって……とも思いますが、まずはゆっくりしてほしいなと思います。声が好きなのでまたラジオとのご縁があると嬉しいです。

矢吹奈子さんへ

あなたと田中美久さんがAKB48SHOWの企画で先輩がたに突撃インタビューしていたのが昨日のことのように思い出されます。甘え上手の万年末っ子のイメージが強く、相方と言ってもいい存在の田中さんがPRODUCE48では途中退場したこともあって、あなたも厳しいトレーニングでどこかしら怪我をしないだろうか、体に気をつけて帰ってきてほしい、とすら思っていました。なにしろ今後間違いなくHKTを担う柱であることは既に間違いありませんでしたから。

PRODUCE48、3話。深夜の眠気を3段階の高音が吹き飛ばしていったあの時の衝撃は、その時手に持っていた麦茶のグラスの冷たささえも思い出せそうなくらいはっきりとしています。「プデュなるもの」の沼に深く沈んだときは、まさにあの時だったように思います。

気付けばあなたはまごうことなき「実力派練習生」であり、いつまでもマスコット的に見ていた自分を恥じました。柔らかな歌声は代替が効かないものであり、それ故に本田さんと一緒に特に韓国曲で「飛び道具」的な扱いをされていた時はやきもきとさせられました。もっともっとあなたのボーカル力を存分に発揮した曲で歌声を響かせてほしかった。

多くのアーティストに可愛がられる一方、いわゆる「K-POPスター」的でない自分に思い悩んだ時もあるということでしたが、あなたは誰にも真似できない、「やぶきなこ」という新しいアイドル像を韓国アイドル史に刻み付けたことでしょう。それはあなたにしかできなかったことです。

HKT48に戻るのか、違う道を行くのか……もしかしたら指原さんや、宮脇さんに相談されているのかもしれませんね。どの道でも今回がそうであったように、唯一無二の存在として輝くことでしょう。

でもできれば、成人したなこみくで「生意気リップス」が一回見てみたいな、とは思います。

キム・ミンジュさんへ

そのビジュアルが練習生時代から群を抜いていたあなたはしかしそれに驕ることなく、錬磨を重ねていましたね。「Touch」の時、自身のパフォーマンスに不満がありながらも人気投票のように1位を獲得してしまったことで「これは違うと思う」と涙を浮かべながらもその「栄光」を否定したとき、一気に「この人を応援したい」という気持ちが高まったことを覚えています。

何度もデビュー直前だったところが立ち消え、レベル別評価で振るわず、自分の想いとは裏腹に評価は高く、コンセプト評価では押し出されながらも、センターへと挑戦し、心身の成長は一週ごとに着実に、確実に感じられました。

アイズワン入りを一番に発表されたあなたは何事にも丁寧で、しばしばENOZIでも一生懸命説明しているところを編集でカットされたりもしていたけれど、その誠実さはアイズワンというグループのコアの部分の写し鏡だったように思います。

他がバキバキのダンスメンである中抜擢された「ルーモア」、「Buenos Aires」での初のウォニョンさん以外のセンターでの堂々たるパフォーマンス、バラエティでのいい意味でのアイスブレイクぶりなど、見るたびにブラッシュアップを続けるあなたが「Full Moon」でまさにその円熟の時を迎え、満ち満ちた魅力を舞台に満たした時、もしかしたら「アイドル・キム・ミンジュ」は完成してしまったのかもしれません。

きっと女優業であってもその人柄と真摯な姿勢で成功することでしょう。

でもやはり、いつかまたアイドル・キム・ミンジュを見てみたいと思います。例えば今度のハロウィン、アイズワンの仮装をするとかで。

最後のプライベートメールで泣かされました。筆者も祈り続けます。

キム・チェウォンさん

「カチューシャの子がとてもいい」


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4話の初回放送で共に見ていた妻がぽつりとつぶやきました。当時はレベル別評価での後藤萌咲さんのインパクトが凄まじく、このグループバトルでも彼女に焦点が当てられていたと思います。筆者も、彼女の「ピョン!」が印象に残ったことを覚えています。

あなたは当時から確かに素晴らしくバランスがとれた練習生でしたが、筆者は愚かなことにデビューメンバーに予想すらしていませんでした。この辺りは「軽蔑していた愛情」時点でAKB48 を見出していた妻のドルヲタとしての面目躍如と言ったところなのでしょうか。

今に通じるあだ名「サンム姫」のきっかけとなる自らの殻を破ったコンセプト評価を経て、バチボコ似合う衣装でなんなく異国の言葉を歌いこなした「好きになっちゃうだろう」の後、アイズワンのメンバーとなったあなたを大学受験へ送り出すメンバーの姿は、あなたがメンバーに愛されている確かな証拠として我々の目にもほほえましく、また美しく映りました。

