カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

絶対振り向かない―カムバック前夜、MAMAの夜に最近のIZ*ONE(アイズワン)について。

Twelve 通常盤 Type A (DVD付) (予約特典なし)

今週のお題「自分にご褒美」

IZ*ONEカフェに行く

実は過日、妻とIZ*ONEカフェに行ってきていた。万が一ということもあり、その際アイズワン諸賢に迷惑をかけることがあったら耐えられない……ということで訪問してから早一月ほど、体調は良好なので解禁することにする。

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看板から既に可愛いの洪水が始まっている。もちろん検温他感染対策はしっかりなされ、しかも店員さんがとても見目麗しく、きびきびと検温してしまうため「このサービス有料じゃなくていいのか?」とずれた心配をしてしまうほどであった。

食事をしながら、日本活動のMVを鑑賞しつつ、順番が来たら特設会場でグッズを買う、という形式であった。

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推しを激写しようとしたらタイミングがずれてホラーになってしまったりした。

(時間帯一番乗りで他の方がいらっしゃる前に撮らせていただいた)

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同時期にツイステッドワンダーランドのコラボカフェも同運営で計画されており、オタク界隈では何かと話題の運営であったため失礼なところドキドキしていたのだが、少なくとも筆者の訪問した福岡のアイズワンコラボカフェにおいては、パスタがちょっと薄味だったくらいで料理はおいしく、バーガーも「コラボカフェ特有の固いバンズ」ということもなく、提供速度も気にならず、店員さんもとても丁寧に接してくださり、楽しい時間を過ごさせていただいた。

もちろんコロナ禍で人数制限のある今回と炎上した時とは混雑具合も違うであろうし、運営の過ちがなくなる訳ではないが、悪事千里を走るの言葉通り、悪い噂というのは尾ひれがついて拡散してしまうものであるから、このアイズワンコラボカフェについては筆者は大変満足させていただいた、ということは記録にしっかりと残しておきたい。

ランダムアイテムはどちらもイ・チェヨンさんであった。箱推しなので当りしかないのが嬉しいところである。

今更「Twelve」及び「Beware」感想・妄想・考察

「好きと言わせたい」で14歳センターのフレッシュなグループに倦怠期の歌を、(これ西野七瀬さんの卒業曲にしてMVが卒業後主婦になった西野さんが再びアイドルに……みたいな感じにしたらハマってたんじゃないかなあと今でも思う)「Buenos Aires」で心中すら思わせる駆け落ちの歌を、「Vampire」でエビ中の何周か遅れの歌を提供し、もはやミュートの方がいいのでは……とすら筆者に思わせていた日本曲。(カップリングはどれも出色の出来だけに余計に)

今回やっと「正解」に気付いてくれたか……。としみじみした。


IZ*ONE (아이즈원) - 'Beware' MV

潔く可愛さ全振りでいいのである。等身大の歌詞でいいのである。令和の世に「ハートのアンテナがピピピ」とか言い出した時はさすがにどうしようかと思ったが。

「Beware」に感じるのは恐らくはじめIZ*ONEの日本プロデュース陣が脱却しようとした「48グループらしさ」の肯定だ。同年代女子がわちゃわちゃすることで生まれるポジティブさが現れた楽しい作品になっている。


【MV full】12秒 / HKT48[公式]

また、冒頭、矢吹奈子さんが眠りにつくシーンは5年前(マジかよ)の「12秒」を思い起こさせ、「12秒」と「twelve」という「12」の符合からも狙っていたのではないか、と深読みしてしまうし、彼女らが列車に乗っていることはこれまたHKT48の傑作「大人列車」を彷彿とさせる。


【MV】大人列車 Short ver. / HKT48[公式]

もっと言えば列車のシーンは、AKB48 の快進撃前夜、「10年桜」のバスシーンを思い起こさせる。


【MV full】 10年桜 / AKB48 [公式]

ただ、そうすると「Beware」は楽しげな中に死のモチーフを感じさせるMVということにもなるのだが……(いないかのように振舞われるクォン・ウンビさん、異常事態を知らせるかのように明滅する車内、最後に一人ぼっちになるキム・チェウォンさん、真っ赤な衣装などこれまた「意味が分かると怖いMV」的解釈が出来るつくりになっているのが心憎い)

