カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

余談無し! 妻におねだりされた「ホワイトデーのお返し」が最高だった話。

妻は猫っぽい。別に筆者のかわいい子猫ちゃんというわけではなく(ジャバ・ザ・ハット界一かわいいとは思っている)やたら生魚が好きなのである。

20日頃、バレンタインに無事チョコレートを妻よりいただいた筆者はそのお返し候補をプレミアムバンダイでリサーチするのに余念がなかった。

因みにその時の候補はこちら。

p-bandai.jp

現在の妻の化粧ポーチがだいぶ古びているのでその代替にと目論んでいた。妻がとみにご執心である刀剣乱舞グッツを贈ることにより家庭円満家内安全言語道断横断歩道は最早揺るぎないかに思われた。贈り物というのはサプライズと想定通りのせめぎ合いにいつも悩まされる。クリスマスは前者をとったので今回は後者をということでいくつかの候補を挙げ、妻に打診を行った。妻は健気にもそれに一定の喜びを見せてくれた後、提案するのだった。

「それは非常にうれしいけれどそれをもらっても私一人が嬉しいのだから、二人が楽しい食べ物にしてはどうか」

なるほど一理ある。こういう時の妻は既に候補を決めている。ネットで鮮魚を注文したいという。

ホワイトデーにネットで鮮魚。

妻の生魚好きもいよいよここに極まったと思いつつ筆者は不安であった。初めてAmazonで代引きを使って「西尾維新クロニクル」を買ったあの頃から既に十年以上が過ぎ、前述したように妻へのお返しもプレバンで検討するくらいネットショッピングにすっかり抵抗はなくなっていたが、しかし生鮮食品、しかも鮮魚となると見ず知らずのところから通販で買うのはためらわれた。まず捕れるのか。鮮度は大丈夫か。ちゃんと運ばれてくるのか。肝心の味は。食べきれるのか。どう調理するかわかるのか。一瞬で様々な疑問が浮かぶが、妻はすっと一つのURLを示した。検討しているサービスのHPであった。一読して後、筆者は妻の申し出を了承した。それほどの力がHPにはあり、ここでリンクを貼ると読者諸賢がそこから当記事へ帰ってこられないほどであるのでURLは当記事のどこかにしれっと掲載することにする。

さて二十五日。きっかり予定日にそれはやって来た。(ホワイトデーは3/14では? とかそういうことは些細なことである。いいね?)


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まずこの張り紙に「ここを選んで間違いなかった」と安堵させられる。「いつも通りの」というフレーズが実に素晴らしくドライバーの皆さんの職人気質を全開にさせることは間違いないが、筆者のような凡百の人間はつい「いつも以上に」やそういった言葉もなく「優しい配送を」と書いてしまうであろう。

 
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獣じみて開封する我々を一瞬で敬虔な気持ちにさせてくれる。感謝。それこそがいただきますの六音に常に載せておかねばならぬ気持である。現在我が家の冷蔵庫に貼ってある。

 
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一緒に入っていたこの名刺がまた面白く、

 
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このように普通の名刺の何倍もの情報量がある(もちろん裏面もある)

www.wakuwaku-up.jp

↑こちらの会社さんの作品であるようだ。興味のある方は是非ご確認いただきたい。

 
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同じ袋には今回送られた鮮魚たちのプロフィール。どれもその生き物への愛にあふれている。

 
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そしていよいよご対面。事前にメールで伝えていただいていた通り、「モサエビ」「ハタハタ」「スルメイカ」「スズキ」「赤カレイ」であった。モサエビはまだバリバリに生きていた。

モサエビ

実はメールでラインナップを見た時、「エビか……」とちょっとがっかりしていた。ジャブだな、と「品数を稼がれたな……」くらいにさえ思っていた節もある。モサエビって聞きなれないし、別名を調べたら「クロザコエビ」でザコって……とますます期待値は下がった。最初にモサエビから食べたのも、一番ハードルが低かったからである。

