カナタガタリ

すごくダメな人がダメなすごい人になることを目指す軌跡

リスタート期す胎動――ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 6th LIVE <<2nd D.R.B>>「1st Battle -どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!-」感想

【Amazon.co.jp限定】ヒプノシスマイク –Division Rap Battle- 2nd D.R.B『どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!』(全巻購入特典:「3作収納紙スリーブ(Battle logo ver.)」引換シリアルコード+「オリジナル・チケットホルダー(Buster Bros!!! ver.)」付き)

余談

近頃の筆者は幸福な悩みに苦しめられていた。

刀剣乱舞にて特命調査「慶応甲府」。

ツイステッドワンダーランドにて「5章後編2」。

FGOにて「いざ鎌倉にさよならを」。

ひぐらしのなく頃に業において「猫騙し編」。

アイズワンにて「D-D-DANCE」。

示し合わせたかのように追っているコンテンツが新展開を見せ、確定申告も迫る筆者は青色吐息、二兎を追う者は一兎をも得ずどころの騒ぎではなく、多方向から迫ってくるコンテンツをきょろきょろとするあまり目を回してその場に倒れ伏してしまうような有様であった。

三十路の旅路はオフロードとは白膠木の個人曲を提供したHIDADDYのパンチラインだが、まことそのようにごとごとと綺麗に咀嚼しきれないまま走り出してしまっているオタク人生の今日この頃である。

が、今回、自らの考えを咀嚼し、舗装し、何なら手すりでもつけてみる前に、とにかく今日、今、この気持ちをこのブログにぶつけておきたいと思える出来事があったので、ここに残しておきたいと思う。

ペンは剣よりもヒプノシスマイク。

かつて彼らはこう歌った。なんのこっちゃと当時思ったし、今でもそう思っているが、しかしペンで、あるいはキーボードで紡ぐ言葉の数々は自由で強靭だ。盾にも勝れば矛にも勝ろう。その特性は確かにただ斬りつけるのみの剣よりも、さまざまなラップアビリティを発揮させるヒプノシスマイクに近いのではないか。

筆者には、およそ才と呼べるものはなく、しかし幸いなことに生まれた時から言葉は身近にあった。それを用いて今、電脳の海においても実生活においてもささやかな居場所を築けている。であるならば、と続けるのもおかしい論理の飛躍であるが、このペンを、打鍵をヒプノシスマイクを追いかけるために使うのは至極全うではなかろうか。

筆者がヒプノシスマイクに出会った時のことについては、既に述べた。

 

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 その時、バトルはすでに終わっていた。筆者が初めてリアルタイムで購入したヒプマイの音源は「Champion」である。ちょうど妻は、今ははるか遠き東京・新宿にて街宣車の音をその耳に聴いていた可能性がある。今のハマり具合であれば、絶対に追いかけていたことだろうが……。

妻に遅れて興味を持った筆者は、公式サイトをチェックした。妻が買ってきたCDに麻天狼のものが多かったのはそれが彼女の「推しディビ」だからであろうと。ホワイトデーも近づいていたので、他のディビジョンのCDを買ってみよう、自分も聞いてみたいし――と。

なかった。

チャンピオンである麻天狼は4枚。決勝トーナメント初戦敗退の2組は2枚。

そのディスコグラフィーの淡々とした残酷さは筆者に「恐ろしい界隈に足を踏み入れてしまった」と感じさせるに十分だった。

余りにロジカル、資本主義的、「CD」という形で明確に分かたれる勝者と敗者。

それ以前より筆者はいわゆる48系アイドルに親しんでいたから、CDを積んで殴り合う文化には慣れていたつもりであった。

ただ、彼女らはたとえ敗れても、ランクインできなくても、ファンに声を届ける場所がある。SNS、メール、ブログなどによって。もちろん、メディアに取り上げられることは難しくなるかもしれないが。

ヒプマイでは最もメインであるCDという舞台において、それがあっさりとなくなる。

とはいえそれはバトルシーズン中のこと。その後アルバムが発売され、そこでは新たな物語が全員揃って展開された。それぞれに新曲も割り振られた。

が、その特典としてついてきた以前のライブDVDにおいて筆者は再び慟哭させられる。

「Buster Bros!!!」と山田一郎、木村昴さんのこのコンテンツに与えた影響の大きさを否が応もなく認識させられたからである。定期的に再度視聴するが、今でも結果発表のシーンは二度目を見ることはできていない。浅沼晋太郎さんのMTCのリーダーとしての気持ちと木村昴さんをそばで見てきたものとしての葛藤あるコメントがまた、沁みた。

ヒプマイというコンテンツはますます隆盛を極め、アプリも出来、ラジオやコミカライズなど多方面に進出した。そしていよいよ、12人全員が勢ぞろいするライブが開催された。大阪にて。

 

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 筆者は、ライブビューイングにて参戦した。12人最高!不仲説抹消!みんな…ズッ友だょ……というところに現れたのは、言の葉党の面々。続けて呼び出されたのは会場のあるオオサカをホームとする「どついたれ本舗」であった。ヒプノシスマイクというコンテンツは、それに関わるものに足踏みを許さなかった。賛否両論が巻き起こる中、どついたれ本舗は傑作をリリースし、その騒動を黙らせた。ヒプノシスマイクの面目躍如たる展開であった。

 

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 他ディビジョンも続けて怒涛のリリースが続き、いよいよ今度は18人揃ってのライブが告知され、我々夫婦は幸運にもそのチケットをつかみ取った。そして、コロナ禍において他のイベントがそうであったように、そのライブもまた中止となった。

それでも彼らは我々にそのリリックを届けてくれた。なんと無料配信ライブという形によって。 

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 画面越しでも伝わる熱さはいつかの再会を前向きに考えるのに十分であった。
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満を持して放たれたアニメもエネルギッシュな作品。その最終回にてとうとう、2nd D.R.Bが告知された。

