カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

あのババルウ星人と僕らについて

余談

シン・ウルトラマン前夜。(デビルマン視聴当日。)筆者は、シン・ウルトラマンの物理ムビチケを購入していた。鑑賞は難しいだろうと思っていたが、このウルトラ界隈のお祭りにささやかながら参加と貢献をしたかった。

また、このムビチケには特典があり、それもまた目的の一つであった。

m-78.jp

↑サムネ画像がリンク切れになっているのがマジでそういうところだぞというしかない

ツブラヤイマジネーション。ウルトラマンシリーズ、円谷作品を含む約1,700エピソードが見放題(公式による)のサブスクである……いや、ウルトラサブスク(公式による)なのである!

kimotokanata.hatenablog.com

昨年「ウルトラマンの日」に何度もCMが入ったことも記憶に新しい。その後、ティガやダイナ(順次配信中)も解禁されるなど、ますます充実しているようである。

このツブラヤイマジネーションに加入かつムビチケを購入することによって「シン・ウルトラファイト」を先行視聴出来るのだ。

しかも五月中はスタンダードプランは無料。(別途無料プランとプレミアムプランがある)前回は月の半ばで解禁して実質半月無料だったことと比べると大盤振る舞いである。

こういった形で劇場鑑賞は出来なくともシン・ウルトラマンの外堀を楽しんでいきたい……という気持ちがあった。のち実写デビルマン視聴という功徳と妻の寛大さによって鑑賞も果たすわけであるが。

そんなこととは露知らず、デビルマン鑑賞後の筆者はその荒涼とした心をツブラヤイマジネーションに癒してもらうことを期待した。例によって、娘は人類が四足歩行を極めるとこうなっていくのだろうというスピードのハイハイで広くもないリビングを蹂躙しており、あらゆるコードを抜く・齧る・舐める恐れがあるため、ノートPCの使用はあきらめ、片手で抱きかかえながら、スマホで設定をする必要があった。

こういったものはブラウザからアクセスしてもアプリのダウンロードを勧められるのが常道、初めからアプリをインストールしておくか……とストアを起動し、「ツブラヤイマジネーション」で検索する。

だいたい「つぶらや」くらいでサジェストが出そうなところ、気配がなく不安になりつつも全文字打ち込んで検索するが、出ない。

つぶらや」で再検索すると、出た。じゃあさっきサジェストしろや!

デビルマン鑑賞後ということで若干心がデーモンになっちゃったよー、な己の心を鎮めつつ、ダウンロードし、アプリを開く。このアプリケーションの利用には「TSUBURAYA IMAGINATION」への登録が必要であるという。

そりゃそうだろう。早速登録したいのだが……。

アプリはその登録手順を丁寧に解説してくれる。

1.webブラウザから「ウルトラサブスク」と検索。

2.TSUBURAYA IMAGINATIONのwebサイトからアカウントを作成。

3.ログイン

4.IMAGINATION(イマジネーション)の宇宙でお待ちしています!

に……二度手間……!

「お待ちしています!」といいながらアプリ内でブラウザを開くでもなくリンクを張るでもなくまさかの「てめえで検索しろ」という扱い。しかも「ツブイマ」ではなく「ウルトラサブスク」。じゃあもうサービス名もそれでいいじゃん。

しかもこの後独自アカウント「TSUBURAYAアカウント」を作成するとdアカウントも要求されるという昨今他サービス(Twitterとか)認証も主流になってきた中二重に個人情報を要求させ三度手間四度手間が発生、決済手段はクレジットカードしか受け付けず、クーポンコード入力も通ってんのか通ってないのかわかりわかりにくい。

そもそも公式トップページにアプリダウンロードのリンクすらなく、我が家の主砲・FireTVには非対応。(クロームキャストには対応している)

2004年製作映画で初代のリブート的作品であるから見比べたいと思う「ご新規」が沢山いるであろう「ULTRAMAN」はなぜか未収録。(ウルトラニャンはいるのに……)

余りにも想像力(イマジネーション)が足りないTSUBURAYA IMAGINATIONに思わず本当の悪魔はお前たちだといいたくなってしまうが、何とか登録を済ませることができた。いつの間にか、腕の中で娘は眠りに落ちていた。悪鬼と化した筆者の形相を見せることがなかったのは幸いである。