楽曲においては大天使の歌声と小悪魔の表情管理で多くの人々の心をばっちりつかみ、


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とうとうアイズワン4人目のシングル曲センターの座を射止めました。オンラインであってもCDを買ってお祝いに行けばよかったと今でも妻と共に後悔しています。

あなたがセンターで躍動するこの曲を、生のパフォーマンスで見られなかったことは本当に残念です。コロナ禍でさえなければ、貴方の魅力がもっとたくさん、遠くに伝わったのにと歯噛みする思いです。

バラエティでのぎこちなさも消化して、「カタレナ」ではまさしくお人形のようなパフォーマンスに違った魅力を見せてくれました。

アイドル・キム・チェウォンの第二章がどうなるのか。ロケットパンチに加入するのか、それとも……。また新たな一面が見られると思うと楽しみです。

イ・チェヨンさんへ

PRODUCE48を「ほーんどんなもんかな」と軽い気持ちで見てみた筆者に「韓国練習生の実力」をこれ以上なく鮮烈に見せてくれたあなたのパフォーマンスの衝撃は凄まじいものでした。だからこそ、その素晴らしさに伴わないあなたの自己肯定感の低さ、自信のなさが終始気になってもいました。なぜなら、それは後今に至るまであなたの大切なパートナーである宮脇咲良さんに対して、総選挙時点で感じていたこととほとんど同じでしたから。そういう意味で言えば、あなたたち二人は似た者同士であったのかもしれません。どんな場所でも間違いないパフォーマンスをしながらも爆発しきらない、自分がリーダーを務めたチームからは放逐されてしまう……。

だいぶ後になって「SIXTEEN」を見ました。その時はプデュ時代よりもなお自信がなく、後MCでも自信がないことが事務所からの低評価につながり、それによって自分の自信をまた失うという負のスパイラルにあったことを教えてくれましたね。

けれどあなたは、最終回、センターを見事に務めあげました。そこからの宮脇さんとのやり取り、加入劇というとても美しい物語は「大人たち」によって不本意な言いがかりがついてしまいましたが、それでもあの日のあのパフォーマンスだけは絶対に捏造できませんし、そこであなたは今までで一番輝いていました。

そこからあなたは今に至るまでその輝きを更新し続けています。ラビアンローズのMV、縦縞の衣装が似合うあなたの姿を見て、自信とは、自己肯定感とは人をここまで変えるのかとしみじみと思わされました。

羽根のような軽やかさのダンスのように実はひょうきんなところもあり、メールその他で楽しませてくれましたね。数々のミッションの報告も恥ずかしがらずにTwitterですればよかったと今更ながら思います。

返す返すも辛いのは、あなたの誕生日を盛大に祝うチャンスを二回も逃してしまったことです。新天地でも縦横無尽にステージを掌握してほしいですが、出来れば次の誕生日には一度立ち止まって、三回分のお祝いをさせてほしいなと思います。

チェ・イェナさんへ

さあ、新番組が始まるぞ、と気負う我々の前に最初に現れた三人組、それがウェイファ三人娘でした。それぞれキャラクターの立った三人がレベル別評価ではやはり「韓国練習生のレベル」を見せつけてくる、このギャップの構成にはめられていたわけですが、視聴者だけでなく、当然出演者もことオーディションの中では委縮していたであろう中、「一発芸」を披露するあなたのそのタフさ、センスに早くも筆者の関心は奪われていました。

評価においてはその多彩さを見せつけながらも心無い言葉を寄せる人間もいたようで、「吐き芸だけ」といった奴に呪詛をかけるのに忙しかったことを思い出しますが、そんなプリズムのような魅力を放つあなたの「セクシーキュート」な部分を存分に炸裂させたのがセンターで披露した「好きになっちゃうだろう?」でした。
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「Who is the Center?」からのあなたが中央にいた時の興奮、小首傾げでの完全ノックアウトのコンボを超えるインパクトはこの二年半を通じてなかなかないものでした。音声は入っていませんでしたが、ワン・イーレンさんの「イェナ~!」という声かけがそのしぐさからわかり、それも胸を熱くさせてくれました。

アイズワンに加入してからはコメディポジションを引き受けることが多かったですが、プライベートメールを暴露されたときの「ウィズワンとの秘密のやり取りなのに……」という姿勢に誠実な人なんだなということを感じましたし、外仕事が次々にやってくることはその人柄と確実に成果を上げてくる頼もしさによるところなのでしょう。