ついに。

ついに自分が、当事者となるときが来た。

仕事でも感じぬ双肩にのしかかる鉛のごとき重圧を感じながら、妻と共に筆者は、ライビュ配信もあるらしいことを喜んでいた。踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆ならせいぜい運営の手のひらで踊り狂ってやろうではないか――。そういう決心があった。

遺憾ながらコロナ禍は益々の拡大を見せ、またも無観客配信という形になった。

今回は有料という形を選んでくれたこと、まず感謝したい。綺麗ごと結構であるが、やはりコンテンツに対する賛意を示すことで金銭を支払うことが少なくとも筆者にとってはかなり納得のいく方法であるからである。

筆者もまた臨戦態勢を整え、アベマTVにログインした。待機時間もリミックスで飽きさせない。「泣く子も黙る一郎のビート」に「どついたれ本舗」の曲が挿入されてバチバチ感を高める中、ついに決戦の火ぶたは切って落とされた。

本題

ということでここからはヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 6th LIVE <<2nd D.R.B>>「1st Battle -どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!-」(長い!!!)のネタバレしかありません。

余談が、長くなった。

いつもライブがそうであるように、圧倒された。

逆に言えば、2ディビジョンであってもいつも通りの熱量を叩き込んできてくれた。

2ディビジョン分であっても「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-+」も「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem-+」はいい曲だな…としみじみしてからの「ヒプノシスマイク-Glory or Dust」にはドキリとさせられた。

そうだ、ここからは誰も知らない、未知数が始まる。2nd D.R.Bが。


ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- ≪2nd D.R.B≫開幕TRAILER

 躑躅森先生のフォローが早速入りつつ、どついたれ本舗、Buster Bros!!!がそれぞれ楽曲を披露する。それはかつて、同じように無観客での披露となったライブのセットリストとほぼ同じではあったけれど、それぞれがより楽曲を自らのものとして消化し、昇華したことがまざまざとわかる仕上がりになっていた。カメラワークも素晴らしすぎる。

筆者が偏愛する梅田サイファーが楽曲提供した「なにわ☆パラダイ酒」が聴けたのは嬉しい驚きであった。最後の辺りの酔っていく感じなどやはり声優さんはスゴイと思わされる。しかし河西さん美肌が過ぎませんかね……。

DJの切れ味鋭いプレイすら難なく乗りこなすダンスに唸らされた後、いつもの音楽で出てきたいつものロゴ。「お知らせ」のタイミングが今回は早いな――と思えばサプライズでかまされたのは『Femme Fatale』。


中王区 言の葉党『Femme Fatale』Trailer

丁度本日手元に届いた会報でたかはし智秋さんが「言の葉党のラップ」の重要性について語っておられ、シンクロして驚いた。「言の葉党のラップ」は勝者のラップ、権力がラップの形をしている、というものである。その説得力を持たせるのは容易ならざることであるが、しかししっかりそうなっているのだから彼女らの力のすさまじさたるや想像を絶し、その「壁」の分厚さが空恐ろしくなる。もし今回の投票先に「中王区」があったとしたら、どんな結果が出たものか……。

「権力」が去り、いよいよライブはラストスパートである。


イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”「Re:start!!!」Trailer

「Re:start!!!」の作詞者の一人、WILYWNKAさんはかつてMCバトル「高校生ラップ選手権」に複数回出場し、間違いないスキルを持ちながらも組み合わせに泣かされ、バトルMCとして不遇な過去を送ってきた方である。そんな彼だからこそ敗北の物語を背負わされたBuster Bros!!!の心情をここまで細やかに形にできたのだろう。

浮かび上がるのは特に二郎の成長である。もう一郎のトレースである彼はいない。兄を超えようとし、弟を助けようとする次兄の青い炎の揺らめきはその優しさゆえに、強い。

負けたからこそ、こんな素晴らしい曲が生まれた。翻って、もうこれ以上、敗けた時の曲は必要ない。彼らの道にあるのは勝利しかない。最初から主人公が大勝利のストーリーではすぐに終わっちゃうからフックを作っただけ。当たり前のように勝ち上がるだけ。そんな力の抜けた強さを感じた。


オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”「笑オオサカ!~What a OSAKA!」Trailer

対するどついたれ本舗の「笑オオサカ!~What a OSAKA!」は実にファニーで視聴者参加型作品といった趣。この曲で凱旋して、沢山コール&レスポンスしたかっただろうと思うと大変悲しい気持ちになるが、彼らの笑顔を見ればそんな気持ちも吹き飛ばしてくれるようだ。

そう、Buster Bros!!!の三人が常に矢面に立たされてきた代わりに様々な露出機会があったのと対照的に、どついたれ本舗の三人はそのお披露目において「この人たち誰?」という視線を受けた以外はコロナ禍の影響で観客の前に立ち、喝采を受けるチャンスを射ことごとく奪われているのである。これが彼らに課せられた物語であるならば、勝ち上がって決勝、コロナ禍においてもその共存が見えた頃に、観客がいればいるほど強くなりそうな気さえする彼らに会場がオレンジ色に染まる景色を見せてあげたい。そう思った。

……

………(三点リーダー症候群を実感する)

決められない!