紙ムビチケのため、「シン・ウルトラファイト」の鑑賞は届いて以降である。(即日見たいという気持ちより紙で手元に残しておきたいという気持ちが優先した)時刻は23時半。無料期間を無駄にしたくないし、動作確認のためにも一つくらい見ておきたかった。ハッピーバースデー、ツブイマン(TSUBURAYA IMAGINATION登録者の意味)。

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筆者の観測範囲内においても屈指の特撮、分けてもウルトラへの真摯な愛とディープな考察、トリッキーな視点を併せ持つゾー…いやぞひ丸さん。

氏に以前、「ウルトラマンレオ39話でキングが現れるやジャックに接触してまで全力でキングのもとへ走り寄り媚びるゾフィー」を紹介していただいて以来、TSUBURAYA IMAGINATIONに加入したら絶対に見たいと心に誓っていたのである。

開始早々、そのシーンを確認しつつ、画面の豪華さに目を奪われ、ウルトラ兄弟へとレオ・アストラが加入するラストにしみじみとするのであった。

さて、もう一度該当シーンを確認して今日は床に就くか……とマイページ欄を見ると今時「視聴履歴」は無く、「視聴中の動画」のみ。レオの場合は次話の冒頭となっていたが、映画などの場合はそのまま消えてしまうのだろうか?

ノー・イマジネーション(想像力皆無)……!

ツブラヤイマジネーション……ノー・イマジネーションッ……!

シンからの新規が見込まれるこのタイミング、是非とも改修していただきたい。

とりあえずゼアスは観るつもりであるが、他にお勧めの作品(エピソード単位でもぜひ)がありましたら是非ご教示ください。

本題

余談が、ながくなった。

ウルトラマンオーブのネタバレがあります。

5/21。家事もひと段落し、晩御飯はテイクアウトを調達済。妻子は午前中の外出を癒すため、うたた寝をしていた。

筆者もそれに加わろうかと思ったが、良い機会だと思い、「ウルトラマンオーブ」の続きを鑑賞することにした。

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ウルトラマンジードの完走後、続けて見始めたオーブ。しかしこの間にも娘は前述したように進化を遂げており(成長と言え)、トレーニングしながら視聴は困難な日々が続いていた。また、ジードの時も「もっとじっくり向き合って見たかった」という場面が幾度かあり、一人で集中して鑑賞できる時間を設けたかったのである。

4話目から視聴を再開する。もちろん、ツブラヤイマジネーションではなくAmazonプライムビデオである。大画面で特に難しいこともせず見られるなんてすばらしい機能だなあ。

1970年代からタイムスリップしてきたかのような「イケメン」というよりは「ハンサム」という形容が似合う男、クレナイ・ガイ。SSPという愛すべき素人たちと時にはアンジャッシュ的すれ違いコントを行いながら、交流を深めていく。

出てくる怪獣の造形は筆者も知っている歴代ウルトラマンの強敵がさらにリアレンジされたような姿もちらほらあり、魔王獣という呼称にふさわしい威厳と禍々しさを備えていた。

その怪獣に対し、ガイは歴代ウルトラ戦士の力を借りて対抗していく。そして倒すたびに新たな戦士の力が宿ったカードを手にし、時には今までにない組み合わせで新フォームを繰り出していく。

だが、その陰では因縁ある男・ジャグラーが怪獣カードによって災厄を引き起こし続けていた……。

当たり前のようにカードが展開するので最初は戸惑ったが別に理由なんてねえよ!、6話からその背景が説明され、一気に没入度が上がっていった。

「歴代ウルトラマンの力を組み合わせて主人公が変身」

慇懃無礼な敵役が主人公と同じツールを使って暗躍」

など、後年のジードから先に入った人間としては「ここが良かったから翌年も活かされたんだな」という面がちらほら見えたのは興味深かった。

特に筆者が心を揺さぶられたのは、ラゴンがどんどん可愛く見えてくる「都会の半魚人」を経ての「ニセモノのブルース」であった。

ニセモノのブルース

登場するのはババルウ星人

そう、奇しくもツブラヤイマジネーションで視聴したレオ39話(と、38話)に出てきた敵役と同じなのである。

惑星侵略連合(なんてわかりやすい組織名なんだ)に所属するババルウ星人ババリューはオーブの信頼を失墜させるため、にせオーブとして地球に降り立つ。

さあ、破壊の限りを……というところに地底からテレスドンが出現。想定外の事態にあわてるババリューは偶然にもテレスドンから子どもたちを守る。

逃亡中、SSPメンバー、ジェッタに人間体で遭遇し、ババ・リュウジと名乗り、先ほどのオーブは自信が変身した姿であると半ば強引に言質を取られる。

約束をあっさり破りジェッタは前述の子どもたちにババ=命の恩人(にせ)オーブだと教えてしまう。ババにとって初めてかけられる、感謝の言葉……。いつしかババと子どもたちは信頼関係で結ばれるが、惑星侵略連合からの催促との板挟みに苦悩する。

