カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

煎じ詰めれば千字になるか・望郷編

またまたまた、こんな時間(23:27)である。

大学時代よりお世話になり続けているT先輩ご夫妻から今年も牡蠣をいただいた。「ケンミンショー」で話題になっていたが、マジで一斗缶で届くのでビビる、のも慣れてきた。ありがたいことに十年近く送っていただいており、そのご厚情になかなか報えず心苦しい限りである。

友人の結婚式の際に一泊させていただいたことがあり、その際には二人きょうだいであったお子さんは三人となり、長女さんはランドセルを背負っているというから月日の流れは恐ろしい。ご伴侶も同じく先輩であり、在学中からお二人とも大変気配りのきく方々であったが、毎年の年賀状を見るたびに、それがご家庭にもいきわたっていることがありありとわかり、その笑みに元気をもらっている。

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殻付きの牡蠣はいつも抜群のおいしさであるが、ことに今年はそれだけでなく大物が多いようにも思え、食べ応え抜群であった。

せっかくなので同じく瀬戸内のものと合わせていただいた。

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広島県東広島市西条は筆者が腐れ大学生生活を錆びたラッパで吹き鳴らした場所であり、日本有数の酒どころでもあることは以前も述べたかもしれない。鹿児島からの帰路、新幹線とローカル線の違いとはいえ福岡→広島間と広島→東広島間の所要時間がほとんど変わらなくてなんか騙されたような気分になったことを思い出す。

ちょうど今みたいな寒い夜、西条の冬の夜は本当にファッキンコールドとしか言いようのない寒さであるのだが、腐れ大学生どもはうっかり宴の最中に酒を切らした。決死隊がコンビニ(遠い)へ向けて出動する。

一年坊主の失態でありながら、その買い出しに付き合ってくれたのがT先輩であった。その天性の明るさで道中の気温は五度くらい上昇したように思え、我々はなんとか調達に成功したのだった。

その時の酒が山陽鶴で…となると美しいのだがなにかしらチューハイであったと思う。今回牡蠣と合わせた山陽鶴は新型コロナが地方にも忍び寄りつつあった一昨年の二月、慌てて帰省した際の土産に広島駅で買ったものだ。まさか二年以上帰ることができなくなるとは思わなかった。パッケージにひかれて買ったが、牡蠣の海の味をさっぱりさわやかに洗い流してくれるきりっとした味で、初めてなのに懐かしい。

情報網の発達で東京でも北京でもすぐそばにあるように思えてしまうが、だからこそこういったとき一層実際の距離をひしひしと感じる。帰りたい。

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