とはいえいよいよ、バトル曲が始まる。一部で話題になった今回の「どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!」という表記であるが、どうやら先攻後攻を現わしていたようである。

「Joy for Struggle」は陽気でありながら殺気を秘めた、前回のシーズンとはまた毛色の違うバトル楽曲だ。互いのディビジョンカラーが色濃く出ながらも、しかし現実のMCバトルにおいて後攻が有利であるのが反映されているかのように、先攻であるどついたれ本舗の「茶化し」にBuster Bros!!!が小気味よく反撃していく。

個人的に圧倒されたのは山田一郎VS天谷奴零の親子対決。ラッパ我リヤのMr.Qを思わせるフロウですべてを重戦車のごとく押しつぶしそうな零のパンチラインは単なる詐欺師ではない、信念を持って実の息子とさえも対峙する姿勢を感じた。他方、山田一郎は圧倒的なライミングながら「アンサー」としては「兄弟のため」と逃げを打ってしまっていて、もちろんウソはないのだろうが、また「自分勝手」な零とは違うということなのだろうが、ディビジョンを背負う自分自身としてどうなのか、言う部分では些か説明不足なように感じた。また、個人的には三郎が「詐欺師」と斬って捨てたのとは裏腹に「親父」と認めてしまったのもまた彼の(やさしさに起因する)「弱さ」に思えた。

恐らく「一郎の迷い」「二郎の成長」「三郎の不安」が前回の(びっくりするくらいどついたれ本舗の酒盛りの記憶しかない)ドラパから更に膨張しどう解決されるか、が今回のドラマパートの鍵だと思うのだが、この「弱さ」はどうなっているだろうか。

個人的には声の仕上がりなども含め総合力ではBuster Bros!!!だが、最後の最後で天谷奴がヘビー級をズドンと打ち込んできたな……という印象である。

他方、もちろん勝ちたい気持ちに嘘はないのだろうが、どついたれ本舗はやはり勝ちへの「飢え」が見られないのが投票への決断を迷わせる。Buster Bros!!!にもうあんな歌を歌わせたくない、という気持ちが時間を置くごとに強くなる。

結局のところ、我々夫婦はこの問題にまだ結論を出していない。

2nd D.R.B。ヒプノシスマイクのリスタートはこの葛藤を踏まえるに大成功と言っていいだろう。その胎動はますます大きくなっていくはずである。

最高の瞬間を待ち望んで下されるサイコな審判―アニメ「『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima」ネタバレ感想

Straight Outta Rhyme Anima

タイトルが長い……!

二年ほど夫婦してハマっているコンテンツ「ヒプノシスマイク」がアニメ化し、そして最終回を迎え下らない日常が二週間ほど経過した。

本来なら昨年のうちに記事にしておきたかったのだが、気持ちを整理するのにそれくらいの時間が必要だったと思っていただければ幸いである。

何故時間が必要だったか。批判的な内容を含むからである。好きなコンテンツの批判をすることほど筆者にとって悲しく、消耗することはない。

筆者にとって九割五分、理想的なアニメ化だった。

だからこそほんのわずかな筆者にとっての引っ掛かりが今もまだ、胸につかえて取れずにいる。それを文章にし記事にして摘出することがこの記事の狙いである。

ということで以降は批判的な内容を含むネタバレ記事になるのでご留意の上お読みください。

 

第1話 As soon as man is born he begins to die.

第1話 As soon as man is born he begins to die.

  • 発売日: 2020/10/05
  • メディア: Prime Video
 

↑なんだったらアマゾンプライムで全話配信中なので是非見てほしい。 

本題

推しが動く、喋る、ラップする感動。

 待ち焦がれたヒプノシスマイクアニメ化。

山田一郎の片手に始まり、アプリ・ARBの差分絵を経ての完全アニメーションには全ヘッズが熱狂したに違いない。コロナ禍においてドームライブが中止となり、アニメ自体も延期となる中、Abemaでの配信などを経てその期待はいや増していった。

筆者もOPが非常にアニメ主題歌らしいパートに繋がることに不思議な気持ちになりながらも、公式ガイドブックを手に入れたりファンクラブに加入したりしながら幸福な「おあずけ」を食らっていた。 

放映初日。BSによって地方民でも最速同時できることに感謝しながら、妻とライブパーカーを装備して見た。四者四様のディビジョンの様が描かれ、ラップし、爆発した。

 ツッコミ不在で進む、ある種インタラクティブSNS時代らしい実況向きのアニメ(久々にニコニコ動画にログインしてみるコメントつき版も最高だった)という感じで、特に続いての二話はツッコミどころ・ラップ・オリキャラのキャラの立ち具合と完璧だった。それ以降はやや抑えめになってしまったが……(原作を摂取しているからそう思っているだけで初見勢諸賢は(おっと韻を踏んでしまった)よくもこんなクレイジーアニメを! と思っていたかもしれないが……)

作画も崩れず、毎回極上の新作ラップを惜しげもなく取り込んでいくその姿勢には感服させられた。一方で、二話の「俺は一郎」のように既存楽曲のビジュアル化も期待していただけにそちらは少し残念だったが、常に「更新」、今その時が全盛期だというコンテンツとしての矜持を感じたように思えてうれしかった。

二話路線をずっと継続してほしかったという気持ちはあるが、しかし余りに「上級者向け」であると、「ニンジャスレイヤーアニメイシヨン」のように表面の分かりやすいネタ部分だけを面白がって消化されてしまう可能性があり、そうならずに済んだのは良かったのではなかろうか(「マグ…いやタマゴだ」のセリフが忍殺シヨンで抹消されたことを許す気はない)

バトル楽曲ではない「MCバトル」のアニマとしてのアンサーが素晴らしい

かつて四ディビジョンは「バトルシーズン」においてバトル楽曲においてバチバチの戦いを繰り広げた。それは素晴らしい出来であり、筆者もここからこのヒプマイの沼にハマっていったが、しかしあくまでも「楽曲」、やり取りの間にはHook(いわゆるサビ)が存在したし、それぞれのパートごとにバトルビートには「味付け」が存在した。

MCバトルという風習になじみがない層にアプローチするために楽曲にバトルを落とし込むということ自体が画期的である。しかも実際のMCバトルとは違い、勝敗は後になるまでわからないのだから楽曲作成者の心労たるや察するに余りある。

しかしある一つの「ビート」を各人がどのように料理し、そしてビートと相手を支配していくのかということにおいては物足りない部分もあった。

アニマではどうであったか。実際のMCバトルと同じく同一ビートをターンごとに回し、ともすれば生まれる単調さを激しい絵づくりとSEで盛り上げてくれた。さすが昔取った杵柄、彼らがダメージを受けるごとにLPの減る「ティリリリリリ」という音が聴こえるようにさえ感じた。碧棺左馬刻様のラップアビリティが発動する瞬間など完全に「リバースカードオープン!」の趣である。

