カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

ブロクリ2024参加作品を読む:21日目(梶原一郎さん「不便でデカくて、自由だった奴ら~レンタルビデオ、VHS、ロストメディアについての雑感~」)

余談

新年も12日になってしまったがブロクリ2024を進めていく。年明けからこちら、インフル他でスタッフが最低でもシフトよりマイナス2人以上がデフォルトとなっており、休日出勤も重なり、また連休明けもシフト欠けが確定しており大変つらいが、昨年企画に寄せていただいた記事を読めばメンタルゲージは回復していくというものである。

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いやアやっぱサイコーだよな、梶原さんの「ガーネット」は……。

すみません、これは梶原さんの別のアドカレ参加記事でした。しかしほんとにおススメ。基本的に創作を読むときってほぼ会話劇でのSSでもない限り縦読みでいきたいんだけど、この作品はパルプ・フィクションでよくある「次にどんなクソな展開があるかわからない」ということがブログ記事で下にスクロールしていく、という形式にとてもマッチしていて、没入感を味わえました。

文章だけでバイオレンスアクションを表現するって相当難しいことだと思うんだけど、アクションに造詣が深くない筆者でもばっちり(クソな/最高級の賛辞)場面がありありと浮かんできて最高に最悪でした。最後なんかスタッフロールまで流れてきたもんな。

自分では絶対に書けない小説だと思うので羨望を覚えます。脳内キャスティングとかがあれば聞いてみたい。

そんな梶原さんのアイコンは見覚えがあって、やはり「フォロワーさんのフォロワーさん」くらいの位置づけであったのだけど、今回ご参加いただきとても嬉しかった。(リフォローもありがとうございます。)1990年の早生まれということで筆者と同学年、というか前日のうすトン君(富士口さん)とは生まれ年も一緒ということで、勝手ながら不思議なシンパシーを感じてしまう。

インターネットに長年いると「外堀しか残っていないこと」というのがしばしばある。例えば筆者の身近な例で言えば、自分のツイログを漁って「あーこれ気になるなあ」とか「面白かった。この作者さん覚えておこう」みたいなツイートのログは記録されているが、公式RTしたもの、言及したそれ自体――このツイートにおける「本丸」はもはや筆者すら思い出せないのである。また、リプライ相手がここ数日でますますそのカスっぷりを見せつけだしたTwitterから去っていたり、謎の仕様によって元ツイートが拾えない状態の「それいいですよね!」みたいなツイートも散見され、10年前の自分自身の胸ぐらをつかんで「何が良かったんだよ!」と問いただしたくなる。10年前の自分に「こんなに心に残ってんだからちゃんと覚えとけよ!」と脛を蹴られる可能性が高い。

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他方、梶原さんのこの「外堀」はとてもいい。元々現在Twitterを休止? されているはまりーさん(この方のアイコンも見覚えがあった)が書いたFC2ブログの記事が本丸だったようなのだが、現在その記事、というかおそらくブログは削除されてしまっている。(noteの方は現存が確認できた。創作者であり、梶原さんもご愛読されているようである。今筆者の卑小なキャパシティでは読む余裕がないが、ブックマークをさせていただいた。以下の随想はとても興味深く読ませていただいた)

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Twitterは良くも悪くもあらゆるハードルを下げた。反響を届けやすく、届きやすくなった。筆者もそうだが、例えばブログ記事を読んで、よかったなあと思っても、それをTwitterにシェアするというのはかなりのカロリーを伴うが、ツイートであればその下にあるボタンをスッと押すだけで達成できてしまう。そしてそれが届くと、少なくとも筆者は大変うれしい。救われる。

「本丸」がどうだったかはわからないが、「外堀」である前述の梶原さんの記事は、(ちょっとご自分を卑下されすぎているところはあるけれども)そういう筆者の思いを見事に言語化してくださっていて、全くその通り、という気分であった。ツイートであれば即FAV&RTであるが、いいねを押そうとするとアベマブログは会員登録を求めてきて、それはやっぱりハードルが高く感じてしまうのだった。(はてなブログも最近アプリが不調で無限ログインに陥ってしまい、もういいや、となるときがある)

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映画館でしっかり映画を観る梶原さんにおいていかにコロナ禍が辛かったか、鑑賞の喜びを綴られているところを見るとわがことのように嬉しくなるし、その中でも一押しのシアターのお勧めする記事が出るくらいに状況が改善されていったことに、上記のように「共感・反響獲得ツール」としてTwitterがすこぶる優秀で、梶原さん自身がTwitterでの感想投稿が主になっているけれども、ブログという自分の「城」があることの意味を感じられた。この流れをTwitterで追うことは第三者である筆者には困難であったろうから。

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ちなみにある種伝説のシャニマス5thライブ初日の「目撃者」でもあられる。