そういえばおよそ一年前に筆者は「次回の日本センターはチェウォンさんでは?」と予想したのだが今回当りということでいいのだろうか。

 

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 メンバーによる訳詞はまさに思いの乗ったもので、分けても「以後」の歌詞に再構築を果たした宮脇咲良さんの「FIESTA」は白眉であろう。筆者は昔、fromis9の「lovebomb」を訳詞しようと試みたことがあったが、冒頭から三小節くらいに直訳すると「幽玄なる雲がゆったりと広がって」みたいな日本語を押し込めなくてはならなくなってギブアップした思い出があり、それだけに脱帽である。

「yammy summer」は楽曲の素晴らしさももちろん、「夏にアイズワンでこの曲を聴きたいなあ…パフォーマンスを見たいなあ……」と思わせてしまうメタまでも取り込んだ名曲である。

「twelve」であるのに収録曲は11曲、ということでサプライズで「With*One」の日本語訳が収録されているのでは!?と期待したが、残念ながらそうはならなかった。有志訳でも感涙させられたが、ぜひ今回のようなクォリティで彼女たち自身の訳詞で聞いてみたいと思う。

PRODUCE48を巡る諸々

元プロデューサーの刑が決まり、司法によって順位操作をされたとされる練習生が明かされ、参加していた元練習生が当時の打ち明け話をする、ということがあった。また、次期カムバックのロゴではPRODUCE48の象徴であったデザインが抹消されているという。

本当に、世の中というのはIZ*ONEに平穏な11月を過ごしてほしくないのだな、と皮肉の一つも言いたくなってしまう。このタイミングで物事が動くことは当然、カムバック前だから話題になるという卑しい計算が働いているであろうから、彼女たちが日々晒される「大人」の汚さに、大人の一人として本当に恥ずかしく、申し訳なくなってしまう。

我らが「オンニ」イ・カウン(ガウン)さんの「何も申し上げることはありません」というコメントに涙が出そうであった。そう言うしかないではないか。ずっと言ってきた。誰も得をしないと。本当にそうなってしまった。真相究明委員会って、今何をしているんだろうか。ちゃんとケジメをつけてくれたんだろうか。

もう本当に、一年以上言い続けている。罪には罰である。「国民プロデューサーの投票でデビューが決まる」という約束を破ったのならば当然そこには罰を受けてしかるべきである。が、それはデビューした彼女らではない。もちろんデビューできなかった他の練習生諸賢でもない。番組制作者である。

PRODUCE48のあと、「SIXTEEN」や「Nijiプロジェクト」を見てつくづく感服させられたのがパク・ジニョン(J・Y・Park)氏の「覚悟」である。デビューするメンバーの決定について自分が責任を持つ、それでどれだけの誹謗中傷を受けたのだろう。しかし彼は屈せず、自らの良いと思うメンバーを、自らの責任において決定し、任命し、デビューさせた。

結局のところ、アン・ジュニンには、他関係者にはその覚悟が足りなかった。誰を選ぶかという苦悩を、誰を落とすかという苦痛を、国民プロデューサーになすりつけ、その深い苦しみと対になっているはずの「自分たちでデビューメンバーを決める」という栄誉はまんまとかすめ取っていたのである。恐らくは「SIXTEEN」のカウンターとして、絶対的な権力者ではなく民主的に決めよう、という建前にありながら選出方法としては劣化していたというのはとんでもないことであり、繰り返すが断罪されてしかるべきことである。

それに他練習生諸賢が不満を持っても仕方がないことだと思うし、その救済を切に望む。

それでも筆者がこの騒動に思うことは、あの大ヒット作品の言葉を借りれば、

たくさんありがとうと思うよ

たくさんごめんと思うよ

忘れることなんて無い

どんな時も心は傍にいる

だからどうか許してくれ

鬼滅の刃 57話より

 

 ということに尽きる。あの日々だけは、悲喜こもごもの100日間だけは、それに臨んだ練習生諸賢の気持ちだけは嘘ではなかったと、今でも筆者は考えるからである。

だからこそ、後ろ向きに振り向かないでほしい、そう願ってやまないのである。

また、今回話題になった元練習生さんが引退したとき、筆者は記事を書きかけていて完成させていたなかったが、良い機会であるので改作してこの記事に組み込み、供養としたい。