やはり新作のラップ部分も含めて(個人的には三郎の理鶯へのディスが「野郎…タブー中のタブーに触れやがった…」の気持ちそのままになって最高であったし、幾度もヘッズからこすられてきたそのネタについて理鶯が未だもって軍人であるという自負で斬って捨てるアンサーも良かった)「ヒプマイでのMCバトルをアニメ化する」ということに関して素晴らしい回答が得られたことは喜ばしい。


公式ベストバース集/戦極×AsONE 戦クロ4(2019.4.29)

ちなみにダイジェストであるが実際のチームバトル式MCバトルはこんな感じ。この中から次回のバトルシーズンに楽曲提供者が出てくるかもしれない。(既にヨコハマにがっつり関わっているサイプレス上野さんも出ている)本当はここで颯爽とフリースタイルダンジョンを紹介したかったんだけどな……。

クライマックスに向けて大きくなる違和感

伝説のチーム「The Dirty Dawg」のお粗末すぎる戦略

ラップが変わっても勝敗の結果は変わらず、王者が決まり、そして周囲がきな臭く動き出す。風雲急をつける事態において食べ歩きディビジョンだとばかり思われていた三人組がアニメオリジナルディビジョンである「Secret Aliens(シークレットエイリアンズ)」であると判明し、言の葉党に味方する彼らによってディビジョンオールスターズは窮地に陥る。

だが、他方で処刑されそうになった飴村乱数たちに助け舟を出すシークレットエイリアンズ。それはディビジョンオールスターズを助けるために捕まった Fling Posse(フリングポッセ)を人質に、言の葉党無しの正々堂々のラップバトルを行うためであった。

かくして伝説のチームThe Dirty Dawg(ダーティドッグ/T.D.D)が再結成される形でバトルが勃発する!

もとより4VS3であるが更に先攻を譲り、回復までさせてくれるシークレットエイリアンズ。(実際のMCバトルではビートの感触をつかめる、相手の出方を伺えるので後攻が有利であることが多いのはそうなのだが)

シークレットエイリアンズの先鋒・アイリスは恐らくはチーム全体にバフをかけるタイプのラップアビリティの持ち主で、初めに繰り出すことに意味のある采配だ。「デイサービス」というMCバトルで耳慣れないパンチラインも新鮮かつ痛烈である。

これに対抗して出てきたのは碧棺左馬刻様だった。

ん?

アニメでもあったように、彼のラップアビリティはカウンター。ダメージが蓄積するほど反撃を強力に放つことが出来るようになる。どう考えてもダメージが回復した直後に出てくるべきではない。案の定、続けての太郎丸レックスの攻撃を受けての、即席の飴村乱数・山田一郎のタッグも会心の一撃には至らず、トムの「本気」のラップでシークレットエイリアンズは分身…いや万華鏡状態となり(深く考えないように)12VS4で形勢逆転されてしまう。

トムは言う。経験の違いがこの結果なのだと。日本最強MC集団T.D.Dは井の中の蛙であったことを突きつけられるのだった……。

――そうだろうか?

経験がどうとかいうが山田一郎は戦災孤児、碧棺左馬刻様は母が父を殺したのち自殺、妹は失踪中、飴村乱数はいわずもがな、神宮寺寂雷先生は世界中の紛争地を転々としていた経歴を持つ。見てきた修羅場の数では負けないだろう。

敗因は徹底的に戦略の甘さである。先攻を譲ってもらったことを幸い、相手の最初のターンはバフに使うことを見抜けば道中に負った傷を回復する前にまず碧棺左馬刻様のラップアビリティによってカウンターを叩きこみ、次に飴村乱数のラップアビリティ「幻惑」によって太郎丸レックスの攻撃を攪乱した上で神宮寺寂雷先生のラップアビリティにより回復した山田一郎がクリティカルヒットをぶちかませば十分に勝てる可能性があったのではないだろうか。

あるいは、敗れてもいい。敗因を「絆」に求めるべきではなかったか。家族のような絆で結ばれたシークレットエイリアンズに対し、再結成とはいえ互いの溝が埋まっていないT.D.D。それが勝敗を分けたのだ――という展開が、この後の流れを考えてももっともらしいのではないかと思う。

やはり物量……物量はすべてを解決する!

命運尽きたかに思われたかと思った時の「ちょっと待ったー!」的王道展開により、集結したディビジョンオールスターズ!

聞こえてくるのは聞き覚えのあるあのイントロ……これはヘッズが大好きなOPを最終盤に持ってくる……!!

「「「サイコな審判!」」」

ん?

炸裂したのは二番であった。2番手、3番手のディビジョンを超えた共演などとても熱かったのだけれど、やはり「文脈」として考えた時、それぞれのチームの名前を叫ぶ1番を歌ってほしかったなあと思う。もはや青春の影となったT.D.Dではなく今はそれぞれのリーダーとして、ディビジョンをしょっていくことで口から湧く力、それこそがシークレットエイリアンズを打倒せしめたのだ…と思いたかったのである。12VS3(+9 万華鏡)だったからとかじゃなくて。この辺、万華鏡状態になった時点でポッセ組が「こんなの4VS12じゃねーか!」とかフォローを入れてくれてたらよかったのになあ。

で、山田一郎はトムに対して勝因を「ラップを楽しんでいたか否か」というのだが、確かに「ラップってたのC~!」がヒップスターの合言葉であるのだが、バトル編に入ってから山田一郎がラップを楽しんでいたとは全く思えないのである。碧棺左馬刻様への復讐心、敵対心が彼を突き動かしていたはずだ。

