カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

100%叶った夢っていくつあるんだろう――ハイキュー!!初見の「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」ネタバレ感想走り書き

先週末見てずっとブログにしたかったんですが体裁を整えている時間がなく、かといってこれ以上心にこの感情を抑えていることも難しいのでこのまま吐き出します。お見苦しいところもあるでしょうがご容赦ください。

おれはド級の補欠ド補欠であったので中高バスケ部だったくせに公式戦のコートに立った時間なんて何分かしかなくて、「あの日上手に捕れなかったセカンドフライ」みたいなのすらない、なんとなくぬるっと引退した部活生活を送ってきただけに、彼らは眩しい。とても眩しい。実生活でも男バレって確かにああいう感じだった気がする。


その中で月島君はいいぞ。ちょっとバスケ部の香りがする。大体爽やか男子というのは野球、サッカー、バレーあたりに散りバスケ部はそんな王道には所属しないひねくれ厄介者、ため息と舌打ちがおれたちのリズムだった。好きな言葉は雨天外練中止。そんなおれにやれやれだぜって感じの精神はとてもシンパシーだ。(なんてあらゆるところに風評被害をまき散らす文章なんだ)

ところがその月島君がさア……いいわけよ。もうおっさんなのでキッズがわやわややってるともうやめな! みんなでマクラ投げとかしな! みたいな気分になるんだけど(たぶんヒロアカ途中で読むのやめちゃったのもガキ…闘うな…! 大人何してんだ……!という気持ちが物語の面白さより勝ってしまったからだと思う)他校との交流を経て愚直に積み重ねて大舞台で「師匠」に最大の恩返しをぶちかます。いいじゃないのさ……月島君の笑顔を見に今すぐ劇場に走ってください。

シンパシーで言うと今回の映画の主役と言っていいコヅメ君もそうで、高校二年生から三年生へと至る春休みにうっかり戦国無双2が発売されてしまったばっかりにおれは競技者人生としての寿命を大いに縮めることになってしまったことを思い出すのだった。ところがそのコヅメくんがさア……とんでもないわけよ。イマドキな無気力無関心的なキッズが自分なりのバレーの面白さに気づいてるけど目をそらしてるところに中から外から見ろや!!!ってされる映画だなと思ってるんですが、参謀という響きにあこがれてあんまり動かない(大嘘)セッターになり、全国の舞台までやってきたコヅメ君のまさに軍師的頭脳は敵に回すと恐ろしく味方にしてなお恐ろしい名刀のような切れ味だ。強敵を理詰めで捕える快感よりもそれを喪ってしまう残念さ……ゲームクリアの空しさ(なので劇中での日向君をとらえた際の彼の言葉は「ゲームオーバー」よりも「ゲームクリア」が適当だと思ったけどどうなのだろう)を感じ、気持ちが盛り下がろうとした中、日向君は更にその予想を超えてくる。パラメーターが決まっているゲームのボスでは絶対あり得ない挙動。さらに上がるボルテージが見ている人間も息を衝かせぬラリーにいざなっていく。彼の一人称視点でボールを追う。息遣いが聴こえる。心臓が脈打っている。汗での滑り。画面の向こうの勇者に剣を振るわせているだけでは決してない出来事が(もちろん、プレイヤーがコントローラーに汗をにじませるような素晴らしいゲームも数多あるけどさ)勝敗を分けた。けれど彼から何の衒いもなく最後に出てくる言葉は……コヅメ君の心からの言葉を聴きに今すぐ劇場に走ってください。

そして黒尾君。今回おれがこの映画見に行ったのは黒尾君推しの知人が急遽鑑賞できなくなったため、33.5巻を代わりに入手しようということと、スラダン映画で諸賢の人が味わったような感覚を自分も味わってみたいからだったんですが、そういう意味では黒尾君にありがとうを言いたい。声を大にして言いたい。年下なんだけどこんな上司めちゃくちゃほし~と思った。コヅメ君も言っていたけど「単なるパリピ」じゃなくて顧客が本当に必要だった陽キャって感じで素晴らしい。バレーって楽しいよな! っていうゆるぎない価値観があって、周りにその周辺をうろちょろしている奴がいたら懇切丁寧に沼に落としていく感じ? アフターフォロー万全で。知人経由で彼の進路だけは知ってるんですけど、劇場ポスター見た時点ではマジで? なんかこの口の感じだとこう…姑息な手とか使ってこない? 毒とかのステータス異常攻撃をしてこない? 語尾「でゲスねえ」じゃない? と思ってたんですけど以下におれの見る目がないかをまざまざと思い知る結果となりました。その黒尾君の、最後の最後の勝敗とかじゃないところで出てくる涙さ~本当、最高だよ……最高か、最高か、君らはほんとに最高か(最高かよ音頭)。黒尾君の手練手管を見に今すぐ劇場に走ってください。

日向君……まさにお日様のように眩しい……! コヅメ君の策略にはまった時の息苦しさ、起死回生となる展開の時の雲を突き破るような爽快さ。あまりに主人公だ。彼の最後の快哉ももうさ…人は他人の快哉で泣けるんですよ。素晴らしいなあ。レシーブだったり、知らないおれでも彼の入学から今までの積み重ねが見られたのも良かった。原作を知らないけど40巻以上出ているのは知っていて、なのでもしかしたら負けるのか? とも思ったりした。(ここで一度終わって2年生編になるのか? みたいな)こればっかりは未読の特権だ。そんな状態になっていたおれの感情もひっかけて一気に飛び上がるくらいの最高のジャンプを見ることが出来た。現代に蘇ったアポロンを見に今すぐ劇場に走ってください。

猫又監督~今調べたらほんとに根古俣とかじゃなくて猫又ってお名字でびっくりしたよ…! ともあれコーチやOB達でさえ年上となってしまったおれにとって実に安心できる「大人」……! 指導者として、先達としてその背中とふるまいがあまりにも頼もしく、憧れる。こういう人になりたい。おれは全くあずかり知らないそれまでの「重み」をコーチのじいちゃんの画面越しの握手とかでまた実感させられて……。「ゴミ捨て場の決戦」って小さいころゴミ捨て場でバレーボールしてた幼馴染が全国の場で激突! みたいな感じなのかと思っていてすみませんでした。猫又監督のちらり見える鋭いお目目を見に今すぐ劇場に走ってください。

あと海君ね……ベスト副キャプテン賞間違いない彼の一言一言も染み入るし特典での彼がまた……。今すぐ劇場に走ってほしいところですが配布終了のところも多いのが実に惜しい。何らかの機会で早くみんなにあの海君をみてほしい。

その他にも、登場人物皆善人で、終盤憎まれ役みたいなお兄さんも毒づくふりしてフォローしてたり……。彼の言葉に当時ハイキュー!!アニメの曲だと知らず聴いていた「天地ガエシ」を思い起こしたりした。(えっ…10年前…⁉)

ラスト、この物語は「つづく」ことが、分かってはいたけれどわかっていた以上の熱量で告げられる。それまでに一度、ここまでの彼らの道のりを追ってみよう、そう思わせる素晴らしい映画だった。

知人……おれにハイキュー!!映画を教えてくれて、ありがとう。

楽しかったあ……。

ここまでお読みいただいた皆さんもありがとうございました。今すぐ劇場に走ってください。