パフォーマンスにおいても歌にせよダンスにせよ、可愛いにせよかっこいいにせよ、ファニーにしろシリアスにしろ、あなたがいればそれで大丈夫だろうという安心感がありました。カバーの選曲のセンスも素晴らしいものがあり、ぜひ末永くアイドルを続けていただきたいですが、音響監督みたいなこともぜひチャレンジしてほしいと思っています。

あなたの「ウィズワン」の言い方が個人的には一番しっくりきていたように思います。また思い出したら呼んでみてください。

カン・ヘウォンさん

「韓国人練習生=スキルがものすごい」という訳では必ずしもないんだな、と失礼ながら最初はそんなことを思いました。隙なしと思われたブンバイヤ班に挑むことになったら真っ先に泣いていたり、続けてラップに挑戦するものの自分で作詞することを知らなかったり、タシマンナの動きもぎこちなかったり、実は最後の最後の「好きになっちゃうだろう?」の出だしも間違えていたり……。

気付けば「カンちゃん」と親しみを込めて呼んでいる自分に気付きました。あなたはどんなに望んでも身に着けることが難しい、いわばアイドル力と呼ぶべきものを持っていました。

それに加え、スポンジに水が染み込むように次々とスキルを吸収していったあなたは、名実ともに押しも押されぬグローバルアイドルへと成長しました。

できれば、今のあなたで「ブンバイヤ」のカバーを見てみたかった。他のプデュ楽曲のパフォーマンスを見て見たかった。それが叶わぬ願いになりそうなのが残念です。

日韓を超えた友情はプデュ時代もテーマ性にも沿い、美しいものでしたが、最後の釜山旅行においても存分に発揮するなど、あるいは最もメンバー愛が深いのはあなただったのかもしれませんね。

そのトークの爆発力も素晴らしく、あの荒涼としたラストコンサートを救ってくれたのはあなたの餃子コメントだったと真剣に筆者は考えています。最後の日のメールもレシピを送ってくれるなんて本当にこの人は……と思ってからのあのメールはずるいですよ。

日本にはあなた好みのカルチャーがまだまだ沢山あります。事務所に戻った後も引く手あまたでしょうし、コロナのことのありますが、落ち着いたらさとみなさんを愛でがてらぜひ遊びに来てください。

宮脇咲良さんへ

今まで、あなたを理解しようとして何万字かの駄文を書き連ねてきました。

そうして結局辿り着いたのは、「神様、よくわかりませんでした」という人類の墓標に刻まれるべき言葉に過ぎなかったのですが。

今までの愛すべきアイズワンのメンバーにも、筆者は、「ギャップ」だとか、「成長した」とか、「一皮むけた」とかいう言葉を使ってきましたが、あなたはそういう言葉では追いつかない、説明がつかないように感じました。

それは他のメンバーとあなたの優劣という話ではなく、本当にそういう表現がそぐわないのです。何故なら他の「一皮むけた」メンバーであれば決して起こらない「あの時の動き」をしたかと思えばまた、「クラオンニ」になり、目を離したすきに「さくらたんlv100」になっていたりもする……。

かつて筆者はそれをどうにか「パッケージング」という言葉の檻に閉じ込めようとしましたが、無駄なあがきでした。まるで仮面ライダーウルトラマンのフォームチェンジのような、特撮めいたスイッチングのすさまじさは本当に末恐ろしく、あなたにとってはアイズワンすら(もちろん言語にできないような愛着のある)枷だったのではないかとすら思うことがあります。

さくのきの「ネッコヤ」に至って、完全に、宮脇咲良、人か魔か神か、という領域に至りました。

なので結局、筆者があなたに贈る言葉はたった一つ、「ありがとう」です。

クォン・ウンビさんへ

一度の挫折を経て戻ってきた練習生生活、掴んだチャンス。またもあなた自身に何の負い目もないのにやってきた試練。

アイズワンがアイズワンで二年半あり続けられたこと。十二人であり続けられたこと。間違いなく、あなたがリーダーでなければ不可能だったことだと思います。本当にお疲れさまでした。ありがとうございます。

ゆっくり休んで、もっと自分のことを考えてほしいと思います。

あなたがいたから楽曲が締まりました。アイズワンが誰にも真似できないグループになりました。

文面から温度が伝わるような日本語のメールが大好きでした。

もっともっと感謝の言葉はありますが、どれも陳腐になってしまいますのでこの辺りにしておきます。

アイズワンとは、クォン・ウンビが守った宇宙でした。

ありがとう、お疲れさまでした。

 

日が替わるのでこの辺りで。

さようならアイズワン。

おかえりアイズワン。

もっともっと、道草してきて良かったんだよ。

もっともっともっと、お土産話が聞きたかったよ。

でも今は、ありがとう、おつかれさま、おやすみなさい。

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