逆に言えば、万華鏡されて絶体絶命の時に「俺はこのところずっとラップを楽しめていなかった……だからこんなことに……」みたいなシーンがあればすべてが美しく繋がり、より納得度が深まったと思うし、前バトルシーズンの総括にもなっていたはずである。

キャラクター崩壊が著しい勘解由小路無花果

とはいえシークレットエイリアンズとの決着もつき、大団円……と思いきや内閣総理大臣補佐官兼警視庁警視総監兼行政監察局局長である勘解由小路無花果は再び数多の部下を引き連れて立ちはだかる。シークレットエイリアンズへの協力を強いる勘解由小路無花果だが、山田三郎がそれまでの言の葉党の乱行を録音しており、世界へ拡散すると脅すとそれによって再び日本が混乱すると説得を試みる。山田一郎他が更なる反論をしようとすると激昂、手を下そうとするも言の葉党党首・東方天乙統女の鶴の一声によって「今日はこれくらいにしといたる」といわんばかりに引き下がるのだった……。

が、原作を参照すれば山田三郎がアクセスしている一見非合法のディープなインターネットすら言の葉党の管理下であり、事前にアップロードすることが分かっていればその妨害は簡単そうだ。そこに執着する小物ムーブは今まで築いてきた勘解由小路無花果像が揺らいでしまったようで遺憾である。まさかのすごすご退散よりは、圧倒的多数の戦闘員VSシークレットエイリアンズも加わったディビジョンオールスターズでのラップバトル(ここで二番がかかる!)の方がカタルシスもあったと思うのだが……。

男は結局争う愚かな生き物、バトルはこれからだEND

 そしていよいよエンディングに突入するが、先ほど大見得を切っておきながら男たちは争う愚かな生き物であることを全力で証明する結果となってしまった。どことなく尺のない打ち切り感があるが、それ以上に残念なのは「次」の布石が打たれており、碧棺合歓が登場しておきながらナゴヤ・オオサカ勢が一人しか出てこなかったことである。せめて顔見せくらいはあるのかと思ったが……。

繰り返して言うが、個人的にほぼ完璧なアニメ化だった。それだけに、最後の最後ですっきりしない、御馳走の残りの一口を頬張ったら口の内側をガリっとやってしまったような切なさがある最終話であった。

とはいえ配信ライブ、バトルシーズンと加速していくヒプノシスマイクを引き続き追いかけていきたい。

ラップってたのC~~!!

 

 

 

 

 

機械猫の奴隷――2020年買って良かったもの

お題「#買って良かった2020

余談

「買って良かった2020」とはいうものの翌年一月八日まで大丈夫やんけ余裕やな……と思ったらばっちり当日ラスト一時間白紙という感じで筆者の今年の一年が早くも象徴されたような展開であるが、折角なので記しておきたいと思う。

昨年の買って良かったものと言えばダントツに家(マンション)だったわけで、その関連で家具周りをいろいろと買ったりアップグレードしたりしたのだが、よくよく考えると波乱万丈であった引っ越し顛末記もその波乱万丈さゆえにまとめ切れておらず、このブログを筆者の自分史としてみた時にやや唐突である気もする。

今一つ、「体験」を記そうとしたがこれもまたのべ三か月ほどの記録であるからここから一時間でまとめるのは筆者の能力では至難であるし、別のアプローチで世に出したいと思う。

じゃあ「本」でも一つとも思ったが、kindleによると昨年の読破数は293冊(仕様的に再読を多く含むはずである)、昼休みも外出をしないようになったコロナ禍故の出来事のように思われるが驚くほど内容を覚えていない。コロナに対する不安を文字で押し流そうとするあまりそのものも流れてしまったことは悲しい。しいていえば、発売前から楽しみにしていた「つけびの村」はいつか記事にまとめたい。

と言っている間にますます時間が迫ってきた。ならばやはり最初に立ち返ってマンションに入居するにあたり新たに導入した家具の中から何か一つピックアップして書いてみるのがよかろう。いわば、のちに予定される新居に引っ越しました記事に対する先行シングル・カットみたいなものである。アルティメットものはいいようである。

では何にすべきか。ここからさらに絞ろうとすると筆者はまたモダモダと悩み、急に鼻の脂が気になったりし、とりあえずTwitterを開いたりしつつ、同時にkindleで「やっぱり『べしゃり暮らし』はおもしれえなあ」とひとりごちながら、気が付けば日付変更五分前となり慌ててソシャゲのデイリー報酬のためにログインする、という未来がまざまざと見える。せめて最後は記事を書こうとしろ。

ということで有識者に尋ねることにした。筆者の新居を知り尽くす人間、人(CV.加藤みどり)は彼女を「空間の幸せ請負人」と呼び、筆者は妻と呼ぶ。本当は名前をもじったあだ名で呼ぶ。

ともあれ空間の幸せ請負人っちょに2020年に買って良かったものは何かを尋ねた。

「それぞれどれも忘れがたく、決めるのは難しいのですが……」

急にオードリー・ヘップバーンめいた妻は逡巡する。

と、妻は壁際の黒い円盤を見咎める。

「ルンバです!なんと申しましてもルンバe5です。私は、その思い出を生涯大切にすることでしょう」

そういうことで、以下はルンバe5における私見を述べる。

本題

 

 

筆者もルンバe5は大変買って満足している。厳密に言えば、住宅エコポイントにより導入したのだが、まあ広義の「買ったもの」でよかろう。

ルンバ自体は新居に越したら何かしらの手段で調達してみても良い、と思っていたが、「e5」が我が家にやってきたのはまったくもって住宅エコポイントを利用したから、という理由による。というのも、住宅エコポイントでメインで狙っていた白物家電を引き替えた余りで引き換えられるルンバとして逆算したグレードが「e5」だったからである。筆者個人はルンバはメーカー名もルンバだと思っていたので、最初は「アイロボット」というパチモンばかりひっかかる……邪魔くさいなあ……と思ったりもしていた。