再び(にせ)オーブに変身するババリュー。

「宇宙人を倒して!」という子どもたちの声に応えて。

あるいは「早く破壊を行え!」という惑星侵略連合の催促に応えて。

どちらを選ぶのか。簡単なことである。彼は暗黒宇宙人ババルウ星人だ。

悪の宇宙人だ。だからいつものように――

「その子どもたちを踏みつぶせ!」

――悪の首魁の指示に従うだけだ――

「できません……そんなことはできません……オレは今ウルトラマンオーブなんです」

「確かに俺は悪の星の元に生まれた「暗黒星人」だと思ってました…。

 だけど、こいつらが教えてくれたんです。
 運命は変えられる……俺だってヒーローになれるって!」

ヒーローとは生まれではない、どう生きるかだ。リアルタイムの視聴者諸賢と違って、筆者は既にジードによってたっぷり教えてもらっていたはずなのに、にせアストラであることがばれるや否や速攻でケツをまくった同族のインパクトが強く、ババリューを信じられなかった己を恥じた。そして頬を涙が伝っているのに気が付いた。

もはや反逆者となった彼に差し向けられたケルビムに苦戦し、土埃にまみれ、正体をみんなの前に晒すババリュー。所詮ニセモノと自虐する彼の耳に飛び込んできたのは、子どもたちとジェッタのまっすぐな声援であった。

もう筆者、ボロ泣き。拙者、AtoZの風都のみんなの声援→メインテーマとともに風が吹く展開好き好き侍であるが故に……。

奮起して立ち上がるババリューだが、やはりケルビムには敵わない。いよいよ一巻の終わりと思われたときに、本物のオーブが颯爽登場し、ケルビムを打ち破った。

本物には敵わないとつぶやいたババリュー。姿を消した彼を追おうとするジェッタに、ガイは「ヒーローは風のように去っていくもの」と追いかけることが野暮であることを諭す。い、粋~!

少し時がたち、同じ公園。ジェッタは「馬場先輩」に思いを馳せるが、ガイは公園の清掃員=ジェッタの理想のヒーロー、「地味なことでも頑張っている人」の正体が誰なのかを気づいていた。

「ヒーローってのは、案外身近にいるのかもしれないぜ」

ド、ド粋~~!!

まさに30分で空想と浪漫。そして、友情。を筆者の情緒に叩き込んでくる素晴らしいエピソードであった。シン・ウルトラマンから他の「ウルトラマン」に触れてみたい、という人にもぜひおすすめしたい。

筆者が感涙にむせんでいる間もジャグラーの暗躍は続き、一人だけ牙狼みたいなデザインの真の姿を現し、惑星侵略連合は事実上崩壊、とうとう最強の魔王獣、マガオロチが降臨する。(それどころじゃないものが来てるのにタイトルが「大変! ママが来た」で笑ってしまう)

ガイが紆余曲折の末手にした新たな力、それはゾフィーと「黒き王」ベリアルの力を融合させた形態、サンダーブレスター。光と闇の力が合わさり最強にみえる……かどうかは定かではないが、カラーリングがめちゃくちゃ格好いい。

その放つ光線の禍々しいエフェクトに懐かしさを感じるのは先にジードを履修したものの特権であろう。

辛くもマガオロチを撃破し、1クール目は終わりを告げるのだった……。

どちらかというと縦軸を追うのに忙しかったジードに比べ、各話の独立性が高いような印象を受けた。テンポが良く、一話があっという間に過ぎていく。

ここから借り物の力で戦っているオーブが本来の力を取り戻す時が来るのか、おそらくナオミのご先祖? であろう金髪碧眼の少女とのガイの悔恨のエピソードはどのように解決するのか、放送のたびにTLが揺れる人気番組「尊哉の部屋」を生み出すほどの人気を持つジャグラーの魅力がどのように発揮されていくのか。楽しみに見ていきたいと思う。