カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

鬼が滅びる前に俺(三人兄弟の長男)の精神が滅びそうなので鬼滅の刃段階(アニメ/単行本/本誌)別感想を今のうちに記しておく:アニメ編

今週のお題「好きな漫画」

余談

以前、週刊少年ジャンプを長い間読んでいない、ということを書いたが、それ以降も結局読めていなくて、ただただ定期購読の引き落としがなされていた。様々な事情で家計を見直すことがその間いくつかあったものの、しかし定期購読はそのままにしていた。それは月900円の節約以上に、何か大切なもの……少年の心を売り渡してしまうような、気がしたのである。

このツイートをしたときは単行本で言うと10巻くらいの時で、既に鬼滅の刃は大人気になっていた、と思う(次の週が巻頭カラーだった)筆者も「ジャンプ体力」が落ちていてもこれは読む、という作品だった。

が、この時筆者は結構限界に来ており、ツイログを見ると1日1ツイートの日々が続いていたりもし、段々とフェードアウトしてしまった。どれだけ対象が面白かろうと人間、辛いときはインプットをどんどん狭めてしまうものである。

同じような状況にある方、特に今は季節の変わり目で体調を崩しやすい時期であるから、どうぞご自愛いただきたいと思う。

本題

さて本題である。そんな鬼滅の刃、ますますもって面白くなっているらしいという話は様々なところから聞こえてきて来た。妻も同様であった。

妻「○○さん(妻のSNS上の名前)絶対好きですよこの話! って結構お勧めされるんだよね~ 気になってて……でも結構既刊出てるんだよね……」

Twitterにおけるサブリミナル布教の確かさを物語る出来事である。

筆者としても気にはなっていたものの、まとめて買うとそこそこのお値段、最近は外出も多かったしちょっと二の足を踏んでいたところであった。

そのタイミングで鬼滅の刃のアニメ化を知った。というか、もう終わる直前で、Amazonprimeで視聴が出来るのだという。

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早速我々はその夜より鑑賞を始めた。気づけば9話まで見ていた。

3日間で26話を走り切った我々がなすべきことは1つであった。

原作コミック17巻の一括購入である。

さまざまな感情が走り抜け、感情を落ち着ける為に「命の母 ホワイト」を飲んだりしながらもあっという間に読み切ってしまった。

しかし渇望は止むことがなかった。妻も同様であったがしかしエンドルフィンがドバドバ出ておりそれをいつものような活かし方をしているようであって、息災で何よりである。

知りたい…続きが……。

世論「鬼滅の刃すごく面白いよ」

↓(primevideoにあることを確認)

我が家「アニメだけなら……。」

↓(視聴)

良質のエンターテインメントの摂取により一時的に欲求は満たされます

↓(全話視聴)

我が家「続きが気になる 劇場版は来年」

↓(原作全巻購入)

体に耐性が出来て単行本で満足することが出来なくなります

と、ここで定期購読が生きてくるのである。有難う過去の筆者。まだ、ちゃんといたぜ……俺の心の中の少年は……でもさ……へへ、年かな……呼吸の型の名前、もう全然覚えられねえの……羊肉ショットの部位名は今でも言えるのにな……。

ともあれ先週、単行本未収録分を全て追いついた。今から単行本に追いつこうと考えている人は、2019年18号(4月1日発売号)から読み始めると良い。表紙も鬼滅の刃で判り易い。

そうして筆者は三度、続きを渇望することとなる。しかし今後は、最大でも1週間に1話ずつしか行われない供給を待つしかないのである。ああ、この懐かしい感覚……。今週は祝日のため土曜日に服薬することが出来たが、しかしそれは同時に次までが長いということでもあり……この気持ちを持ち続けられるうちはまだジャンプを読んでいきたい、と思う。一段落したら青春兵器ナンバーワンの菩提を弔いたい。好きだったんだよ……。というか約束のネバーランドも佳境らしくてビビる。

本題の本題

さてこの記事の趣旨はそういったことで筆者は一気に最新号にまで駆け抜けてしまったけれども、現在鬼滅の刃においては大きく分けて3パターンネタバレの範囲があることから、段階に分けてその感想、ともすれば考察を述べていこう、といったものである。

本来はこの記事に1つにまとめようかとも思ったが、折りたためる「続きを読む」は使えるのは一度きりらしいので、記事も3つに分けることにする。寒暖差の激しい季節、不意のくしゃみが悲劇のスクロールを誘発することもあるだろうし、「追いついてからまとめて読もう」よりは適宜読んでいただいた方が筆者としても嬉しいからである。

 

ということで以降は鬼滅の刃アニメ26話(原作6巻まで)までのネタバレが含まれます。

 

はい。ということでネタバレである。大丈夫だろうか。未見の諸賢はいないだろうか。検索からやってきて未見の諸賢がいるのならば今すぐ引き返してほしい。面白いから。そしてそのあとまたこの記事に帰ってきてほしい。出来たらブックマークもしてほしい。シェアもしてほしい。

ここまであからさまな我欲をむき出しにしたら心の広い読者諸賢のみが残ってくださったことと思うが、しかしアニメは面白かった。筆者は実のところ、原作はとぎれとぎれにしか追えていなかったため、補完としてもかなり有り難かった。