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ルンバはバカでかい箱に入ってやってきた。多分詰めたら二台は入れたと思う。開梱するとあからさまに「ルンバe5が入っていますよ」という箱が更に現れた。時は2020年の十月。レジ袋有料化とかエコバッグとかそんなちまちましたことやってんじゃねえ、これが俺のスタイルだといわんばかりの熱い過剰包装ぶりにゴミを掃除するものを買ったのにゴミが増えてしまうというのは落語でありそうな題材だな、と思いながら筆者はセッティングをし、自分のスマホと連携させた。

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e5のいいところ(ちょっと駄洒落みたいになったけど違いますよ)はアプリが使えることで、スマホさえあれば筆者が仕事場で昼休み中、妻が居間で「メーデー!惨劇の瞬間」を固唾をのんではらはらと見守っている時を見計らってルンバを解き放つことが可能である。また、上記のように正常でない場合はお知らせもしてくれるので良い。

ダストボックスはボタン一つでカパッと開き、中に残った細かいホコリごと水洗いできるのも素晴らしい。(フィルターは取り外し可能だが水洗い不可)

少し先走ってしまったので時を戻そう。続けてアレクサとの連携も終え、いよいよ我が家のルンバの初陣である。アプリの清掃ボタンを押すと、軽快な音と共にルンバが駆け出した。

「ああーっイヤホンが落ちている! 巻き込んでしまう!」

「このデカいクッションとかは塞いでしまうから片付けとこ」

「おいおい同じところずっと回っとるじゃないかこっちだぞ」

「ほんとにゴミ吸ってんのかな……?(進路上にレシートを破って置く)おー吸ってる! えらいえらい!」

「家に帰る途中で力尽きて寝ちゃってるじゃないか……ほら家(充電スタンド)に帰りますよ」

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ルンバは猫である。

ルンバが来てから、確かに家は片付いた。ルンバが快適に掃除が出来るように、人の手によって。

しかし人は、少なくとも我々夫婦は意外とそれが嫌いではない。苦にならない。結構な音がするので(夜間は絶対にしない方がいい)不在時にしっかり働いてピカピカ……というのも一つの理想ではあるが、我が家ではルンバが気ままに動き回るのをある時はほのぼのと、ある時はひやひやしながら見守りながらのティータイムが休日のひとときの風景として定着しつつある。時々会心の動きをした時などは思わず拍手をしたくなる。

もちろん、しっかりゴミも集めてくれている。特にベッド下の掃除は本領発揮である。

我が家はペットOKの物件である。実際、入居にあたって猫を……というのも少し考えたりはしたが、やはり寿命のある生き物と共に過ごす覚悟が今は我々には足りなかった。

そういう意味で、我が家にとってルンバは意外な、しかし幸福な伏兵であった。日々に気まぐれな同居人と、ついでにピカピカな床を取り入れたい諸賢はどうぞ検討していただきたい。

 

 

 

Amazon アソシエイト・プログラムはじめました。

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アイキャッチ画像に使えて便利なので、今までも当ブログではたびたびAmazon商品リンクを挿入させていただいていた。

もしかしたらそこからご購入いただいた読者諸賢もいらっしゃるかもしれない。

blog.hatenablog.com

年始の記事に書いたとおり、この個人ブログ冬の時代にあえて収益化の道を歩むことを目指す筆者としては、公式の導きに従ってAmazon アソシエイト・プログラムをはじめることとした。

Amazonユーザーであるので住所を選んで簡単に出来るかと思いきや、なぜかエラーが出て一から打ち直させられたりはしたものの、無事にアソシエイトIDを獲得することが出来た。

そのアソシエイトIDをはてなブログに登録し、↑上記リンクを貼ったのだが、このリンクからが有効なのか、以前のものも有効なのか、この辺りは良くわからない。

ひとまず細々とやっていきたい、と思っていたが、届いたメールを見るとどうも半年以内に3件以上の売上がないとそもそも審査が始まらないらしい。

まあその時はその時ということで、無理せずやっていきたい。

勝手にお金が発生しても申し訳ないなあと思うのでご報告でした。

永遠に擬した刹那連鎖に座す―インターネット生活20周年

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余談

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

2018年元旦に開設したこのブログも丸3年が経過し、ますます頑張っていきたいところである。

恒例の昨年の反省からすると、

 

kimotokanata.hatenablog.com

 

目標とした週に1回の記事の公開は公開できた記事が47記事と12か月・4週計算ではぎりぎり1記事足りないある意味絶妙な感じで終えてしまった。「今週のお題」への参加も積極的だったとは言い難い。

アドセンス周りは去年はチャレンジすらできていない。

当ブログ「らしさ」というのもいまだ、模索中である。

体たらくな昨年とは体よくおさらば、心機一転頑張っていきたい所存である。

本題

2021年。

すなわち、筆者が本格的にインターネットに、webの海に漕ぎ出でてから早20年が経過した。それ以前も父の職場に遊びに行った折などに触れてはいたが、我が家に家庭用PCがやってきたのがその時だった。

まさしく黒船襲来であった。好きな漫画のタイトルでYahoo!を検索すれば、そこにはガキが及びもつかない深い考察が展開されていたり、原作者本人と見間違うような絵が展示されていたりした。

その中でも大手といえるサイトの掲示板に書き込み、そこで知り合った同世代のサイトにお邪魔したりもした。キリ番ネチケット、常連アイコン……何もかもみな懐かしい。

チャットにも熱中した。テキスト中毒の気がある筆者がTwitterを飽き性ながらずっと使い続けているのは、都度今まで見たことのないテキストが眼前に出現するからというのが理由の一端であるが、チャットもまさしくそうであった。しかもレスポンスがある。レスポンスができる。この「眼前のテキストに相互干渉できる楽しさ」というのは、もしかしたら今のはLINEのオープンチャットとかディスコードで体感できるのかもしれないが、あの無味乾燥な画面で繰り広げられた楽しさ、空気感というのは筆者はちょっとほかに代替が思いつかない。

