カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

僕の好きな人がよく眠れますように――IZ*ONE ONLINE CONCERT [ONE, THE STORY]完全ネタバレ感想・妄想・考察

初めての二日間連続のコンサート、[ONE, THE STORY]をIZ*ONE(以下文中アイズワン)が開催した。

恐らくは少なくとも韓国での活動の集大成となるだろうコンサート。

アルバム四集を半分ずつに分けてパフォーマンスを行うのかな、と思っていた。

初日。深紅の衣装で始まったLa Vie en Rose。彼女たちの始まりがそうであったように。その動きは研ぎ澄まされている。どころか張り詰めた、何か危うさと決意を感じさせるような――。

正直なところ、そのパフォーマンスについて筆者が付け加えるべきものは何一つない。

というか、その辺りのことについてはこちらの方のブログが完璧に「おっしゃる通りです」という感じであった。こういう感想が書きたい。

hihi17a.hatenablog.com

それぞれがそれぞれの良さを更に十二分に発揮して各々の最高を更新していったことだけは確認できたが、その詳細を語るにはこの記事ではあまりに狭く、筆者の語彙は少なすぎる。

とくにソンミ先輩のカバー曲であるフルムーンは傾国の美女という概念が形作られたようで最高だった。

アコースティックにアレンジされた楽曲はまた違う顔を我々に見せてくれ、その牧歌的な様子はまさにpanoramaで歌われたキャンプファイアを囲んで行われているようであった。OPEN YOUR EYES, UP, Airplane, SPACESHIP――どこまでもどこまでも、キャンプファイアの煙に乗せて遠く遠く飛んでいくような、澄んだ気持ちのいい歌声だった。

そこから千古不易の詩、FIESTAに続くことで妻と二人で「えっ明日やる曲ある?」と勝手に心配をし始めるが、そこで白い羽が舞い散り、アイズワンの物語に羽根が挟まることで「新章」が生まれるかのような演出が挿入される。

ああ、そうなのか。

筆者は勝手ながら、腑に落ちていた。

kimotokanata.hatenablog.com

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 筆者はFIESTA以降のアイズワンのコンセプトの中に「平行世界」「多元世界」的なモチーフを感じ取っていたからである。

そして今回、FIESTAの後に散ったこの羽根がFIESTAのMVでクォン・ウンビさんが扮していた白い羽毛を持つ白蛇「ケツァルコアトル」のものだとするならば――。

我々のいるこの世界はその力によって改変された世界、本来ならば「長い冬」のまま、FIESTAが陽の目を見ることがないままアイズワンが活動終了することを突破できた世界だということを示唆しているのだろう。

その先が「幻想」というのが何度も皮肉めいているが。

そしてpanoramaにおいては、彼女たちは世界線をこれ以上変えることを望まない。

しかし、衣装が「我々の知るPanorama」の色違いであることが、更に枝分かれした世界であることを感じさせるような気さえする。

それでも、こうしてこの世界線のアイズワンは[ONE, THE STORY]へと着地するのである。

ある物語、それはここに至るまでも既に奇跡の連続の軌跡であったと読み手であるウィズワンに改めて実感させるものであった。

宮脇咲良さんに訳詞してほしい曲第一位「WithOne」を経て、チェ・イェナさん作曲、秋元康氏作詞の「lesson」がサプライズで披露される。やすす、お前がコーラ注ぎ芸で注目した女の子はお前に作詞させるまでになったぞ。

 

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 秋元康という人の毀誉褒貶についてここで今更語るつもりはないが、やはりこの人のこういう嗅覚というか、センスというか、このタイミングで曲提供しておくか、という策略の嵌めっぷりは恐ろしいものがある、と改めて思う。どうしてそれほどの感性を持ちながら14歳最強マンネが率いるグループに倦怠期の歌を歌わせたり逃避行の無理心中みたいな歌を歌わせたりエビ中の二番煎じみたいな歌を歌わせたりしたのかは永遠の謎である。

「少女たちよ」の昔から言ってしまえばマッチポンプな歌詞を書く人だけれど、PRODUCE48時代に提供した神曲「好きになっちゃうだろう?」のように一般化とアテ書きのギリギリを攻めて多くの「アイドル」へ代入可能にするところは見事である。

 

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「夢」について。同じく秋元氏がPRODUCE48に提供した「夢を見ている間」では「いつかは叶ったり叶わなかったり」とされた夢が、「lesson」では「いつか手が届くもの」とされ、その関連性が感動を呼んでいた。

あくまで「候補生」であり、その後一般人へ戻った練習生たちも慮った「叶ったり叶わなかったり」に対してアイズワンになったからには夢を叶えるという秋元氏の気概が感じられるいい対照性だと思う。

この間に筆者としては、上記に記載した記事でも書いたが、宮脇咲良さん終生の盟友でありライバルである兒玉遥さんに秋元氏が送ったという「夢は手を伸ばしたその一ミリ先にある」という言葉をも内包しているのではないか、という妄想を付加しておきたい。

個人的には「夢を見ている間」の対比も見事だが、「好きになっちゃうだろう?」では「あんなに頑張っていたのに思うような結果が出せない」とされていた彼女らが「頑張ってよかった」と「lesson」では変化していたのも良い対比になっていたと思う。

その後のビデオメッセージについてはそれ自体は素晴らしいものだったが、どうも(彼女らにとって)騙し打ちのような印象が強く、また運営に悪印象を持ってしまうこととなった。

 アイズワン諸賢への愛情と反比例して運営への不信感が強まり、奈子さんの夢に出てこられたかが定かではないが、自分自身はひどい悪夢を見た。

2日目。カン・ヘウォンさんからプライベートメールが届き、心底ほっとする。その後、アン・ユジンさん、チェ・イェナさん、イ・チェヨンからも着弾。かすかながら「日常」を感じて嬉しくなる。

そうして夕方、上がった幕の前に現れた彼女たちは昨日のことを感じさせないほど美しく、力強い。ただ、いくらか表情が昨日より柔らかいようにも思えた。昨日と大筋のセットリストをなぞりながら、まるで平行世界で別の世界でやり残したことをやり直すかのように昨日の不足を補っていく彼女たち。ピンクの民が昇天したことを確認。

そうして今度はウンビさん作詞作曲の新曲、「Only One(平行世界)」。ド直球に平行世界が肯定されてちょっと驚く。歌詞の良さに泣く。頼むからこの辺、まとめて音源化してくれ。

もう今日もあと五分、ここのところのパターンでやっぱり怒りや悲しみが先に来てしまってボロボロの文だけれど、今日この時に書き残しておくことに何かしらの意味がある、と思いたいので、ここまで書いて、筆を置く。

アイズワン諸賢が謝ることは何一つない。何一つ誤ってなどいない。

明日もプライベートメールがくることを信じて、今日は沢山悲しむことにする。

アイズワン諸賢、二日間本当にお疲れさまでした。妻や家族は別として、今最も好きな、気になる人々かもしれない。

僕の好きな人が良く眠れますように。

愛は祈りだ。僕は祈る。

 

 

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