活きのいいモサエビを妻が敬意を持って討ち取り、殻をむく。シンプルに醤油で食べる。明らかに妻の表情が変わる。一匹を筆者に渡す。何の気なしに口に放り込む。
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甘い。甘エビがこの味を知ったら名前負けを恥じて故郷に帰るんじゃないかというくらい甘い。実際はエビ類は〆てしばらくした方が甘みが増す(あっ将太の寿司で読んだこととおんなじだ!)と先ほどのプロフィールに書かれていたが、この美味を前にしばらくお預けなんて鮮魚の到着に胃袋のテンションを合わせていた我々には到底無理な話であった。さながらドラゴンフィッシュブローのごとく死角から打ち込まれた甘みに我々は完全ノックアウトだったのである。(それはエビではなくアロワナじゃないかという話は不問とする)盛り付けとかそんなのではなくまな板の上で剥き、醤油につけ、あるいはつけずに黙々と食べた。あっこの個体卵がついている! 将太の寿司で言ってたみたいに本当に緑色できれいでねっとりしていて濃厚でうまい! ああっ妻のやつエビ味噌をチュウチュウ吸ってやがる抜け駆けしやがって! それは後で頭殻ごと塩焼きにするんじゃい! ということもありつつしかし美味しさに包まれ平和裏にモサエビは胃袋に収まっていった。鮮度を保つのが難しく幻のエビと言われることもあるという。それを鹿児島まで活きたまま届けてくださるなんて実に有難いことである。

 
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塩で焼くという実にシンプルな調理でも素材がいいとすこぶるうまい。久しぶりに家で酒を飲んでしまうほどうまい。たまにハズレ(妻が既にエビ味噌を吸い取り済)にあたるのもまた一興であった。

ハタハタ


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ハタハタって秋田でしょ? と読者諸賢は思われるかもしれない。筆者もそうであった。が、実は漁獲量としては一位は兵庫、二位が鳥取、三位が秋田なのだという。

ハタハタって保存食にするんでしょ? と読者諸賢は思われるかもしれない。筆者もそうであった。が、このハタハタは新鮮なので刺身でも食べられるという。

モサエビを経て弁慶丸さんへの信頼度は著しく高く、我々はハタハタに対して刺身で挑むことにした。困ったことに「新鮮なハタハタ」というのはレア素材であるらしく、なかなか良いさばき方が出てこない。


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とりあえずスタンダードに卸す妻であった。魚をスタンダードに卸してくれる妻、得難い。(筆者にバレンタインデーにプレゼントしてくれたパジャマを装備している。プレゼントとは果たして……と哲学的思索を深めさせてくれる写真であると言えよう)


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またしても盛り付けを経ずしてまな板から醤油皿へそして口の中へ転移していくハタハタたち。その脂ののりの豊かさときたら。新鮮なハタハタは刺身に限ると断言するに充分であった。

しかし折角であるので焼き魚にしてみることにした。先ほどの塩焼きの成功体験をもとに筆者が挑む! ハタハタ? ホックホックにしてやりますよ!(シュババ

 
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ほろ苦いハタハタを食べたものでなければ、本当のハタハタの刺身の味はわからない。ということを学ぶ。酒が進むなあ。

 

スルメイカ


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ラインナップ時点でモサエビ同様スルメイカも筆者を正直なところがっかりさせた。イカって……回転寿司でも百円ですよ? くらいにみくびっていた。また、うまく捌けるだろうか? イカ墨の処理に失敗しリアルスプラトゥーンしてしまうのでは? という懸念もあった。無論両者とも杞憂であった。


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刺身はもちろん、ゲソのバター醤油焼き最高でゲソ……酒が進むでゲソ……。


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妻の美しいイカの解体術スキル発動ぶりも素晴らしいものがあった。

 

スズキ


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一夜明け昼食はいよいよスズキの登板となった。しかしここまでで期待値は上りに上がっている。生半可なスズキでは半可通の我々には通用しませんよ(いやな客)


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生半可なスズキではなかった。また妻の料理スキルもスズキに呼応するかのように引き上げられ、スズキのムニエルとなめろうカルパッチョが誕生した。ご飯が足りない。


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ちなみにスズキのうろこはペットボトルのふたを用いるととても快適に取れました。(ライフハック

 

赤カレイ


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そしていよいよフィナーレとして赤カレイの煮つけ。しかも幸運なことに子持ちカレイ。筆者はご存知の通り語彙力がないので万感を一言に込めるしかない。――御馳走様でした。

 

食べ終えて

弁慶丸さん(河西さん)の心意気に感じ入って購入したが、非常に満足であった。今後もぜひ購入していきたいし、より多くの人にこのサービスを知り、活用してほしい。

鮮魚、通販|弁慶丸|脱サラ船酔い漁師河西信明

また、このサービスを発見し、提案し、ほとんどすべての調理を行ってくれた妻に感謝したい。