中学生になってしばらくして、「レスポンスの速射性」を追い求め続けた結果、いつの間にか筆者は2ちゃんねるに辿り着いていた。今となっては比べるべくもないが、当時はまさしく不誠実な集合知の廃棄所といった佇まいで、ゲームの攻略情報など他と一線を画すスピードであった。もちろん、お礼は3行以上である。鮫島スレに張り付いて1日無駄にしたりするのである。

ゲームといえば連邦VSジオンDXにもハマっていたが、当時のオンライン対戦の敷居の高さたるやハナから挑戦する気にもならないものであった。

そうして高校生になり、2006年がやってきた。この年、筆者は携帯電話を手にした。多くの友人は高校合格を機に携帯電話を買ってもらっていたが、筆者はPCがあるし……と遠慮していたが、高校では見る間に携帯電話を持つ者と持たざる者との間に歴然とした格差が顕現し始め、遅れて導入したのだった。

そして筆者はニュー速VIPに出会う。闇鍋めいた魅力を放つ勢いすさまじきその掲示板に、そのころ咲いていたあだ花に「新ジャンルスレ」というものがあった。

そこで筆者は初めて「まとめられる」という経験をする。それは全く利害関係のない人間に評価されるという新鮮な経験であり、それは「文才ないけど小説書く」スレ参加へと繋がっていく。

その後大学へ進学し、入会したサークルのサイト運営(先輩方から受け継いだものを後輩へ右から左に流しただけ)をしながら、はてなダイアリーをはじめ、Twitterを開設し、今に至るのである。

なぜこんなことをつらつらと書いたのか。新年早々後ろ向きに過去を振り返ってどうするのか。本当はもっとディティールを書きたかったがあと5分で日が替わるので端的に言うと、上記に挙げたサイト、Twitter以外全部消滅しているんである。いや、サークルのサイトも消えてたのは今検索して知ってちょっとビビった。プロも輩出しているのでどっかで話題に上がったりしてないかなーと思ったらそりゃあ自分が管理していた当時はジオシティーズだったからないことはわかってたけど後継のブログに内容が引き継がれた形跡がないのである。

2ちゃんねる自体は名前を変えて存続しているし「元スレッド」もいくつか見つけられたが、まとめてくれていたサイトはかろうじてインターネットアーカイブで見つけることが出来ただけだった。

例えば電子書籍だって急に配信停止になったりする。永遠というものが仮にあるとしたら、それはインターネットの外にあるのだろう。

デジタルタトゥーというものが問題になっているように、すべてが消える訳ではない。しかし多くは。この大海の中を漂い、摩耗し、朽ちていく。

デジタルのデータはデジタルであるがゆえに、アナログのものより軽んじられる傾向があるように思うが、アナログよりもいとも簡単に消え失せてしまう。

そのことを踏まえて記事を書いていこう、コンテンツに触れようと思った元旦である。

そういえば、妻と出会って10周年でもある。妻の忍耐強さに敬服して記事を終えることとする。

蛇尾・2020

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晦日である。誰も彼も言っているが、筆者もまた、これまでの人生にない「大晦日感のなさ」を感じている。

とはいえ仕事はばっちり年末進行であり、これにコロナ禍での調査事項やら何年かに一度の点検作業やらいつもの月末業務やらが駆け込んできて、かれこれ二週間ずっと具合が悪い……。本来ならば一昨日くらいから、ヒプアニ総括感想、今年買ってよかったもの、そして今年の総括と順を追って記事にしていくつもりが、このざまである。

どうも最近年のせいか、気候のせいか、打鍵することに乗り切らない日々が続いている。色々と勇ましいことは来年言うことにして、筆者の日記帳にその体たらくを残しておくのもその醍醐味の一つであろうと思うので、こうして記しておく。

全体的に終わりの見えない螺旋階段をぐるぐると歩き続けたような一年であった。伴走してくれた妻に感謝である。

記事数:47(他下書き11)

PV数:約20万

良いお年を。

もはや漫才の大会ではない―M-1グランプリ2020ネタバレ感想

余談

コロナ禍、それでもM1は止まらなかった。例年通り、敗者復活戦からリアルタイムで楽しませてもらった。

予想は全く当たらなかったわけだが、実際に今回のM1は過去最も混戦だったのではないか、と思う。

時々思いついたようにやる直後だから許される感想言い逃げ、今回もやっていきたいと思う。

本題

何が嫌いって「ここめっちゃ笑ったwwww」みたいなテレビ直撮り著作権侵害動画がTwitterでバズることなのであるが、かといって漫才を語るときにやはり映像がある都内とでは相互の理解が全く違う……というジレンマにしばしば悩まされる。漫画の感想を書く時もいつだってクソみてえな画像ペタペタ貼りネタバレブログに筆者は憎悪を燃やしているのである(「アル」さんをちゃんと勉強して活用したい)ありがたいことに最近はテレビも素早く公式動画を上げてくれるので、筆者の素人感想はどうでもいいのでただ動画で大会の熱気の思い起こすだけでも良いかもしれない。

ファーストラウンド

インディアンス


インディアンス【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順1〉M-1グランプリ2020

史上初、敗者復活組が一組目。にもかかわらず、いやだからこそなのか、セリフを飛ばして悔しい思いをした去年より確実に成長を感じさせる出来の良さだった。あるいは最初の組でありながら、一番M1らしいコンビであったかもしれない。上沼さん以外の審査員の方の点数にそれぞれ+3点くらいあっても良かったと思う。

 

東京ホテイソン


東京ホテイソン【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順2〉M-1グランプリ2020

大会最年少、初出場ということを感じさせない堂々としたネタ運び。霜降り明星を決勝で見た時もそうだったが、準決勝でくすぶっていた頃とはやはり違っていて審査員の目は確かなのだな、と感じた。多分、エンタみたいなテロップが出る番組と相性がいいんだろうな、と思う。Tシャツが転売屋の餌食になっていないことを祈る。