同年代の友人が増えるということは実生活ではこの年になるとなかなか難しく、梶原さんの知遇を得ただけでもこの企画を立ち上げてよかったと思う次第である。

本題

余談が、ながくなった。

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筆者が新卒として社会にエントリーしたころ、「2025年問題」ということを研修で学んだ。超端的にいうといよいよ超高齢社会で医療介護分野がマジヤバいということだったのだが、筆者は「10年以上先かあ そんな先までこの会社にいるかな……」と考えていた。実際その3年後に転職した。

ビデオテープもまさか、2025年問題を抱えていたとは全く知らなかった。前述のように梶原さんとは同世代なので、筆者もVHSには大いに親しんでいた。娯楽の無い祖母の家では「ライオン・キング」のVHSを何度でも見たし、当時のCM丸ごと入った特撮番組や「スーパービックリマン」も当然VHSで録画していた。幼稚園の学習発表会だってVHSで残されている。

もちろん、レンタルビデオ店も極めて身近な存在であった。よく父に連れて行ってもらっていたのは書店と併設で、「てれびくん」を買ってもらったついでに何かしら1本レンタルしてもらうと週末のハッピーは確定と言ってよかった。「字幕スーパー」の意味が分からず「スーパーだからこっちの方がいいだろう」と選んだらダース・ベイダーがめっちゃ英語で話してきて怖かったなあ……。(子どももの映画は「字幕スーパー」がやたら余ってて「吹き替え」は全部貸し出し中……というあるあるももはや平成の遺物となっていくのでしょうか……)

我が家の初めてのDVDは確か「ハリー・ポッターと賢者の石」で、遊び心のある特典DISCに夢中になったのを覚えているが、それでも兄弟で留守番の時はそれまでに培ったVHSライブラリが大いに活用され、一度弟がレゴを詰め込んで破壊したが、買い替えたプレイヤー自体はまだ実家にあるはずである。

kimotokanata.hatenablog.com

大学生になり、筆者はレンタルビデオ店のアルバイトをはじめたが、2008年、既に「レンタルビデオ」はほぼ確認できなかった。所有する側とすればズシリと存在感のあるVHSはコレクター心も満足する代物なのだろうが、レンタルする側からすれば売場面積を圧迫し、既に導入から年月が経って劣化によりトラブルが発生しやすいいわば「厄介者」で、あらゆるタイミングで駆逐されていたのだ。

ただし、今の倫理や出演者のやらかしによってDVDでの再販が絶望的なもの、需要はあるがなかなかでないものはあり、おっかなびっくり貸し出していたものだ。それでも4年間のバイト生活で10回も貸し出したことはないかもしれない。特撮ファン的な視点で言えば、ハヌマーンが登場する「ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団」のVHSを見た時はちょっと興奮したことを覚えている。

なので渋谷TSUTAYAがレンタル事業を止めた、というのは当時そのニュースに触れた時衝撃だったのだが、今回梶原さんの記事を拝見して「その時までレンタルビデオもちゃんと貸し出してた」というのを知ったときはまた別の衝撃を受けた。セカンドインパクトである。(誤用)ちなみに筆者がバイトしていた店舗も存続はしているが、レンタルはコミックだけになってしまっているらしい。しかし記事中のVHSがずらっと並んだ写真、何とも言えないノスタルジックな気持ちになる。

レンタルビデオではないのだが、我が家にもVHS…というかあの時代だから出た変な映像作品があって、ゲーム「ソニック」のハイスコア映像? を収録したもの。今ならYouTubeで攻略動画として出されるのだろうが、時代の徒花という感じである。

いやあいいノスタルジーだった……とおまけの「アトロク」に登録された文章を読み始めて再び驚く。

シネマハンドブック。筆者が知っている店舗では確かTSUTAYAポイント300ポイントと交換。100円で1ポイントと考えると30,000円のガイドブックということで、TSUTAYAに集う映画好きと言えどもほとんど交換する人はいなかった。のち現金でも買えるようになった記憶があるが、更新特典だったら欲しいよなあ、と思う。

思い出深いのは梶原さんも写真を載せている2012年版で、筆者が敬愛する作家である伊坂幸太郎先生が、筆者が最も愛する特撮作品である「AtoZ運命のガイアメモリ」を紹介されており、そのあまりにも筆者欲張りセットぶりに感動した覚えがある。

自分が書いた「AtoZ運命のガイアメモリ」のPOPがあまりに稚拙に覚えて取り外し、その代わりに「MOVIE大戦CORE」のPOPを大急ぎで書いたのだった。このPOPも現存してないんだろうなあ。

3選の映像にいつか触れることができるのか、筆者がこれからの人生を歩む楽しみが増え、ありがたい記事であった。ご寄稿ありがとうございました。