それにしても、大正時代というチョイスからしてまたいい。

 文明開化の明治時代を経た大正時代、そんな時代に鬼とはナンセンスな……いやいや、そんなことはなく、まだまだ人の心に妖怪は生きていたのである。

大正期怪異妖怪記事資料集成 上巻

大正期怪異妖怪記事資料集成 上巻

 

 めちゃくちゃ欲しいがさすがにちょっと手が出ない。prime対象で配送料無料だがそういう次元ではないだろうという気がする。ともあれここに記されているのは大正という時代において、新聞記事という形で人々の前に現れた妖怪(ばけもの)たちである。1話で老人が心配するように、まだまだ都会を少し離れた場所では妖怪たちと我々の彼方此方は思いのほか近くにあった。

帝都妖怪新聞 (角川ソフィア文庫)

帝都妖怪新聞 (角川ソフィア文庫)

 

因みに明治はもっと近かったので安心して欲しい。こちらは同じ作者さん(先の台風で被災された川崎市民ミュージアム学芸員を務められていた方である)でグッとお求めやすく、電子化もされている明治時代の怪異の新聞記事をまとめたものである。淡々とまとめられているが副読本として読んでみても良いかもしれない。

そんな妖しさ、ロマンに満ち溢れた時代においてつけもつけたり「残酷」というサブタイトルでこの物語は幕を開ける。

重い物語である。けれどどこか、あっけらかんとした明るさがある。これが司馬遼太郎が言う所の先の時代の楽天主義から来ているのかはわからないが、しかしどこか一筋の光明がある。

筆者はその理由の1つが台詞回しにあると考える。どこかとぼけたような、でも確実にみんな真面目である台詞回しが、間も合わさって何とも言えない愉快さ、痛快さがある時がある。 例えば鋼鐵塚さんが初めて日輪刀を持ってきたときのかみ合わない会話であったり、炭治郎が己を鼓舞するところであったり。「次男だったら死んでいた」という台詞など謎の説得力があり長男たる筆者は実生活でもしばしば最近使っているが、こういった有無を言わせない勢いと只事ではないボキャブラリーの組合せは筆者においてはギャグマンガ日和を思い出し、特に日常編においては大変な癒しとなった。ネームを追っているだけで楽しい漫画というのは特に近頃本当に稀有である。

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そして、月並みな言い方だがキャラクターがとてもいい。自己を確立している。ここまで完成された状態を筆者は「キャラが立ってる」と省略して記したくないくらいに。

上記の記事はいつものように非常に示唆に富んだものであって、読みながら筆者もしみじみ「自分は作劇派だなあ」と考えたりもしたものなのだが、しかしこと鬼滅の刃においてはそこだ!そこだ炭治郎!という状態で見ている自分に気づく。ともすれば炭治郎というキャラクターは余りに良い子過ぎて一歩引いた見方をしてしまいそうなのだが、その激情の気持ちがよく分かるからこそ、先に記したネームでしっかりこちらに気持ちを落とし込んでくれるからこそ、こちらもついその気持ちに自分の気持ちを乗せたくなってしまう。キャラ派(型)か作劇派(型)か、というのは決して水と油ではなく、(例えば筆者は他の作品においてはいわゆる「推しキャラ」が出た時は完全にかのキャラクターに肩入れし、場面が切り替わると俯瞰する「考察脳」が起動したりする)特に良い作品というものを規定するにおいて、一つの基準として作劇を見極めようとしているのに他方の自分がキャラクターの激情の津波でサーフィンをしたがる、というのは加点要素としてもいいのではないだろうか、とこの作品に触れて思った。

アニメにおいては特に、「家族」というものを軸に構成されていて、それが最後に綺麗に炭治郎と累の対比という形で収斂していく様が小気味よいが、そんなことは観終わってから思うことであって、観賞中は手に汗握りながら呼吸……!呼吸だ炭治郎!という面持ちであった。しかし見返すたびに累は母や姉妹に対しては並々ならぬこだわりがあるようであるのに父と兄(特に兄)に対する造型はめちゃくちゃ適当に感じてちょっと笑ってしまう。

戦闘の動きがバキバキにいいのでおやと思ったらやはりufo tableさんであった。活撃刀剣乱舞の劇場版……ずっと待ってます……。この作画の良さでパワハラが繰り出される最終話は完全にシリアスなギャグで何回も見直してしまった。女装してまでパワハラする情熱を誇る鬼舞辻無惨、本物である。26話中、一番鬼の戦力を削ぐのに貢献してんのこの人じゃねえかな。妻に言われてからどんなシーンでもネイルアピールを欠かさないように見えてしまってならない。

これに豪華声優陣が更なる立体感を与えてくるのだから恐れ入る。お堂の鬼が緑川光さんなのである。ジャンプ漫画の系譜で言えば流川楓だ。お堂を開けた瞬間「何人たりとも俺の食事を妨げるやつは許さん……!」とか言ったらどうしようかと思ったがさすがにそんなことはなかった。他にも前述のパワハラで瞬殺される鬼たちもどうして……と思うくらい豪華で、スタッフロールのたびに夫婦でどよめいていた。

取り留めないが、あっという間に4千字を超えてしまったので今日はこの辺りにしておく。第2夜、単行本17巻までのまでのネタバレにてよろしければまたお会いしましょう。しかし算用数字で統一すると結構違和感があるな。