 

ニューヨーク


ニューヨーク【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順3〉M-1グランプリ2020

去年、「ニューヨークが決勝に出る」と聞いた時に期待していたネタをしてくれた感じだった。その上で去年のM1を総括するときにしばしば言及された「やさしい漫才」に対して中指を立てているようでそれまたニューヨークらしくて嬉しくなる。個人的には十分最終決戦に進むべき出来だったと思うのだが……。もっともダーティな王者の誕生は持ち越しになったようである。

 

見取り図


見取り図【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順4〉M-1グランプリ2020

「経験者」の貫禄をガツンと見せてくれたネタだった。リリーさんが噛んでしまうが、それさえマネージャーのミスという演技に感じさせるような全体の安定感は素晴らしいものがあった。最初のお詫びの練習が最後に収斂していくなど、M1の決勝を見ているという満足感のあるネタだった。

 

おいでやすこが


おいでやすこが【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順5〉M-1グランプリ2020

こがけんさんの「オーマイガ」ネタが大好きなのであるが、果たして個性の強い者同士がぶつかるとどうなるのか……と思っていたがやはり会場を揺らしてくれた。「歌ネタ」というのはいわば博打であるが、見事に波に乗って見せた。この波乱がしかし、さもありなんというかたちで飲み込まれたのが今年のM1の恐ろしさであったと思う。

 

マヂカルラブリー


マヂカルラブリー【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順6〉M-1グランプリ2020

ぶっちゃけた話、筆者は今年のM1は「錦鯉のストーリー」か「マヂカルラブリーのストーリー」どちらかになるだろうと思っていて、野田クリスタルさんがぶち破って入ってきて、会場をその日一番の笑いで包んだときは「こっちなのか!?」と思った。

が、もちろんその後も安定して面白かったものの、正直なところそこ以上の花火は打ち上らなかったので爪痕を残して終わり…次回に期待、と思っていただけに最終決戦進出はいささか驚かされた。

「負けたことがある」ということがいつか大きな財産になる、ということを今回の出場者で最も体現してくれたコンビであろう。

 

オズワルド


オズワルド【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順7〉M-1グランプリ2020

間違いなく面白かったし、昨年からブラッシュアップされていたことも感じられた。しかし筆者もそうであるように、審査員の皆さんもまた、オズワルドには「チル」を求めていたようである。松本さんと巨人師匠、果たしてどちらのアドバイスを受け入れるのか、来年の去就が最も楽しみなコンビかもしれない。

 

アキナ


アキナ【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順8〉M-1グランプリ2020

今回最も前評判というモンスターに泣かされたコンビであっただろう。事前予想1位であればどうあってもプレッシャーはかかる。出番順としてもかなり好条件だっただけに、本人たちの悔しさはいかばかりだろうか。テレビでしか接していない筆者は、未だアキナの100%を見ていない気がしてならない。来年こそその前評判通りの実力がいかんなく発揮されるところを画面越しに見てみたい。

 

錦鯉


錦鯉【決勝ネタ】1st Round〈ネタ順9〉M-1グランプリ2020

ということで、今回の筆者の優勝予想は錦鯉であった。と言っても熟年の遅咲きのスターがM1で王者、大ブレイクというストーリーを審査員も視聴者も求めるだろう……という下心もあっての予想だったのだが、ふたを開けてみると実際一番笑ったかもしれない。トリッキーとオーソドックスの闇鍋のような漫才はそれこそパチンコのように様々にぶつかり、拡散して大きな笑いに繋がっている。こちらも十分決勝進出の目があったと思うのだが……とはいえ世間には大いに認知されたであろうから、存分にブレイクしてほしい。

 

ウエストランド


ウエストランド【決勝ネタ】1stラウンド1st Round〈ネタ順10〉M-1グランプリ2020

彼らもまた敗者復活戦でなじみ深かったのだが、その闇もキレも数段ギアを上げていた。同じタイプのスタンドであるニューヨークといい具合に離れていたことも彼らにとって幸運だったのではないだろうか。井口さん、なんかのドラマに出てほしい。

 

最終決戦


見取り図【決勝ネタ】最終決戦〈ネタ順1〉M-1グランプリ2020


マヂカルラブリー【決勝ネタ】最終決戦〈ネタ順2〉M-1グランプリ2020


おいでやすこが【決勝ネタ】最終決戦〈ネタ順3〉M-1グランプリ2020

 

昨年の大会はまさにM1、「話芸」で勝ち取ったという印象があった。他方、今回の王者は文字通りもがいてもがいて、栄冠をつかみ取った。決勝に残った3組はまさに三者三様、いかにもなM1という見取り図、スラップスティックというかスリップスリップ&スリップだったマヂカルラブリー、歌ネタを突き抜けて歌芸にまで昇華していたおいでやすこが……カオスが顕現した最終決戦はその後の審査の割れ方がその甲乙つけがたいさまを物語っていると言えるだろう。

正直なところ、筆者としては一番スタンダードに漫才らしい「見取り図」に取ってほしい、という気持ちがあった。しかし、寝て起きたら漫才しかなくなってましたコンビや
どうしても笑わせたい人がいる男が自分たちの人生を文字通りBETして、M1という概念を変えにかかってきたのだから一視聴者としては降参せずにはいられない。

もはやM1は漫才の大会ではなくなったのかもしれない。しかしそれは、お笑い無差別級の開幕として、更なるカオスの幕開けとしてポジティブに捉えたいと筆者個人としては思う。

少なくとも今回の王者の言葉、大会の締めにおいて「えみちゃん辞めないで」以上の言葉を筆者は思いつけない。

あるいは、ガチガチのオーソドックス漫才で最終決戦で上沼さんがマヂカルラブリーに投票し、史上初の連覇王者になるという未来も面白いかもしれない。

 

ろくでなしミトリズ #1