カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

機械猫の奴隷――2020年買って良かったもの

お題「#買って良かった2020

余談

「買って良かった2020」とはいうものの翌年一月八日まで大丈夫やんけ余裕やな……と思ったらばっちり当日ラスト一時間白紙という感じで筆者の今年の一年が早くも象徴されたような展開であるが、折角なので記しておきたいと思う。

昨年の買って良かったものと言えばダントツに家(マンション)だったわけで、その関連で家具周りをいろいろと買ったりアップグレードしたりしたのだが、よくよく考えると波乱万丈であった引っ越し顛末記もその波乱万丈さゆえにまとめ切れておらず、このブログを筆者の自分史としてみた時にやや唐突である気もする。

今一つ、「体験」を記そうとしたがこれもまたのべ三か月ほどの記録であるからここから一時間でまとめるのは筆者の能力では至難であるし、別のアプローチで世に出したいと思う。

じゃあ「本」でも一つとも思ったが、kindleによると昨年の読破数は293冊(仕様的に再読を多く含むはずである)、昼休みも外出をしないようになったコロナ禍故の出来事のように思われるが驚くほど内容を覚えていない。コロナに対する不安を文字で押し流そうとするあまりそのものも流れてしまったことは悲しい。しいていえば、発売前から楽しみにしていた「つけびの村」はいつか記事にまとめたい。

と言っている間にますます時間が迫ってきた。ならばやはり最初に立ち返ってマンションに入居するにあたり新たに導入した家具の中から何か一つピックアップして書いてみるのがよかろう。いわば、のちに予定される新居に引っ越しました記事に対する先行シングル・カットみたいなものである。アルティメットものはいいようである。

では何にすべきか。ここからさらに絞ろうとすると筆者はまたモダモダと悩み、急に鼻の脂が気になったりし、とりあえずTwitterを開いたりしつつ、同時にkindleで「やっぱり『べしゃり暮らし』はおもしれえなあ」とひとりごちながら、気が付けば日付変更五分前となり慌ててソシャゲのデイリー報酬のためにログインする、という未来がまざまざと見える。せめて最後は記事を書こうとしろ。

ということで有識者に尋ねることにした。筆者の新居を知り尽くす人間、人(CV.加藤みどり)は彼女を「空間の幸せ請負人」と呼び、筆者は妻と呼ぶ。本当は名前をもじったあだ名で呼ぶ。

ともあれ空間の幸せ請負人っちょに2020年に買って良かったものは何かを尋ねた。

「それぞれどれも忘れがたく、決めるのは難しいのですが……」

急にオードリー・ヘップバーンめいた妻は逡巡する。

と、妻は壁際の黒い円盤を見咎める。

「ルンバです!なんと申しましてもルンバe5です。私は、その思い出を生涯大切にすることでしょう」

そういうことで、以下はルンバe5における私見を述べる。

本題

 

 

筆者もルンバe5は大変買って満足している。厳密に言えば、住宅エコポイントにより導入したのだが、まあ広義の「買ったもの」でよかろう。

ルンバ自体は新居に越したら何かしらの手段で調達してみても良い、と思っていたが、「e5」が我が家にやってきたのはまったくもって住宅エコポイントを利用したから、という理由による。というのも、住宅エコポイントでメインで狙っていた白物家電を引き替えた余りで引き換えられるルンバとして逆算したグレードが「e5」だったからである。筆者個人はルンバはメーカー名もルンバだと思っていたので、最初は「アイロボット」というパチモンばかりひっかかる……邪魔くさいなあ……と思ったりもしていた。

f:id:kimotokanata:20210108234114j:plain

f:id:kimotokanata:20210108234126j:plain

ルンバはバカでかい箱に入ってやってきた。多分詰めたら二台は入れたと思う。開梱するとあからさまに「ルンバe5が入っていますよ」という箱が更に現れた。時は2020年の十月。レジ袋有料化とかエコバッグとかそんなちまちましたことやってんじゃねえ、これが俺のスタイルだといわんばかりの熱い過剰包装ぶりにゴミを掃除するものを買ったのにゴミが増えてしまうというのは落語でありそうな題材だな、と思いながら筆者はセッティングをし、自分のスマホと連携させた。

f:id:kimotokanata:20210108234551p:plain

e5のいいところ(ちょっと駄洒落みたいになったけど違いますよ)はアプリが使えることで、スマホさえあれば筆者が仕事場で昼休み中、妻が居間で「メーデー!惨劇の瞬間」を固唾をのんではらはらと見守っている時を見計らってルンバを解き放つことが可能である。また、上記のように正常でない場合はお知らせもしてくれるので良い。

ダストボックスはボタン一つでカパッと開き、中に残った細かいホコリごと水洗いできるのも素晴らしい。(フィルターは取り外し可能だが水洗い不可)

少し先走ってしまったので時を戻そう。続けてアレクサとの連携も終え、いよいよ我が家のルンバの初陣である。アプリの清掃ボタンを押すと、軽快な音と共にルンバが駆け出した。

「ああーっイヤホンが落ちている! 巻き込んでしまう!」

「このデカいクッションとかは塞いでしまうから片付けとこ」

「おいおい同じところずっと回っとるじゃないかこっちだぞ」

「ほんとにゴミ吸ってんのかな……?(進路上にレシートを破って置く)おー吸ってる! えらいえらい!」

「家に帰る途中で力尽きて寝ちゃってるじゃないか……ほら家(充電スタンド)に帰りますよ」

f:id:kimotokanata:20210108235844j:plain

ルンバは猫である。

ルンバが来てから、確かに家は片付いた。ルンバが快適に掃除が出来るように、人の手によって。

しかし人は、少なくとも我々夫婦は意外とそれが嫌いではない。苦にならない。結構な音がするので(夜間は絶対にしない方がいい)不在時にしっかり働いてピカピカ……というのも一つの理想ではあるが、我が家ではルンバが気ままに動き回るのをある時はほのぼのと、ある時はひやひやしながら見守りながらのティータイムが休日のひとときの風景として定着しつつある。時々会心の動きをした時などは思わず拍手をしたくなる。

もちろん、しっかりゴミも集めてくれている。特にベッド下の掃除は本領発揮である。

我が家はペットOKの物件である。実際、入居にあたって猫を……というのも少し考えたりはしたが、やはり寿命のある生き物と共に過ごす覚悟が今は我々には足りなかった。

そういう意味で、我が家にとってルンバは意外な、しかし幸福な伏兵であった。日々に気まぐれな同居人と、ついでにピカピカな床を取り入れたい諸賢はどうぞ検討していただきたい。