宮沢賢治の詩に「告別」というものがある。

教師時代の賢治が楽才があると思われる生徒に送った詩で、学校を辞め、安定した生活を捨てる己自身の覚悟も問い直すような詩だ。

その性質からクリエイター諸賢にも刺さるところが多いのか、しばしば引用されているところを見る。

賢治は、生徒の楽器の才能の可能性について述べた後、こう続ける。

けれどもいまごろちゃうどおまへの年ごろで
おまへの素質と力をもってゐるものは
町と村との一万人のなかになら
おそらく五人はあるだらう
それらのひとのどの人もまたどのひとも
五年のあひだにそれを大抵無くすのだ
生活のためにけづられたり
自分でそれをなくすのだ
すべての才や力や材といふものは
ひとにとゞまるものでない
ひとさへひとにとゞまらぬ

宮沢賢治春と修羅」より

……賢治、プデュ見てた?

PRODUCEシリーズは良くも悪くもその後の参加者の去就に注目が集まる。最終合格者はもちろん、最終まで残った者たち、デビュー組、俳優転向、または引退など……置かれた場所で咲きなさい、というのは置いたものの怠慢にすぎない。どれほど努力をしても、このアイドル戦国時代、継続して売れるというのは並大抵のことではない。

もしもおまへが
よくきいてくれ
ひとりのやさしい娘をおもふやうになるそのとき
おまへに無数の影と光の像があらはれる
おまへはそれを音にするのだ
みんなが町で暮したり
一日あそんでゐるときに
おまへはひとりであの石原の草を刈る
そのさびしさでおまへは音をつくるのだ
多くの侮辱や窮乏の
それらを噛んで歌ふのだ
もしも楽器がなかったら
いゝかおまへはおれの弟子なのだ
ちからのかぎり
そらいっぱいの
光でできたパイプオルガンを弾くがいゝ

―引用元同じ。

かつて「べしゃり暮らし」で「絶対に売れる方法」をお笑い養成学校の校長が伝授する、というエピソードがあった。

絶対に売れる方法。それは、「売れるまで頑張ること、しがみつくこと」であった。もちろん、それが出来れば苦労はしない。出口が見えないトンネルを歩き続けることほど辛いことはないだろう。

けれど筆者は南の果て鹿児島から九州新幹線「さくら」に乗ってやってきて、ビジネスメロンパン、ダンスが下手、ごり押し、頭打ちといわれのない非難を受け続け、華やかなりし青春時代をかなぐり捨てて10代をアイドルにささげた宮脇咲良というアイドルを、鹿児島の、いやアジアの、いやいや世界の誇るべき金字塔を見るにつけ、この「歩き続けたアイドル」を見るにつけ、やはり賢治のこの詩が思い出されるのである。

その時彼女が思っていたのは一人の優しい娘ではなく、ファン諸賢であり、かつて彼女が過去現在未来全てのファンを肯定して見せたのは以前記したとおりである。

 

kimotokanata.hatenablog.com

 この気持ちをすべての練習生に持てというのはやはり厳しいのかもしれないが、少なくともPRODUCE48において、ファンのついていない練習生など存在しなかった。そのことを心のどこかに留めて、誇りを持って過ごしていって欲しいと思うし、そういうルーツの一つであるPRODUCE48の象徴がデザインから消えるのは、やはり個人的には寂しいものがあった。

2020MAMA

去年の仕打ちを忘れたわけではないので個人的には裏番組で長時間コンサートとかしてほしさもあったのだが、やはり晴れ舞台に立つ推しを見るのは嬉しい。花三部作の更にブラッシュアップされたパフォーマンスに続き、「Panorama」の不意打ちは喰らった。そのすさまじさたるや、TLで登場に沸き立っていたウィズワンが突如押し黙り、パフォーマンス終了後放心したかのように賞賛のツイートをぽつぽつと投下したところからも推し量れるであろう。またしても「正解」が提示され、果たしてアイズワンの「解」はいくつあるのだろうか、と思うことしきりである。

カムバック時に改めて単独で記事を書きたいと思う。

かつてストレイド卿は言った。「人間にとっての『最高』ってヤツは『変わっていく』ってコトだろうからな」と。

アイズワン諸賢を見るたび、実感する筆者である。

蛇足

Mwaveで申し込んだBloomIZ、まだ手元に届いてません……。